――無線LANについてインテルはKedronで802.11nへの対応を表明していますが、IEEEにおける802.11nの標準化が遅れています。インテルは802.11nの標準化までKedronのリリースを待つのでしょうか。
エデン副社長 いいえ、Kedronは802.11nドラフト準拠という形で、当初の予定通りSanta Rosaと同時にリリースされます。ドラフト仕様のハードウェアといっても、802.11nは技術的にかなり固まっており、2007年第4四半期だと見込まれている802.11nの正式標準に十分対応可能なものになる予定です。
――ドラフト、正式標準を問わず、802.11nはオプション技術が多く、アクセスポイントと端末間で相互接続ができたとしても、ベストの性能が発揮できるとは限らないと思われます。アクセスポイントのビジネスから撤退したインテルに純正のアクセスポイントはないわけですが、相互接続性や完全な性能を引き出すための検証はどうなるのでしょう。
エデン副社長 Kedronとサードパーティ製アクセスポイントの相互接続性は、非常に重要な問題です。つながらない無線LANなど誰も欲しないわけですから。逆に、Centrinoが接続できないアクセスポイントを望むホットスポット事業者もいないでしょう。この点についてはしっかりとやります。また、接続時のスループットについても、アクセスポイントの大手4社(D-Link、Netgear、Linksys、Buffalo)と協力して、検証していく見込みです。
――Kedronのもう1つの新機能は、iAMT 2.5(無線LANをベースにしたIntel Active Managemet Technology)への対応です。iAMTが有効であるには、常にシステムの一部(チップセット内のManageability Engineなど)が動いている必要があるわけですが、これがバッテリー駆動時間に影響を与えることはないのでしょうか。
エデン副社長 Santa RosaベースのノートPCを有線LANに接続した場合、そのマネージメント機能はデスクトップPCのiAMTと同等です。有線LANが利用できる環境であれば、通常ACも利用できると考えられます。問題はモバイル環境で利用されている場合(有線LANケーブルが接続されていない場合)です。この時、ノートPCのiAMTはデスクトップPCとは若干異なる振る舞いをします。たとえばデスクトップPCでは、ACケーブルとLANケーブルが接続されている限り、マシンのステータスにかかわらずiAMTにより遠隔管理が可能ですが、ノートPCではS0ステート時の遠隔管理はサポートされません。
iAMTがバッテリー駆動時間に全く影響を与えないということはありませんが、セキュリティとバッテリー駆動時間の多少の増減とどちらが重要なのか、という視点も必要でしょう。コンピュータウイルスに汚染された1台のPCにより、企業のネットワーク全体が崩壊の危機にされされることもあります。それを考えると大企業にとって、アンチウイルスソフトの更新は、バッテリー駆動時間を犠牲にしても優先しなければならないことかもしれません。もちろん、これは誰に対してもそうであるというわけではなく、最終的にはユーザーが選ぶべきことではないでしょうか。
――Santa Rosaのもう1つのワイヤレスオプションとして提供されるWiMAXですが、全世界で利用可能な製品になるのでしょうか。
エデン副社長 サポートする周波数帯やハードウェアという観点からはそのつもりです。アメリカで使っていたノートPCを、日本に持ってきたらネットワークに接続できないというのでは、製品としての魅力がありません。しかし、現時点ですべての世界、地域でWiMAXのサービスが展開されているわけではありませんから、本当に接続できるかどうかを今、保証することはできません。旅先でホットスポットを探して右往左往するより、WiMAXでスッと接続できる方が素敵だと思いませんか。Wi-Fiも、Centrinoを立ち上げた時にはノートPCへの搭載率は10%程度しかありませんでした。ところが、今では搭載率は96%に達したと言われています。良い技術は、かならず普及するものなのです。WiMAXも良い技術だと思いますよ。
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