AI搭載のおかげで、主な機能は通常の「写真」モードだけで済んじゃうわけだが、手動で切り替えて使うべき機能として「夜景」が追加された。
通常の写真モードでも、新型センサーのおかげで暗所での撮影には強い。4000万画素から1000万画素の画像を作るってことは、1画素の絵に4画素分の情報を使えるわけで、その分ノイズを減らして画質を上げられるのだ。
例を見てみよう。
この写真はISO感度が5000。街灯だけに照らされたアジサイをめちゃ高感度で撮るハメになっているのだが、ノイズも目立たないし、色もディテールもちゃんと出ていて、スマートフォンのISO5000とは思えない写り。
これは良い。
さらに「夜景」モードにすると、約4秒かけて(すごく暗い場所だともっと長くなるが)1枚を撮影する。
といっても、4秒の超スローシャッターではなく、4秒かけて撮影条件を変えながら何枚も連写し、それを上手に合成して「1枚の夜景写真」を作るという手法を取っている。
撮影した写真の撮影情報を見るとシャッタースピードが「4秒」と表示されるが、実際はそこまで長くないので、手持ちでも(慎重に構えれば)しっかり撮れる。
こんな感じに。
連写と合成をしている証拠として、クルマのテールライトがいくつもズレて重なってるのが分かるかと思う。
両方で撮ってみると通常の撮影でもいいような気がしちゃうが、実は大きな違いが1つある。
次の比較画像を見ると分かりやすい。
左が通常の写真モード、右が夜景モード。夜景モードでは露出を変えながら撮影して合成するので、ハイライト部分の白トビと暗部のツブれが抑えられているのだ。
つまり、白トビしすぎずに、明るめの夜景を撮れるのである。
それを念頭において使い分けるとよさげだ。
あと1つ追加するとしたら、スローモーション撮影かな。
これ、撮影時間が決まっている(自動的にスローにして自動的に撮影が終わる)ので、決定的一瞬を狙うのは難しいが、この超スローっぷりは体験すべし。
という感じで、新機能を中心に見てきた。
複眼、つまり複数のカメラとAIは当たり前の時代にきた、って感じだ。
個人的にはAIをうたうなら、19被写体やシーンなんていってないで、100個や200個は当たり前な感じで被写体を認識してほしい。1つの写真に対して複数の被写体を認識するだろうから、認識した被写体やシーンのタグを写真データに書き込んで、後から検索できるようにしたり「高層ビル」とか「雨の日の鳥居」とか「山と川」とか「自転車」とか「晴れた日の富士山」とかそういう条件で自動的に被写体別アルバムを作ってくれたりとか、複数のキーワードを組み合わせた検索ができたりとか。
みんな何でもスマホで撮って記録していく時代、昔撮った写真からパッと見たい写真を引き出せるって大事だし、Googleフォトに突っ込んじゃえば似たようなこと可能なのだけど、せっかく撮影時にいろんな情報を得ているのだから、それをいろんな活用できたら良いなと思うわけである。
面白い時代になってきたと思う。
で、せっかく新機軸が詰まったカメラ機能なので一般に分かりづらいところを中心にあれこれ解説してみたけど、要するに「広角も望遠も撮れる10Mの賢いカメラを搭載した」端末、と思えばOKだ。
「P20 Proは買いか?」といわれると、間違いなく「買い」である。
カメラとしての写りの安定感はあるし、望遠が使えるようになったのも撮影の幅が広がる。カメラでスマホを選ぶなら、トップを争う1台であることに間違いなかろう。
望遠が不要でSIMロックフリーが良いなら、P20という選択肢もありだとは思うけれど。
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