春モデルは、ボディーソープで洗える「rafre」や、親が使える管理機能を強化し、ココセコムとも連動する「miraie f」、ボディーがコンパクトで自撮り機能を強化した「AQUOS SERIE mini」など、どれも各メーカーの顔となるフラグシップモデルではない。一方で、ここに一言で紹介したように、それぞれiPhone 7やiPhone 7 Plusにはない、明快な特徴を持った端末だ。
これらに加え、6年ぶりに復活したLTE対応のタフネスケータイ「TORQUE」をラインアップに加えた。タフネスケータイは、アウトドアを趣味にするユーザーから根強い人気があるのと同時に、耐衝撃性やテンキーでの操作性、バッテリーの持ちは、iPhoneにはない強力な売りといえる。それが全てユーザーに必要なわけではないが、一定規模のマーケットは確実にある。
コンパクトで片手持ち可能なWi-Fiルーターの「SPPED Wi-Fi NEXT」や、家庭内に置き、WiMAX 2+やLTEを固定回線の代替として使うことを想定した「SPEED Wi-Fi HOME」も、引っ越しが多い新生活シーズンのニーズに合ったものだ。
さらに、KDDIの新提案として、LTEに対応したNASの「Qua station」を発売する。Qua stationは、写真や音楽などを保存しておくためのストレージで、容量は1TB。「16GBのiPhoneを使っていて、(データがいっぱいになってしまい)OSのアップデートもできないという声を、女子高生などから聞く」(KDDI担当者)というのが、企画の出発点。ライトユーザーに合わせ、設定を簡易にするために、LTEに対応させ、シェアプランで月額300円(キャンペーンで36カ月間無料)から契約できるようにした。
LTEを使って写真を転送できるため、そのぶん利用するデータ容量は増えてしまうことになるが、「画像は圧縮し、動画もトランスコードをかけ、データ容量を食わないように工夫している」(KDDI担当者)という。また、学割天国U18の対象ユーザーであれば、最大で20GBのデータを利用できる。よほど極端な使い方をしなければ、途中でデータ容量が尽きてしまうこともないだろう。段階制プランを導入したKDDIにとっては、ARPUを上げる武器にもなる。
auの学割が、ユーザーからどのように評価されるのかは未知数だが、内容を見た限りでは、サブブランドやMVNOに一矢報いた印象も受けた。また、学割は、キャリアにとって、テストマーケティング的な側面もある。事実、2016年は学割で3社が容量の大幅アップを行い、その後、ソフトバンクが「ギガモンスター」として20GB、30GBプランを導入。ドコモやauもここに追随した。この視点でauの学割天国を見ると、段階制プランを正式導入する布石にも思えてくる。似た形の料金プランは、一部MVNOが展開し人気を博しているため、auの学割天国の反響や収益性次第では、MNOに広がる可能性もありそうだ。
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