“ハイエンドすぎる”液晶ディスプレイ――「HP DreamColor LP2480zx」を拝む10ビットS-IPSパネル+超広色域(1/3 ページ)

» 2009年04月17日 11時00分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]

圧倒的な発色性能を誇るハイエンドディスプレイ

日本HPのハイエンド液晶ディスプレイ「HP DreamColor LP2480zx」

 最近、プロ向けの液晶ディスプレイでどうも気になる製品がある。それが、日本ヒューレット・パッカードの24型ワイド液晶ディスプレイ「HP DreamColor LP2480zx」(以下、LP2480zx)だ。映画会社の米DreamWorks Animation SKGとの協業によって開発され、日本では2008年7月公開の映画「カンフー・パンダ」の制作にも使用された。

 その価格は現時点で26万2500円。2008年6月の発売時は39万9000円だったので、かなり値下がりしたが、それでも24型ディスプレイとしては非常に高い。

 なぜ、LP2480zxが気になるのか? それは液晶ディスプレイに興味があるユーザーであれば、思わずため息が出てしまうほど、魅力的なスペックを実現しているからだ。画質を大きく左右する液晶パネルは広視野角がウリのS-IPS方式を採用し、PCとの接続を想定した液晶ディスプレイではいち早くRGB各色10ビット駆動(約10億色表示)に対応している。詳しくは後述するが、現状で10ビット表示をするための環境は整備されていないものの、その潜在能力は高い。

CIE1976 u'v'色度図上でLP2480zxがカバーする色域

 さらに、色域を広げるためのRGB LEDバックライトシステム、12ビットのルックアップテーブルによるガンマ補正と色域変換に対応した画像処理エンジンを搭載したことで、広色域、階調性、色再現性といった発色性能も可能な限り追求した。1つの目安ではあるが、色域はNTSC比で約133%、Adobe RGB比で約131%、sRGB比で約153%、DCI比で122%と広大だ(いずれもCIE1976 u'v'色度図による面積比)。

 その発色性能を存分に生かすべく、オプションでハードウェアキャリブレーションにも対応しており、専用の遮光フードも用意されている。そのハイスペックぶりは、さすがDreamWorks Animation SKGも認めたワークステーション用のハイエンド液晶ディスプレイといったところだ。

PC用とAV用で合計7系統の入力を搭載

 基本スペックとインタフェース構成も充実している。画面サイズは24型ワイド、画面解像度は1920×1200ドットのWUXGA、輝度は40〜250カンデラ/平方メートル(黒表示の最小輝度は0.05カンデラ/平方メートル)、コントラスト比は1000:1、視野角は上下/左右とも178度だ。応答速度は黒→白→黒が12msで、オーバードライブ回路の搭載によって中間階調(グレー→グレー)は6msに高速化されている。オーバードライブ機能は、OSDメニューから有効と無効を切り替えることが可能だ。

 液晶パネルのリフレッシュレートは、47.0〜51.0Hzと58.72〜61.46Hzの範囲に対応している。24p(24fps)の映画コンテンツや、50fpsのNTSC映像、60fpsのPAL6などを、フレームレート変換なしでネイティブ表示できるのも大きな特徴だ。画面は外光反射を低減するノングレア処理になっている。

 インタフェースには、PC用とAV用を合わせて全7系統の入力を備える。DisplayPort 1.1、DVI-I×2、HDMI 1.3、3RCAコンポーネントビデオ、S-Video、コンポジットビデオだ。このうち、DisplayPort 1.1、DVI-I×2、HDMI 1.3はHDCPに対応しており、RGB各色10ビット入力のネイティブモードに対応するのはDisplayPortとHDMIの2系統となる。また、アップストリームポート×1/ダウンストリームポート×4のUSB 2.0ハブも搭載している。一方、スピーカーは内蔵していない。

映像入力端子と電源端子は液晶パネル部の背面に整然と並ぶ(写真=左)。右側面に4基のUSB 2.0ダウンストリームポートを備えている(写真=右)

 スタンドはチルトとスイベル、高さ調節、画面を90度回転して縦長表示にする機能を持つ。チルトは上35度/下5度、スイベルは左右45度、高さ調節は100ミリの範囲だ。本体サイズは565(幅)×254(奥行き)×425〜525(高さ)ミリ、重量は12.5キロで、狭額縁を採用したシンプルなデザインを採用する。

スタンドはチルト、スイベル、昇降、縦位置表示に対応する(写真=左)。スタンドの可動範囲は広く、画面を設置面に近い位置まで下げることも可能だ(写真=中央/右)

OSDには7種類の色域をプリセット

操作ボタンは縦に配置されていて、ボタンのすぐ横にOSDの初期メニューが表示される

 OSDメニューの操作ボタンは、液晶フレームの正面右側に縦位置で配置されている。電源ボタンを含めて全部で6つのボタンがあり、電源以外のボタンを押すと初期メニューが表示される仕組みだ。初期メニューでは、Color Space(色空間)の選択、Input Select(入力系統の切り替え)、Open OSD(OSDメニューを開く)のいずれかを選ぶ。色空間や入力系統の切り替えは、+ボタンと−ボタン、メニュー/選択ボタンを使って、選択肢の中から決定するタイプだ。トグル式ではないので選びやすい。

 画質関連の調整項目は、色空間、輝度、白色点/色温度(4000〜12000Kの100K刻み)、黒レベルなどだ。HDMI/S-Video/コンポーネント/コンポジット入力では、色相と彩度も調整できる。色空間には7種類の色域がプリセットされ、LP2480zxの液晶パネルの色域をフルに使う「Full」をはじめ、静止画グラフィックス用の「Adobe RGB」と「sRGB」、動画コンテンツ用の「SMPTE-C/Rec.601」「Rec.709」「DCI-P3 Emulation」、そしてユーザー調整用の「User-7」といった設定がある。輝度/色温度/黒レベルの設定は、プリセットの色空間ごとに記録される仕組みだ。

LP2480zxのOSDメニュー。さまざまな色空間がプリセットされている(写真=左)。輝度や色温度は数値で指定できる。色度図上におけるRGBの座標やガンマ値も表示可能(写真=中央)。黒レベルの調整やオーバードライブのオン/オフも設定できる(写真=右)

 調整項目は豊富だが、色空間の設定が各入力系統で共通になる点は惜しい。例えば、1系統目のDVI-IをsRGBの設定で使っているとき、2系統目のDVI-Iに切り替えてAdobe RGBを選択すると、1系統目のDVI-Iでも色空間がAdobe RGBに切り替わってしまう。色空間はボタン操作で変更できるが、各入力系統で別々に記録してくれたほうが使いやすかっただろう。

 WUXGA未満の解像度を入力したときのスケーリング機能も備えている。フルスクリーン拡大、アスペクト比固定拡大、ドットバイドットという定番の3種類に加えて、オーバースキャン(HDMI/S-Video/コンポーネント/コンポジット入力時)、「Crop Right Side」(右端を切り取る)、「Crop Left Side」(左端を切り取る)、「Crop Right and Left Side」(左右の両端を切り取る)が用意されている。

 多彩な映像入力を生かしたピクチャーインピクチャー(PinP)機能もあり、子画面のサイズは固定ながら、その表示位置は右上/右下/左上/左下から選べる。ただし、子画面表示できるのは、S-Video/コンポーネント/コンポジット入力のいずれかで、デジタルインタフェース同士のPinPには対応しない。

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