多くのスマホメーカーがバッテリーの容量を増やしたり、ソフトウェアをチューニングしたりしてスタミナアップに努めている中、ソニーモバイルは「バッテリーの長寿化」という異なるアプローチを取っている。それが「いたわり充電」だ。
米Qnovoとの協業で、Xperia X Performanceでもバッテリーを劣化させない最適化は行っていたが、いたわり充電はこれを強化した形だ。ユーザーの行動パターンを学習し、寝ている間に充電をする場合、起床時間に合わせて充電が完了するよう自動で調節してくれる。行動パターンは、早くて1週間程度で学習するという。
「バッテリーは特性上、満充電状態で放置するとよくありません。今回はそこで起こる劣化をいかになくすかに着目しました。例えば0時に寝て7時に起きると、7時まで100%で放置されてしまいます。そこで、充電の開始と終了のタイミングを学習して、次に終了するタイミングでちょうど100%になるように、充電速度を調節しています」(川原崎氏)
住んでいる地域の気温や気候の影響で、一概に「○年持つ」とは言えないが、目安として「従来の2倍以上担保すること、2年使っても劣化しにくいこと」(川原崎氏)を目指した。
もちろんバッテリーの持ちにも気を配っている。容量はXperia X Performanceの2570mAhから2900mAhに上がり、「ソフトレベルでも省電力設計を行っている」(川原崎氏)。また、Android 6.0では、バックグラウンドでのアプリの動作を抑える「Doze」モードが新たに搭載されたが、Xperiaの「スタミナモード」と機能がかぶってしまう。そのため、Xperia X Performance以降のモデルでは「Dozeとバランスよく共存する形でスタミナモードを再設計した」(川原崎氏)という。
さらに、Xperia XZでは節電レベルを3段階から選べるようにして、ユースケースに即した節電ができるよう配慮した。
Xperia XZは、ソニーモバイルが2016年から導入している「Xシリーズ」のフラグシップに位置付けられる。これは理解できるが、Xperia X Performanceとはどうすみ分けるのか。グローバルで展開しているXperia Xシリーズ全体を見ると、Xperia X Performanceは派生モデルといえるが、日本ではX Performanceもフラグシップモデルだという。
「グローバルではXperia Xを導入し、より高いスペックのニーズが強い地域で、ハイエンドモデルのXperia X Performanceを導入しました。Xperia XZはXperia X Performanceの後継となるフラグシップ機として導入しています。日本とグローバルではラインアップの視点で違うこともあります」(川原崎氏)
一方、日本ではドコモを中心に、ハイエンドモデルは「各メーカー年に1機種」という方針になりつつある中で、Xperiaについてはこれまで通り、年2回のモデルチェンジとなっている。以前と同じく商品サイクルが早すぎるのでは……とも思うが、「Xperia XZでは、トリプルイメージセンシングや、より長持ちするバッテリーなど、新しい技術を導入しています。こうした技術をいち早く市場に届けたいという思いがあります」と川原崎氏は話す。日本で「年2機種」を維持できているのも、キャリアからの要望が強いことの裏返しでもある。
商品サイクルが短いと、どのタイミングで購入すべきか悩ましいが、3つのセンサーを備えた新しいカメラやいたわり充電など、Xperia XZは2年間しっかり使えるスマートフォンに仕上がっているといえる。
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