デルの「Inspiron Mini 12」は、一般的なNetbookの画面解像度(1024×600ドット/1024×576ドット)より大きい1280×800ドット表示の12.1型ワイド液晶ディスプレイを備えた低価格スリムノートPCだ。Windows Vista Home Basic(SP1)またはWindows XP Home Edition(SP3)搭載モデルで5万9980円から、Ubuntu版なら4万9980円と安価で、ファンレス設計による静音仕様とほかのNetbookにはない特徴を備えているのがウリだ。店頭モデルは仕様が固定だが、直販モデルではBTOに対応しており、細かなカスタマイズが行える(メインメモリは1Gバイト固定)。
内部のシステムは、一世を風靡(ふうび)したVAIO type Pと同じMID(Mobile Internet Device)用のMenlow(開発コード名)と呼ばれるプラットフォームで、CPUがAtom Z530(1.6GHz)/Z520(1.33GHz)、チップセットにはIntel SCH(システム・コントローラー・ハブ:Intel AF82US15W)を採用する。HDDは1.8インチタイプで、容量は80Gバイトか60Gバイトから選べる。そのほか、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LANをはじめ、BluetoothやIEEE802.11b/g対応の無線LANを標準で搭載している。ボディサイズは299(幅)×229(奥行き)×23.3〜27.6(高さ)ミリとほぼA4サイズで、凹凸が少なく比較的スリムなためカバンへの収納もスムーズだ。重量も約1.24キロとNetbookとほぼ同クラスに収まっている。
細かい仕様や製品レビューなどは下の関連記事に譲り、ここではInspiron Mini 12の内部構造に迫ってみた。
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一般的なノートPCは底面にメモリスロットやHDDベイを備え、ユーザーレベルでも比較的容易に増設や換装が可能だ。しかし本機では底面がフラットでアクセスできる部分は見あたらず、内部へたどり着くためには、ほぼ全分解が必要となる。このあたりは日本エイサーの「Aspire one」やMSIの「Wind Netbook」に近いものがあり、底面から容易にアクセスできる姉妹機の「Inspiron Mini 9」とは対照的だ。
具体的な手順としては、キーボード上部にある電源ボタンを備えたメッシュ状のカバーを取り除き、2本のネジで固定されたキーボードユニットと底面にあるネジを16本外すことで、マザーボードやHDDが姿を現す。この際、タッチパネルや液晶ディスプレイの信号ケーブル、無線LANのアンテナなどを切断しないよう、慎重に取り外しておこう。
少々面倒な作業を経て内部にたどり着いたものの、ユーザーが手を加えられる部分は極めて少ない。というのも、ワイヤレスWAN用のMini PCI ExpressスロットやSIMカードスロットは配線パターンがあるだけでスロットは実装されておらず、肝心のメモリもCPUやチップセットを1枚まとめたモジュールで提供されているからだ。後者の部分は、ソニーの「VAIO type P」とほぼ共通といえる(ただし、VAIO type Pは2Gバイトのメモリをオンボード実装する)。
そのため、ユーザーが換装可能なのは1.8インチHDDと無線LANのモジュール程度に限られる。5ミリ厚のHDDも、ZIFコネクタを採用したParallel ATAドライブであるため、交換するにしても選択肢は少なく、購入状態のまま利用するのが現実的だろう。また、内部は1.8インチHDDが3〜4台は入れられそうなほどスペース的に余裕があり、パーツやケーブルがぎっしりと詰まったVAIO type Pとは好対照だ。
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次のページでは、マザーボードやメインモジュールを見ていこう。
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