今回発表された「Xeon 5500」シリーズは、その開発コード名が“Nehalem-EP”とされていたように、2008年に登場した新世代アーキテクチャを採用したNehalem世代のコアを採用する。インテルの説明によると、従来モデルのXeon 5400シリーズと比べて、最大2.25倍の性能向上を実現したのと同時に、性能と電力消費のバランスを最適化することで、ランニングコストと管理コストを削減できるとしている。
Xeon 5500シリーズのターゲットとしては、消費電力あたりの性能が高いラックサーバ、ブレードサーバが想定されている。インテルが「Xeon 5500によって変わったのはCPUだけでなく、大規模なシステムの革新である」と述べるように、メモリコントローラを内部に統合しているXeon 5500シリーズを導入するサーバでは、プラットフォームアーキテクチャやメモリサブシステムも一新される。
Xeon 5500シリーズは“W”クラスが1モデル、“X”クラスが3モデル、“E”クラスが6モデル、“L”クラスが2モデル用意される。
プロセッサーナンバ | 動作クロック | TDP | コア数 | キャッシュメモリ容量 |
---|---|---|---|---|
W5580 | 3.20GHz | 130ワット | 4 | 8Mバイト |
X5570 | 2.93GHz | 95ワット | 4 | 8Mバイト |
X5560 | 2.80GHz | 95ワット | 4 | 8Mバイト |
X5550 | 2.66GHz | 95ワット | 4 | 8Mバイト |
E5540 | 2.53GHz | 80ワット | 4 | 8Mバイト |
E5530 | 2.40GHz | 80ワット | 4 | 8Mバイト |
E5520 | 2.26GHz | 80ワット | 4 | 8Mバイト |
E5506 | 2.13GHz | 80ワット | 2-4 | 4Mバイト |
E5504 | 2.00GHz | 80ワット | 2-4 | 4Mバイト |
E5502 | 1.86GHz | 80ワット | 2-4 | 4Mバイト |
L5520 | 2.26GHz | 60ワット | 4 | 8Mバイト |
L5506 | 2.13GHz | 60ワット | 2-4 | 4Mバイト |
プロセッサーナンバ | QPIスピード | メモリクロック | Turbo Boost ステップ数 | HTサポート | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
W5580 | 6.4GT/s | 1333MHz | 3 Step | ○ | 1600ドル |
X5570 | 6.4GT/s | 1333MHz | 3 Step | ○ | 1386ドル |
X5560 | 6.4GT/s | 1333MHz | 3 Step | ○ | 1172ドル |
X5550 | 6.4GT/s | 1333MHz | 3 Step | ○ | 958ドル |
E5540 | 5.86GT/s | 1066MHz | 2 Step | ○ | 744ドル |
E5530 | 5.86GT/s | 1066MHz | 2 Step | ○ | 530ドル |
E5520 | 5.86GT/s | 1066MHz | 2 Step | ○ | 373ドル |
E5506 | 4.8GT/s | 800MHz | − | − | 266ドル |
E5504 | 4.8GT/s | 800MHz | − | − | 224ドル |
E5502 | 4.8GT/s | 800MHz | − | − | 188ドル |
L5520 | 5.86GT/s | 1066MHz | 2 Step | ○ | 530ドル |
L5506 | 4.8GT/s | 800MHz | − | − | 423ドル |
Nehalem世代のXeonでは、CPU間の接続にもQPI(QuichPath Interconect)が使われる。そのほか、休止状態のコアによって確保できた熱設計の余裕を利用して動いているコアの動作クロックを2ステップ向上させる「Intel Turbo Boost Technology」や、1つの物理コアで2つのスレッドを処理する「Intel Hyper-Threading Technology」など、すでに登場しているデスクトップPC向けNehalem世代CPUのCore i7で導入された技術が、Xeon 5500シリーズでも採用されている。Xeon 5500シリーズで改善された省電力性能について、インテルはXeon 5400シリーズから最大消費電力で12%、アイドル状態で47%という値を挙げている。
インテルは、Xeon 5500で仮想化性能が向上されたことも重要なポイントとして訴求する。Xeon 5500を組み込んだプラットフォームでは、Nehalemに導入された仮想化技術のほかに、ダイレクトI/O向けの仮想化技術、コネクティビティ向け仮想化技術が利用できる。インテルの説明では、ベンチマークテスト「vConsolidate」で測定した値において、4コアのXeon 5500シリーズのシステムは4コアのXeon 5400シリーズのシステムの約2倍の値を出しているのが紹介された。
性能効率と省電力性能が向上したXeon 5500シリーズを導入することでTCOが削減できるため、インテルは、システム更新のコストが早期に回収できるとしている。その具体的な例として、2005年に導入した184台のXeonサーバを21台のXeon 5500シリーズサーバに更新した場合、電力や冷却費用といった運用コストの削減で年間8万3000ドル、仮想化によるOSライセンス費用などのソフトウェアコストの削減で年間14万7000ドルがそれぞれ削減できるため、8カ月で導入コストが回収可能だと説明している。(記事掲載当初、Xeon L5520のQPIスピードに誤りがありました。おわびして訂正いたします)
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