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» 2017年07月24日 19時26分 公開

IIJmio meeting 16:格安SIMの通信速度が遅くなる要因は何か (3/3)

[房野麻子,ITmedia]
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パケットの破棄と遅延、対策としてはどちらがいいのか

 パケットを破棄してしまうと、TCPの特性としてパケットを再送する。こうなると、データを1つ送りたいだけなのに、実際にパケットは2つ、3つに増えてしまう。一方、遅延が発生すると通信速度が低下する。POIの混雑が避けられないときには、パケットドロップとバッファリング、キューイングのどちらの対処が良いのだろうか。

 掘氏は「流れているネットワークの特性や、通信事業者として何を重視するかにも依存するので、簡単に答えを出すのは難しい」という。破棄すると無駄なトラフィックが発生し、さらに混雑を生む。ただし、TCPの仕組みでパケットロスが起こると自然に速度を下げる仕組みを持っているので、そのうち再送が減る傾向になる。

 一方、多少遅延が発生しても、最終的には無駄なパケットを送ることなく通信は成立する。しかし、遅延が発生するとリアルタイム性が求められるアプリは使いにくい。また、一瞬ではあるがパケットを蓄えないといけないので、ネットワーク機器のリソースが必要になり、機材が高額になる。

IIJmio meeting パケット破棄と遅延のメリットとデメリット

IIJとしての考え方

 IIJとしては、極力再送を減らすように制御しているそうだ。再送はさらに混雑を生むことになるので、混雑が始まったら各端末の送信ペースを落とし、さらに混雑が発生しないように制御する。

 “使ったもの勝ち”にならないよう、公平性を重視したネットワーク設計にもしているという。混雑している状態でも、ある程度の速度が出るように極力帯域を確保し、使った分に対してユーザーが等しくコストを負担してもらうモデルになっている。

 さらに、遅延は一定にするように制御しているという。遅延がゆらぐとVoIPが使いにくくなるため、実利用での品質を重視し、遅延が多少大きくなっても極力一定にするような設計だ。

 掘氏は「優れた土管を目指している」とIIJの姿勢を表現。土管なので通信の中身には基本的に触れず、全てのパケットを等しく扱う。一方、IIJのネットワークの特徴として、「どちらかというと他社と比べてRTT(応答時間)が長い」といい、その結果として、スピードテストのRTTの値やスループットの値が悪く出やすいと認識している。

 速度対策にはさまざまな方法があるが、最終的には「ドコモ、KDDIから帯域を買うのが一番手っ取り早い。結果も一番出る」といい、堀氏は「増強は正義」と断言する。しかし、企業としては利益を出さなくてはならない。「短期的にお金をつぎ込んで品質を良くしても、それが続かなくて品質がガタ落ちしては意味がない。将来に渡って安定したサービスを続けるのが通信事業者の責務。ユーザーの満足と事業者の利益のバランスをとって、最適化する方法をずっと考えながらやっていく」と語り、IIJのネットワークに対する考え方を示した。

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