総務省消防庁は5月11日、「スマートフォンアプリ等による国民保護情報の配信サービスの活用」(PDF形式)を公表した。
同庁は、「緊急地震速報」「(大)津波警報」や「国民保護情報」を全国の自治体などを通して配信する「全国瞬時警報システム(Jアラート)」を2007年から運用している。国民保護情報については、2014年4月から携帯電話事業者の「エリアメール」「緊急速報メール」としても配信している。
今回同庁がこのような文章を発出した背景には、日本周辺の安全保障環境の緊迫化はもちろん、エリアメール・緊急速報メールの受信に制限のあるSIMロックフリー端末の普及も挙げられる。この記事では、手持ちの端末で国民保護情報を受信できるかどうか、できない場合はどうすれば良いのかを解説する。
エリアメール・緊急速報メールで配信される「国民保護情報」は大きく「武力攻撃事態」と「緊急対処事態」の2種類に分けられる。
前者は「武力攻撃が発生した事態または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」と定義され、具体的には以下のような事態を想定している。
後者は「武力攻撃の手段に準じる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態または当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」と定義され、具体的には以下の事態を想定している。
簡単にいえば、外国からの攻撃やテロによって国民の生命が危機的状況に陥るか、陥る恐れがある場合に発出されるものが「国民保護情報」ということになる。
国民保護情報をエリアメールや緊急速報メールとして受信する場合、手持ちの機種によって対応状況が異なる。以下を読んだ上で、自分の機種がどのようなステータスにあるか確認しよう。
NTTドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー電話)、ソフトバンク(SoftBank/Y!mobile)が発売する携帯電話では、基本的にエリアメール・緊急速報メールの「災害・避難情報」として国民保護情報を受信できる。
ただし、一部で非対応の機種もある。各キャリアの対応機種一覧で、自分が使っている機種の対応状況を確認しよう。
MVNOサービス(いわゆる「格安SIM」)を上記の事業者の端末で使う場合、端末の発売元と同じ事業者の回線を使ったサービスであれば、国民保護情報を問題なく受信できる。
ただし、SIMロックを解除した上で、端末の販売元と異なる事業者の回線を使う場合は国民保護情報を受信できない。後述の「受信できない端末ではどうすればいい?」を参照の上、対応しよう。
AppleのiPhoneシリーズでは、「iPhone 4S」以降の機種でエリアメール・緊急速報メールの災害・避難情報として国民保護情報を受信できる。
「iPhone 5s/5c」以降のSIMロックフリー販売分、あるいは「iPhone 6s」以降のSIMロック解除済み個体であれば、MVNOサービスを含め、どの事業者の回線を使っていても国民保護情報を受信可能だ(※)。
ただし、利用する回線事業者における最新の「キャリア設定」を適用する必要がある。iPhoneの「設定」から「一般」→「情報」と進むことで、更新の有無を確認できる。更新が必要な場合はダイアログボックスが出るので、「アップデート」をタップしよう。
※ドコモ回線を利用するMVNOサービスの場合、ドコモが販売したiPhoneであればSIMロックを解除していなくても受信できる
家電量販店、Web通販サイトやMVNOを通して販売されているSIMロックフリースマートフォンについて、昨今では緊急地震速報・(大)津波警報の受信に対応する機種が増加傾向にある。
しかし、緊急地震速報や津波警報に対応するSIMロックフリースマホであっても、国民保護情報を含む災害・避難情報の受信には原則として対応していない。後述する「受信できない端末ではどうすればいい?」を参照の上、対応しよう。
先述の通り、iPhone以外のSIMロックフリースマホを使っている場合、あるいは大手キャリアの端末で異なるキャリアの回線を使っている場合は、端末単体では国民保護情報を受信できない。
このような場合は、国民保護情報の配信に対応するスマホアプリやメール配信サービスで代替できる。消防庁では、ヤフーが提供する「Yahoo!防災速報」を対応アプリ・サービスとして紹介している。
国民保護情報を受信した場合、現在地からの避難など然るべき対応を取る必要がある。
内閣官房が設置している「国民保護ポータルサイト」には、国民保護に関する情報が集約されている。「何か」あった時に備えて、一度確認しておくと良いだろう。
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