インカメラはビデオ通話の快適さを重要視した、超広角1200万画素のものを搭載。このカメラは画面の前の被写体をとにかく広く取って、ビデオ通話時に「センターフレーム」機能で顔の周辺だけを自動的に切り取って表示する用途にほぼ特化したものとなっている。Phone 13 Proの自撮り向けインカメラとは性質が明確に異なるわけだ。
センターフレームはFaceTimeの他、Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなど他社のビデオ通話アプリでも有効だ。ビデオ通話のたびに、いちいちiPad miniの下に本を置いて高さを変える苦労や、ビデオ通話中に顔が中央へ写るよう同じ姿勢のままじっとする苦労から解放してくれる。通話中に姿勢を変えて少々左右に動いても、センターフレームが顔に追従して表示し続けてくれる。
もちろん、iPad miniの位置を調整した方がより見栄えは良くなる。一番簡単な方法は、インカメラが画面上部中央に来る縦向きでの参加だ。iPad miniのスタンド付きケースをうまく使って机に立たせるだけでも目線が自然な印象になる。
1200万画素アウトカメラの感度はそこまで良くはない。iPhone 11シリーズ以降に搭載されている夜景撮影のナイトモードも搭載していない。仕様は若干異なるものの、iPhone SE(第2世代)あたりや、近年の低価格帯スマホと同レベルだ。
最後に、iPad mini(第6世代)のどのモデルを買うべきか見ていこう。製品ラインアップはWi-Fiモデルと、GPSも利用できるWi-Fi+Cellularモデルの2種類があり、それぞれ64GBモデルと256GBモデルが存在する。グレードを1ランク上げるごとに1万8000円アップする価格設定だ。なお、128GBモデルは用意されていない。
筆者の場合、利用用途が動画や電子書籍、ブラウザの他、GPSを利用するナビアプリとビュワーや旅先でのナビ利用が主だったので、Wi-Fi+Cellularモデルの64GBを購入した。残りのストレージ容量は購入時点で50GBを切っているが、再生するデータはストリーミングやクラウドが中心だ。この製品で写真や動画は撮らないので、アプリの容量に気を付けていれば問題なく使えるだろう。内蔵ストレージの代わりにネットワークやクラウド利用を優先した構成ともいえる。
一方で、iPad mini(第6世代)の処理性能を生かして写真や動画編集に使う、大容量のゲームを数多く楽しみたい人は256GBを選ぶべきだろう。ただ、最大構成は10万円近くで、11型iPad Proに手の届く価格帯になる。購入時は用途をよく考えて選びたい。128GBモデルがあれば手ごろで良かったのだが。
今回のiPad mini(第6世代)は、手持ちのiPhoneをiPhone 13に買い替えるにはやや物足りない人や、既存のiPadの買い替え、Android利用者が手ごろなタブレットを購入したいといった幅広い用途にマッチするモデルだ。最新のA15 Bionicを搭載し性能に対するコストパフォーマンスだけでなく、今後長く現役で使えるという点でも非常に優れている。ここまで優れた製品なら、別記事で紹介する少々のゼリースクロールも我慢して利用できるだろう。
ただ、現状の8型高性能タブレットはこのiPad mini(第6世代)の完成度が高く、他の選択肢がほぼないのは物足りない。2022年初頭に提供予定の、タブレットや折りたたみ端末向け「Android 12L」登場に合わせて、各社から直接的なライバル製品が投入される点も期待したいところだ。
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