一方、Windows XPユーザー(や、上書きインストール条件外のWindows Vistaユーザー、Windows 7 β/RC版なども含む)は新規インストールのみとなる。
新規インストールは、上書きインストールのようにファイルや設定は保持されない(引き継がれない)が、旧OSから起動したインストール時に旧環境のファイルやフォルダがある場合は、旧データを「Windows.old」というフォルダへ自動格納する仕組みが備わる。「バックアップと呼ぶものではなく、あくまで緊急用という考え方のもの。万一に備え、データは別途あらかじめバックアップしておいてほしい」(マイクロソフト)とするが、アップグレード後も旧環境のデータは参照できるようになっている。
このほか、主にPCをリプレースしたユーザー向けにデータや設定を移行できる「Windows 転送ツール」も用意する(実は、以前からあるものだが)。移行できる項目は以下のとおりだ。
操作は、Windows 転送ツールをWindows 7のインストールメディア(あるいは新規購入したWindows 7インストール済みPC経由でコピーしたUSBメモリなど)から旧環境にインストールし、データを外付けHDDやUSBメモリなどへバックアップ(ネットワーク経由、データリンク・ピアツーピアUSBケーブル接続)。インストール後のWindows 7環境、あるいはWindows 7プリインストールPCで復元する──という流れで行う。別のPCにあるWindowsに複数のユーザー設定がある場合もまとめて移行できるという。
| 移行できる主なデータと設定 | |
|---|---|
| データ | お気に入り、アドレス帳、個人フォルダ(デスクトップ上のデータ、ドキュメント、ビデオ、ピクチャ、ミュージック、ダウンロード、保存したゲームデータなど)、任意のフォルダ |
| 設定 | プログラム設定、Windows設定 |
Windows XPにはOutlook Express、Windows VistaにはWindowsメールが、それぞれOS標準のメールクライアントとして用意されていたが、Windows 7は原則としてメールクライアントを標準で備えない。メールやIMソフト、ムービー系ソフトなどクライアントソフトウェアは、HotmailやSkydriveなどのオンラインサービスを組み合わせた「Windows Live」の中の1アプリケーションとして無償提供され、ユーザーが必要なものを好みでインストールする仕組みだ。
「OSのバージョンアップは約3年サイクルであるのに対し、メールなどのクライアントソフトやオンラインサービス用ツールは流行やユーザーニーズに応じてそれより早いサイクルでの更新が求められる。このためにOSそのものとは切り離した」(マイクロソフト)のが主な理由だ。Windows Liveは約1年ごとに更新していくとし、次は2010年1月ごろにバージョンアップを行う予定だという。
このため、Outlook ExpressやWindowsメール利用者は、Windows Liveソフトウェア群の1つ「Windows Liveメール」を自分自身でダウンロードおよびインストールして利用する必要がある。ある程度PCの操作に慣れたユーザーであればインストールそのものは容易だと思われるが、今後登場するWindows 7標準搭載のメーカー製PC購入者を中心とする初心者層に対してはどうか。
この点、国内で発売する主要約20社のメーカー製PCは、はじめからWindows Liveメールなどのソフトウェアをプリインストール(ダウンロード済み状態)で出荷する──といった策とともに展開する予定とのことだ。
Windows Vista+Windowsメールユーザーは、上書きインストール+Windows Liveメールの別途インストール、あるいは新規インストール+Windows転送ツールで旧メールデータのバックアップ・復元+Windows Liveメールの別途インストールの2パターン。Windows XP+Outlook Expressユーザーは新規インストール+Windows転送ツール+Windows Liveメールの別途インストールの方法で、原則として過去のメールデータ(アカウントやメール本文など)を引き継いで利用できる。
なお、新規インストールを行った場合(特にXPユーザー)、あるいはWindows 7搭載PCを新たに購入した場合は、「メールのバックアップデータを先に復元」してからでないと過去メールの引き継ぎが行われない点に注意が必要だ。
最近はHotmailやGmailなどのWebメールのみに移行する利用シーンも増えたが、過去のメールも含めてプロバイダメールのデータは重要と考えるユーザーももちろん多い。マイクロソフトは、複数のメールソフトを使用している場合なども含めた移行手順を解説するユーザーサポートサイト(http://www.microsoft.com/japan/windows/mail/ 2009年10月22日開設予定)を開設するという。公開はWindows 7発売日の2009年10月22日の予定だ。
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