PC USER Pro

第3回 日本HPの注目プリンタ「HP Photosmart Premium C309G」に迫るプリンタ09-10年モデル徹底検証(1/4 ページ)

» 2009年12月24日 18時15分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「HP Photosmart」の注目モデルは?


 2009年末の個人向けプリンタ市場において、日本ヒューレッド・パッカード(HP)は“タッチ&ワイヤレス”という非常に分かりやすいキーワードを掲げている。タッチとはタッチパネル付き液晶モニタおよびタッチフレーム、ワイヤレスとは無線LAN機能を指す。ちなみにタッチフレームとは、液晶モニタのフレーム部分にタッチセンサー式の光るボタンを配置したものだ。

 実際、HPは個人向けインクジェット複合機「HP Photosmart」シリーズのハイエンドからエントリーに至る新モデルの大半に、タッチパネル付き液晶モニタとタッチフレーム(下位モデルはタッチフレームのみ)、無線LAN機能を搭載してきた。また、トレンドになりつつあるWebプリント機能についても、他社に先行してレイアウト印刷ソフト「HP Smart Web Printing」を提供し続けている。

 さて今回のレビューでは、最上位モデル「HP Photosmart Premium C309G」に的を絞った。多彩な機能を備えた複合機ながら、HP Directplusの直販価格は2万1840円におさまっており、他社のミドルレンジモデルの予算でハイエンドモデルに手が届くことがポイントだ。C309Gに限らず、HPのプリンタは競合機種に比べて低価格ながらスペック面ではかなり健闘している。

 C309Gの下位には3台の複合機新モデルを用意しているが、本特集では比較・検証する製品の価格帯を他社とそろえるため、割愛した。ラインアップ構成やモデルチェンジの内容は、以下の記事が詳しいので併せて参照してほしい。

「HP Photosmart Premium C309G」――オンラインフォト印刷もこなす意欲作

 HP Photosmart Premium C309Gは、冒頭で記した2009年末モデルのキーワードを全て取り入れた個人向けの最上位インクジェット複合機だ。

未使用時の状態(写真=左)と使用時の状態(写真=右)。使用時は排紙トレイのペーパーサポートが飛び出すだけで、他メーカーの複合機のように未使用時と外観が大きく変わることはない。カラーはブラックで統一されている。量販店での実売価格は2万1000円前後だ

 まずはプリントエンジンだが、HPの新モデルの中で唯一、染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に顔料ブラックインクを加えた5色インクセットを採用する(ほかのモデルは染料4色のみ)。プリントヘッドのノズル数は多く、染料の4色に各672ノズル、顔料ブラックに720ノズルを装備しており、フォト、テキストとも快適に印刷できる。2008年末モデルから継承した最小インク滴1.3ピコリットルの新型エンジンにより、一昔前のHP製プリンタのように粒状感が気になることはなくなった。

天面には「HP」のロゴに加えて、波のような模様がプリントされている

 スキャナはCISセンサーを用いたもので、光学解像度は4800×4800dpiだ。フィルムスキャンはサポートしていない。ちなみに、スキャナの原稿カバーには波のような模様がプリントされており、デザインもただ黒いだけでなく、一工夫が見られる。

 通信機能は有線LANと無線LAN、Bluetoothを標準で装備。無線LANはWPS対応なので、無線LANルータもWPSに対応していれば、即座にネットワークの設定が完了する。ただし、他社がサポートを進めているAOSSに対応しないのは惜しい。

 HPの写真共有サイト「Snapfish」にネットワーク経由でアクセスする機能を装備しているのも大きな特徴だ。複合機本体に専用メニューを用意しており、メモリカードやUSBメモリに保存された写真データを本体のみでSnapfishへアップロードしたり、オンラインアルバムの写真を印刷したりできる。

 操作パネルは、タッチパネル付き3.45型液晶モニタとタッチフレームを組み合わせた新設計のものだ。タッチパネルの扱いやすさとともに、シンプルなメニュー構造、HP独自の自動用紙認識機能などの要素が相まって、操作の煩わしさが大幅に軽減されている。

 2段式の給紙トレイを備えた前面給排紙機構は継承され、自動両面印刷機構も標準で装備している。HPの2008年末モデルはオプションの自動両面印刷ユニットすら用意されていなかったため、今回の復活は非常に喜ばしい。一方、CD/DVD/BDレーベル印刷は非対応だ。

 以上、製品の特徴をざっと追ったが、モデル名に“Premium”を冠すだけあって、非常にぜいたくな仕様といえる。さらに驚くべきは、前述した低価格設定にあり、非常にコストパフォーマンスが高い1台だ。

オンキャリッジ式の5色独立カートリッジを採用。顔料ブラックインクにより、普通紙へのテキストがシャープに出る
スキャナは光学4800dpiのCISセンサーを搭載。フィルムスキャンには対応しないが、読み取り解像度は高い
タッチパネル付き3.45型液晶モニタとタッチフレームを組み合わせることで、直感的な操作性を実現している

ボディの左下に、2スロット構成のマルチカードリーダーとPictBridge対応USBポートを装備。2008年末モデルが装備していたCFスロットは省かれた
2段式の給紙トレイを備えた前面給排紙機構は健在だ。自動両面印刷機能も標準装備となっている。なお、CD/DVD/BDレーベル印刷には対応しない

 主なスペックは下表の通りだ。

主な仕様
製品名 C309G
HP Directplus価格 2万1840円
量販店実売価格 2万1000円前後
液晶モニタ 3.45型タッチパネル(チルト対応)
インク 染料4色+顔料Bk(独立)
ノズル数 C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル
印刷最高解像度 9600×2400dpi
最小インク滴 1.3ピコリットル
スキャナ 4800×4800dpi(CIS)
メモリカードリーダー SD、MS、MS Duo、xD
PictBridge
赤外線
PC接続インタフェース 100BASE-TX有線LAN、IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth、USB 2.0
給紙機構 2段式前面トレイ
排紙機構 前面トレイ
給紙容量 前面トレイ 下段125枚、上段20枚
自動両面印刷
L判フチなし印刷速度(公称値) 約12秒
L判フチなし印刷コスト(公称値) 約19.6円
自動用紙認識
サイズ(幅×奥行き×高さ) 452×473×199ミリ
重量 約7.5キロ
※L判印刷速度/コストは「フォトバリューパック」使用時。コストはインク代+用紙代の合計

 次のページでは、設置性やインタフェース、操作パネルの使い勝手をもう少し詳しく見ていこう。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. レノボ、Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズを搭載したタワー型ワークステーション (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー