9月30日、日本ヒューレット・パッカード(HP)が個人向けインクジェット複合機4モデルを投入した。製品の詳細はこちらの記事(日本HP、「タッチ&ワイヤレス」に注力した複合機09年モデル)に譲り、ここでは発表会の内容を取り上げる。
冒頭、同社 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏は、爆発的に増加しているデジタルデータについて言及し、「現在の予測では18カ月ごとに倍のサイズに増え、2012年には3142エクサバイトまで達するのではないか」と指摘。「そのうち、ドキュメントをはじめ動画や静止画も含めて、プリントできるデータも2009年比で約3倍になる。これからも印刷の需要はますます増していく」と述べた。
一方で「クラウドなどが発展する中で、PCの向こうにあるデジタルデータを1つの形として提供するのがビジョンであり、他社との差別化ポイントと考えている」と主張した。その1例として、同社のオンラインフォトサービス「Snapfish」や、米国で2009年6月に発表した世界初のインターネット接続プリンタ「HP Photosmart Premium with TouchSmart Web」を挙げた。また、「日本市場の状況を細かく見ていくと、プリンタを家庭内のLANに接続しているのは16%と少ない。そこで、まずはプリンタのワイヤレス化を促進し、その上でHP Photosmart Premium with TouchSmart Webを投入していく予定だ。現在、日本では7%のシェアを獲得しているが、これを15%まで引き上げていきたい」とまとめた。
続いて、イメージング・プリンティング事業統括 コンシューマ&ウェブソリューション統括本部 コンシューママーケティング部 部長 徳永信幸氏が新製品の概要について解説した。
徳永氏は2009年の新モデルについて「LANの中にプリンタを入れていくのが新製品のテーマであり、キーワードは“タッチ&ワイヤレス”だ」と述べ、全4モデルのうち3モデルで無線LAN機能を内蔵した新製品ラインアップを紹介。さらに「新モデルはタッチ操作で直感的に扱えるようになっただけでなく、2008年のモデルで18個もあったボタンが、新モデルは電源ボタン1個だけで済むようになり、すっきりとしたデザインになっているのも特徴だ」とアピールした。
そして「PCでは無線LANの搭載が当たり前になり、PCを複数台所有するユーザーが4割を超えるデータもある。プリンタをネットワークで共有するのが自然な流れだ」とし、「価格面も、2万円強の価格帯が一般的だが、HPでは平均単価1万円台半ばで投入し、気軽にワイヤレスを導入できる環境を提供していく。必要な部分だけを印刷できるSmart Web Printingや独立インクの採用で経済性もアップし、印刷コストは従来の一体型インクに比べて約3割も削減できる」と強調した。
最後に、新製品の販売戦略をイメージング・プリンティング事業統括 コンシューマ&ウェブソリューション統括本部 統括本部長 竹田芳浩氏が説明した。
竹田氏は「今後の成長には“強化と充実”が必要になる。具体的には、これまでの製品はヘッド一体型のインクを採用したモデルも残っていたが、2009年は全モデルで独立インクとなり、インクの単価を下げることができた。HPのインクは高いというイメージを一掃できるのではないか」と期待を語った。加えて「インクの入手性も改善し、店舗とWeb両方で取扱店を増やし、リピート購買の促進と購買層の拡大を図っていく」と決意を述べた。
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