Atom N280×9.3時間駆動の新鋭Netbook――「Eee PC 1000HE」に迫る(後編)そのスタミナは本物か!?(3/3 ページ)

» 2009年04月06日 16時10分 公開
前のページへ 1|2|3       

新設計のキーボードとマルチタッチ対応のタッチパッドを搭載

キー同士の間隔を離した新型キーボード

 1000HEの特徴の1つに、新たに設計されたキーボードがある。各キーをフラットな形状に変更し、キーとキーの間にすき間を設けて格子状のパネルにはめ込むことで、ミスタイプの可能性を減らしつつ、見た目にもすっきりしたデザインに仕上げているのがポイントだ。

 こうしたデザインのキーボードはその昔、ゴム製キーボードによく見られ、俗に「チクレットキーボード」と呼ばれたが、キーの押しにくさから廃れていった。しかし、昨今ではプラスチックのキーキャプとゴム製ドームを用いてキーを押しやすくしたうえで、格子状のパネルと組み合わせた改良型が登場し、MacやVAIOが積極的に採用し始めたことで、ちょっとしたトレンドとなっている。Eee PCもこの流れに乗った形だ。

 1000HEのキーボードは日本語87キー仕様となっており、1000H-Xの日本語86キー仕様から新たに右Altキーが追加された。そのほかのキーレイアウトは共通化されており、全体的にクセのない無難なキー配列だ。

左が1000H-X、右が1000HEのキーボード。1000HEはキーとキーの間隔を離すことで、ミスタイプを減らす工夫をしている。最下段に右Altキーが追加されたことを除けば、キーの配列は同じだ

 アルファベットキーは横14ミリ/縦13ミリ、スペースバーは横52ミリ/縦13ミリと十分なサイズで、隣接するキーが離れていることから、確かに隣りのキーを誤って押してしまうことは少なかった。しかし、最上段のキーは横11.5ミリ/縦9ミリと小さめで、カーソルキーと、その周囲にある右Shift、「ろ」は横10ミリ/縦13ミリ、「半角/全角」と「¥」も横10ミリ/縦13ミリと変則的なキーピッチなので、これらは1000H-Xより押しにくい印象だ。その一方で、「ろ」の左隣りにある「め」や右Ctrlのキーは長めにデザインされており、各キーのサイズには少しチグハグな面も見られる。

 もっとも、キーの並び自体に無理はなく、主要キーのキーピッチは約17.5ミリを確保しているため、タッチタイプは十分に可能だ。キーストロークは実測で約2ミリといったところで、キートップは少しふらつくものの、クリック感があって意外に押しやすい。慣れれば、長文の入力も難なく行えるだろう。

 ただし、スペースバーを親指で押すと、親指の側面がキーボード下端の段差にぶつかる点と、入力時にキーボードユニットが少したわむのは気になった。キーボードユニットは裏面を粘着テープで止めて補強しているが、VAIOのようにキーボードユニットとトップカバーを溶接してガッチリと固定しているわけではない。新設計のキーボードは、デザインがよくなったとは思うが、使い勝手の面ではまだ改善の余地がありそうだ。

 なお、キーボードの左上には4つのワンタッチボタンを備えている。左から、液晶ディスプレイ表示のオン/オフ、画面解像度の切り替え、Super Hybrid Engineの動作モード切り替え、Skypeの起動が可能だ。このうち、右の2つはユーザーが任意のプロフラムを割り当てることもできる。

キーボードユニットは、キーボード上部にある4本のツメを押し込むことで取り外せる。テープで接着されているため、注意深くはがすことが必要だ。キーボードユニットは、格子状のパネルとキー部分が一体化した薄型だ(写真=左/中央)。キーボードユニットを取り外した状態の本体(写真=右)。中央のネジの上には、「はがすと保証が無効になる」ことを記載したシールが張られている

 タッチパッドは横67ミリ/縦37ミリと横長で、1000H-Xと同じものだ。左右のクリックボタンは十分なサイズがあるが、少し硬めの作りで、押すのに力がいる。タッチパッドにはEee PCシリーズでおなじみのElantech Devicesのユーティリティが導入されており、マルチタッチ機能に対応する。2本の指でパッドを上下/左右になぞるとスクロール、2本の指を広げたり閉じたりすると拡大/縮小、3本指で上になぞるとマイコンピュータの表示、3本指で下になぞるとウィンドウ切り替え、3本指で左右になぞるとページ切り替えなど、最大3本までの指を使った操作が可能だ。

 しかし、タッチパッドは縦が短めなので、慣れないうちは2本指を広げたり閉じたりする動作や、3本指での操作が少し窮屈ではある。また、タッチパッドの位置がキーボードのホームポジションに手を置いたときの中央ではなく、ボディの中央に配置されている点が気になる人もいるだろう。

Elantech Devicesのユーティリティにより、タッチパッドは2本指や3本指によるジェスチャーに対応する。マルチタッチの各動作は、機能のオン/オフやカスタマイズが可能だ

10型ワイド液晶ディスプレイは十分な視認性

10型ワイド液晶ディスプレイは1024×600ドット表示に対応する

 液晶ディスプレイのサイズと画面解像度は1000H-Xと変わらない。10型ワイドで1024×600ドット表示の非光沢パネルを搭載している。最近のNetbookでは、縦解像度がさらに短い1024×576ドット(アスペクト比16:9)の液晶ディスプレイが増えつつあるが、縦600ドットの解像度は維持された。

 もちろん、ほかのEee PCと同じように、ワンタッチボタンやタスクトレイのアイコンから画面解像度の切り替えが可能だ。縦解像度の狭さを補うため、画面のアスペクト比を無視して縦768ドットの解像度を縦600ドット表示の液晶パネルにスケーリング処理して映し出す「1024×768ドット圧縮」の設定も引き継がれている。

 表示の傾向は1000H-Xと少し異なる。最大輝度は1000H-Xより低めで、デフォルトの色温度はやや高め(白が青っぽい)の設定だ。もっとも、1000H-Xは輝度がかなり高かったので、1000HEの輝度がそれより低いとはいえ、明るさに不満はない。この明るさの違いは、前述のバッテリー駆動時間テストに少し影響しているものと予想される。非光沢パネルの採用により、外光が映り込む心配は無用で、Netbookに使われる低コストのTNパネルにしては上下の視野角も余裕があるため、視認性はよいほうだ。

長時間のバッテリー駆動と低価格がポイント

 以上、2回に渡ってEee PC 1000HEを検証したが、既存の機種を改良したモデルだけあって、手堅い製品という印象を持った。

 チップセットが変更されていないため、CPUをAtom N280に高速化した効果は体感できるほどではなく、パフォーマンスに過度な期待は禁物だが、Eee PCシリーズで最長を誇るバッテリー駆動時間は非常に大きな魅力だ。新型のキーボードは一長一短ではあるものの、打ちにくいものではなく、マルチタッチ対応のタッチパッドと、視認性が高い10型ワイド液晶ディスプレイを組み合わせることで、良好な使い勝手を提供してくれる。

 一方、常に携帯して使うことを考えると、大きめなボディサイズと重量はネックになるだろう。また、人によってはS101Hや1002HAに比べてデザインが洗練されておらず、発熱や騒音の面で不利なことが気になるかもしれない。しかし、そのぶん価格は4万7800円と安く、コストパフォーマンスは優秀だ。サイズやデザインに納得できるのであれば、買い得感の高い低価格ミニノートPCといえる。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月13日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  3. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  4. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  5. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  6. マウス社長が3日間“フル参戦”した理由とは? 大阪・梅田のど真ん中で起きた“eスポーツ×地域振興”の化学反応 (2026年02月11日)
  7. アイ・オー、拡張ドック機能を備えたType-C接続対応の27型4K液晶ディスプレイ (2026年02月12日)
  8. ASRock、“CPU起動トラブルを解決”するSocket AM5マザー用のβ版BIOSを公開 (2026年02月10日)
  9. 「雲」から降りてきたAIは「パーソナル」な存在になれるのか――開催から1カ月経過した「CES 2026」を振り返る (2026年02月12日)
  10. 梅田の街がeスポーツに染まった3日間――「Osaka GeN Scramble」で見えた、地域とデバイスが融合する最新イベントの形 (2026年02月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年