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» 2017年07月24日 19時26分 公開

IIJmio meeting 16:格安SIMの通信速度が遅くなる要因は何か (2/3)

[房野麻子,ITmedia]

速度低下の大きな要因はPOIの帯域不足

 携帯電話のデータ通信ネットワークには、端末、基地局、SGWとPGWがあり、その先がインターネットにつながっている。各ノード間をつなぐデータの通り道を「ベアラ」というが、ベアラをつなぎ合わせることで、最終的に端末がインターネットにつながる。各ベアラで発生している事象が、端末とインターネット上にあるサーバとの通信や速度に影響していく。

IIJmio meeting 各ベアラで発生している事象が、端末とインターネット上にあるサーバとの通信や速度に影響する

 とはいえ、IIJmioの場合、借りているドコモやKDDIのネットワークは強固に作られているので、ここの問題によって全国的に速度が遅くなることはあまり起こらないという。IIJ自身も長年ISPとして事業を運営し、全世界にネットワークを張り巡らせて強いネットワークを作っているので、「インターネット側の事象によって最終的に通信が遅くなることはあまりないと思っている」(掘氏)。

 では、どこが速度低下の要因になっているのか。掘氏によると、やはり一番はMNOとMVNOの間の「POI(Point Of Interface):相互接続点」と呼ばれる部分だ。「POIの帯域不足が速度低下の要因になることが、正直申し上げて一番多い」(掘氏)。POIの帯域は、MVNOがMNOから購入する接続帯域。MVNOが「帯域増強する」といった場合は、ここの帯域を増やしていると思っていい。

IIJmio meeting MVNOでは、POIの帯域不足が速度低下の要因になることが多い

 なぜPOIの帯域が不足するのか。さまざまな要因があるが、「短期的には需要の読み違えから不足する」。POIの帯域は、MNOに「○Mbps欲しい、○Gbps欲しい」と申し込む。その際、書類のやりとりが発生するので時間がかかるという。「だいたい1カ月先の需要を見越して帯域を増強しているが、突発的なイベントやOSアップデート、アプリのアップデートなどがあると読み違いが発生し、予測を外すことがある。ただ、「短期的なので、しばらく我慢すると直る。それに対策も1カ月あればできる」(掘氏)

 もう1つの要因は、MVNOのビジネス的要因だ。MVNOは大手キャリアよりも安くサービスを提供している。「ISPやMVNOは設備産業なので、究極的には一定の設備、ここでいえば帯域にいかにたくさんのユーザーを“詰め込んで”、ギリギリの設備でやり繰りしたいのが本音。POIの帯域は、昔から比べるとかなり安くなってはいるものの、コストに占める割合はかなり大きいので、潤沢に足すことはできない」(掘氏)。コストと品質のバランスを最適に保つことがMVNOの事業のキモであり、「一番悩ましいところでもある」。

POIが混雑したらどうするか

 読み違いが発生して、POIが混雑してしまったらどうするか。「できることはそんなにたくさんあるわけではない」といい、「どれかのパケットを破棄する(パケットドロップ)か、帯域に余裕が出るまで、ほんの一瞬だが送信を我慢(バッファリング、キューイング)」するという。

IIJmio meeting POIで混雑が発生したら、パケットを破棄するか、送信を遅らせることで対応する

 パケットドロップについては、通信事業者が自由にパケットを破棄していいわけではなく、通信の秘密やユーザー間の公平性、ネットワークの中立性といった制約がある。事業者の一方的な都合で、好き勝手に破棄するパケットを決めることはできない。

 また、トラフィックは一定に流れているように見えるが、一瞬、一瞬をとらえると波があるという。そのため、送信を遅らせ、空きができたタイミングで流すことができる。これがバッファリング、キューイングだ。蓄えられる量には限りがあるので、遅らせられるのは長くても100ミリsecとか200ミリsec程度だが、一瞬、遅延する。

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