PCだからこそできる“地デジ”を提案したい――「MonsterTV HDU」担当者インタビュー(2/2 ページ)

» 2007年10月17日 16時59分 公開
[後藤治,ITmedia]
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製品化までの苦労

――今回は録画データのムーブなどもできませんが、“それ以上”を求める人もいますよね。それに、既存モデルのユーザーに対してチューナーを販売できないという問題もあります。

正木氏 そういうユーザーがいることはもちろん把握していますし、弊社でできる範囲とできない範囲はありますが、(各団体に)要望は出しています。それがファームアップでの対応になるのか、別の製品になるのかも含めて、そのためにできることはしています。

 後者についても、PCとMonsterTV HDUが同時にユーザーに届かないと1つのシステムとして認められないので、この部分は業界団体が理解してくれないといけませんし、それがまだクリアになっていない現状では、正式に“やる”“やらない”と回答することはできません。当然、要望は出していますが……ただ、この場で内容を言うことはできませんが、“面白い回答”はもらっています。

――発表会の日時が延期されたのもそのあたりに関係があるのでしょうか?(MonsterTV HDUの発表が当初の案内から遅れたという経緯がある)

正木氏 ええと、いまでは“苦労話”として話せますが、製品自体とは別にいろいろと問題はありました。今回の製品に関しては、当然ですが弊社とB-CASとの間で契約があります。ただ、B-CASが想像していたのは、こういう形態(外付けポータブル型)でのチューナーではなく、内蔵型というイメージだったらしく、当初予定していた発表日の2〜3週間前に実機を持って行ったら、「ちょっと待て」と直前で言われたんですね。

 こちらのほうでは以前から「外付けですよ」という話はしていたのですが、もしかしたらこの契約ではできないかもしれない、というようなことを直前になって言われまして、こちらも(発表が遅れたら)機会損失などが発生しますから、話し合いでいろいろと緩和をさせていただいた、という経緯があります。B-CASもお役所体質的なところがありますし、まあ、いまとなっては苦労話ですが、いろいろとありました。

呉氏(デル広報) 我々も外資系なので動きはそれほど速くありませんし、初めての地デジ対応モデルということで、B-CASとのやり取りも今回が初めてだったので、不慣れな部分もありましたから。

――そういった規制がユーザーの利便性を阻害している印象を受けますが、メーカーとしてどう思いますか?

正木氏 今回のMonsterTV HDUについて言えば、このソリューションがユーザーの利便性を向上させられるものかどうか、正直分からない部分もあります。ただ、現状マーケットにない、そして我々が提案できる1つのアッドバリューとして、認知してもらいたいという気持ちはありますね。これがデルとしての最初の地デジ対応PCだと。

――1ユーザーとしては?

“現状では限界”のB-CASカードサイズだが、技術的にはさらに小型化することも可能

正木氏 わたしは開発者ではないですが、もっと小さくですとか、ハード的な部分で、そぎ落としたい部分はあるでしょうし、それで同じ仕様を満たせれば一番いいと個人的には思います。

田野氏 例えばB-CASカードも必要な部分はすごく小さいので、携帯のSIMカードみたいにしてくれれば、物理的な自由度は高くなりますし。あるいはソフトウェアCASとか、開発側としては大歓迎ですよね。

正木氏 技術的な側面で言えば、たいていのことは可能なんですよ。だからこそ、いろいろとある制限の中で、単なるTVではない、PCだからできる使い方を、PCメーカーが何とか提案していかなければいけないと思っています。それを一番初めにやれるベンダーは誰なのか、アイデアの勝負になると思います。

 とにかく今回デル初の地デジモデルとして我々が提案したのは、「何でも好きな製品を選んでください。気に入ったモデルで手軽に地デジを楽しめます」ということです。ご案内の通り、ビックカメラで実機に触れることもできるので、是非体験していただきたいと思いますね。

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