4月2日、AMDの新GPU「RADEON HD 4890」を搭載したグラフィックスカードが複数のメーカーから登場した。価格は3万円前後ながら、2万4990円のノーブランド品も出回っている。在庫は潤沢だ。
RADEON HD 4890はAMDのシングルコアで最上位に位置し、コアクロック850MHz、メモリクロック3.6GHzで動作する。リファレンスカードはGDDR5メモリを1Gバイト搭載し、補助電源コネクタは6ピンタイプを2個搭載。消費電力は60〜190ワットで、下位のHD 4870と比べると上下に30ワットずつ範囲が広がっている。発売初日からMSI製のオーバークロックモデルも出回っており、コアクロック880MHz、メモリクロック3.996GHzで動作する。
入荷した多くのショップでは、様子見が起きていると語る。ツートップ秋葉原本店は「注目度は高いですが、多くの人がNVIDIA側のカードの動向を見守っている印象です。あちらのほうがパフォーマンスが高いという評判もありますし、まだヒットするかは見えていないです」と語る。
ただし、「シングルコアでAMD最強というのは重要です。CrossFireXを構築する際に最大4枚使えますから、2枚が上限になるデュアルコアのHD 4870X2よりも伸びしろが広い。仮にNVIDIAとの勝負で劣勢になったとしても、一定の需要はあると思います」(T-ZONE.PC DIY SHOP)との見方をするショップも複数あった。
そのNVIDIAの新GPUは「GeForce GTX 275」だ。同社シングルコア最上位のGTX 285の1つ下位に位置するモデルで、コアクロック633MHz、メモリクロック2.268GHzとなる。消費電力は最大219ワットに上る。多くのショップは4月6日以降の発売を予想していたが、ドスパラ秋葉原本店はPalit製の搭載カード「NE3TX275FT394」を4月4日から発売している。価格は2万7800円。896MバイトのGDDR3メモリを搭載しており、6ピン×2個の補助電源を搭載する。
NVIDIAのシングルコアGPUで2番手となるが、「ベンチマークによってはGTX 285を上回る結果が得られるようです。パフォーマンスが高いうえに価格も安いとあって、同価格帯のRADEON HD 4890と正面対決になるのは間違いありません」(フェイス本店)と評価は高い。
その半面、「発熱量がGTX 285よりも高いので、電源ユニットもかなり高性能なものが必要です。比較的省電力でそこそこ性能が高いHD 4890と、爆速爆熱のGTX 275のどちらに軍配が上がるのか、ちょっとフタを開けてみないと分からないですね」(パソコンショップ・アーク)と言われている。
この新GPU対決の注目度が高いのは、現在GeForceとRADEONのシェアがきっ抗している点にもあるという。某ショップは「現在の売れ行きはNVIDIAとRADEONでだいたい同じですが、グラフィックスカードはマザーボードやCPUの系統に関わらず単体で乗り換えが可能なために、従来のシェアが将来に反映されづらいんですね。このため、注目度の高いラインでヒットした側にユーザーが集まってシェアが大きく変動する可能性があります。ショップとしては互角の勝負をして引き分けてくれるのが一番うれしいですけど、どうなるでしょうかね?」と話していた。
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