どうしてMVNOだと国際ローミングできないの?「IIJmio meeting 13」SIM通

» 2016年11月15日 06時00分 公開
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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月22日、MVNOとして提供している個人向け通信サービス「IIJmio」のユーザー向けイベント「IIJmio meeting 13」を開催しました。当日は海外ローミングやゼロ・レーティングなど、最近MVNO界隈で話題となっているテーマに関するセッションが多数行われました。

IIJロゴ

 最初に初心者向け講座「みおふぉん」教室が行われ、前回のイベントに続いてMVNO事業部の宮垣遼平氏が登壇。

MVNO事業部 宮垣遼平氏

 今回は親世代の方々に格安スマホ、つまりMVNOのサービスとスマートフォンを利用してもらう方法について説明しました。

資料 デビューまでに考えておくこと

 イベント参加者の親でもあるシニア世代はフィーチャーフォンに慣れ親しんでおり、スマートフォンに馴染みのない人が多いようです。

 そこで宮垣氏は、親世代の方々にスマートフォンデビューをさせるために、「スマートフォン1台持ち」と「スマートフォントフィーチャーフォンとの2台持ち」のどちらがよいかという点について説明しました。また、毎月の料金は親と子のどちらが支払った方がメリットが大きいか、シニアでも使いやすいようどのように端末を設定すべきかなど、常に対応できるとは限らない使い方のサポートをどうするべきかどについて、1つ1つ指南していました。

資料 おまけ

 宮垣氏は「スマートフォンでできることを一度に教えるのではなく、1つずつ教えあげることで徐々にスマートフォンに慣れさせていくことが大事」だとも話してくれました。

 スマートフォンに慣れている子世代の常識が、慣れていない親世代には混乱を招く可能性もあることがあります。そのため、親世代の心情に配慮しながら徐々に移行を進めていくことがベストなようです。

広報部 技術広報担当課長 堂前清隆氏

 続いてのセッションは、IIJが8月より提供を開始した「海外トラベルSIM」と、国際ローミングについて。今回のIIJmio meetingの司会も担当した、広報部 技術広報担当課長の堂前清隆氏が解説しました。

資料 海外トラベルSIMのお値段

 IIJmioの海外トラベルSIMは、世界42の国と地域で通話や通信ができるプリペイド方式のSIMによる通信サービス。しかしこのサービスを使うには、国内で利用するIIJmioのSIMカードとは別のSIMを用いる必要があるとのこと。

資料 日本のMVNO利用者がローミングアウトしようとすると…

 堂前氏は、IIJmioが大手キャリアのようなデータ通信の国際ローミングサービスを提供していない理由について、「そもそも現在のIIJmioのSIMは、自社で発行したものではなく大手キャリアから借りているSIMであり、海外のキャリアからはNTTドコモのSIMにしか見えず、国際ローミングの際にIIJのネットワークには接続してくれないことが大きい」と説明しました。

 一方でNTTドコモの場合であれば、NTTドコモの国際ローミングサービスを直接卸を受けることにより、MVNOであっても国際ローミングのサービス自体を提供することは可能だとしています。

 しかしこの方法を用いた場合、請求額の確定が翌月になるなどユーザー側のデメリットが多く、国や設定などによっては非常に高額な従量制での支払いとなってしまいます。そこでIIJは、SIMが異なってしまっても、ユーザーが安心して利用できるプリペイド方式のサービスを採用したとのことです。

ネットワーク本部技術企画室 担当課長 佐々木太志氏

 最後のセッションでは、ネットワーク本部技術企画室 担当課長である佐々木太志氏が、最近話題となっている「ゼロ・レーティング」の内容と抱えている課題、IIJとしての見解などについて説明しました。

資料 3.無料化対象のサービスのコストを誰も負担しない場合

 ゼロ・レーティングとは、特定のアプリを利用した場合や、特定の通信先にアクセスした場合の通信料を無料にするサービスのことです。最近いくつかのMVNOが、このゼロ・レーティングの仕組みを採用したことから話題になりました。しかし佐々木氏によると、ゼロ・レーティングには3つの観点から課題が存在すると言います。

 1つめはゼロ・レーティング実現のためには何らかの形でのデータ参照が必要なため、個人のプライバシーなどを保護する「通信の秘密」が侵害されること。

 2つめは特定のサービスの通信だけを無料化することで、「ネットワークの中立性」が失われ新しいサービスが生まれにくくなること。

 3つめは特定サービスの通信料をゼロにした場合、その費用を誰が負担するのかによって不公平性が生まれるという「利用者間の公平性」の問題です。

資料 IIJの考え方

 ゼロ・レーティングは登場したばかりのサービスで、その是非に関する議論も始まったばかりであり、明確な方針が見えているわけではありません。

 そこで佐々木氏は、もしIIJがゼロ・レーティングを導入する場合には、事前に「個別」かつ「明解」な同意をする、無料化の対象となるサービスを提供する事業者が通信料を負担しないゼロ・レーティングは導入しない、など同社の方向性を明確に説明していました。

セッション後にフリートークコーナーを実施

 セッション後、会場では恒例のフリートークコーナーを実施。今回もTwitterから寄せられた56の質問に加え、会場から寄せられた質問に登壇者が回答。真面目な質問からユニークな質問まで、幅広い内容の質問に対して登壇者が丁寧に答えていました。

展示コーナーでは「基地局シミュレータ」も展示

 展示コーナーでは、多数のSIMフリースマートフォンに加え、今回は携帯電話基地局の動作をシミュレートする「基地局シミュレータ」も展示。電波暗室(※)に入れられたスマートフォンに疑似的に緊急地震速報を送信して、端末による挙動の違いを確認するというデモを実施し、会場に訪れた人の関心を集めていました。

※電波暗室とは外部・内部両方からの電波の影響を受けず、周囲の電波環境に影響されない空間のこと。無線機器のテストや実験に用いられる特殊な部屋のことです。

(文:佐野正弘)

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