第1回 キヤノン「PIXUS」の売れ筋プリンタ3台をまとめて比較する
第3回 日本HPの注目プリンタ「HP Photosmart Premium C309G」に迫る
最終回 プリンタ2009年末モデルはどれが“買い”なのか?(本記事)
本特集では、キヤノン、エプソン、日本ヒューレット・パッカード(HP)が発売した個人向けインクジェット複合機の2009年末モデルから注目の7台を集め、メーカーごとに性能、機能、使い勝手を調べてきた。取り上げた7台とは、キヤノンの「PIXUS MP990」「PIXUS MP640」「PIXUS MP560」、エプソンの「EP-902A」「EP-802A」「EP-702A」、日本HPの「HP Photosmart Premium C309G」だ。
第4回(最終回)では、これら7モデルの違いを横並びで比較し、特徴を明らかにしたうえで、2009年末のおすすめモデルを選出したい。
本特集で比較・検証する複合機7モデル | |||||
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製品名 | メーカー | 液晶モニタ | インク構成 | スキャナ(センサー) | 量販店実売価格 |
PIXUS MP990 | キヤノン | 3.8型 | 染料5色(シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×9600dpi(CCD) | 3万5000円前後 |
PIXUS MP640 | キヤノン | 3.0型 | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×9600dpi(CIS) | 2万5000円前後 |
PIXUS MP560 | キヤノン | 2.0型 | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 2400×4800dpi(CIS) | 2万円前後 |
EP-902A | エプソン | 3.5型(7.8型タッチパネル) | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 4800×4800dpi(CIS) | 3万5000円前後 |
EP-802A | エプソン | 2.5型 | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 2400×4800dpi(CIS) | 2万5000円前後 |
EP-702A | エプソン | 2.5型 | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 1200×2400dpi(CIS) | 2万2000円前後 |
HP Photosmart Premium C309G | 日本HP | 3.45型タッチパネル | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×4800dpi(CIS) | 2万1000円前後 |
まずは7モデルの設置性だが、未使用時と使用時の本体サイズ、そして重量を下表にまとめた。昨今は複合機の小型化が進んでおり、極端に大きな製品は見られないが、多少の違いはある。
未使用時のフットプリントについては、ボックス型ボディを採用したキヤノンとエプソンの各モデルが小さく、トレイが前面に突き出した日本HPのC309Gが最も大きい。この中では、MP640のフットプリントが最も小さくなっている。高さはEP-802Aが最も低く、薄型のデザインは設置時の圧迫感が少ない。ただし、奥行きは意外にある。
一方、使用時の本体サイズはC309Gが優秀だ。ボックス型ボディのモデルは使用時にトレイがかなり飛び出すので、専有面積が結構広がる点は覚えておきたい。また、EP-902AとEP-802Aは、オプションの自動両面印刷ユニットを装着すると、奥行きが70ミリ程度増すので、増設を考えている人は設置場所の確認が必要だ。
省スペース性とともに使用時に気になる静音性は、MP990、MP640、MP560が優秀といえる。これらは印刷時の動作音を抑える「サイレントモード」を備えており、印刷速度は若干落ちるものの、夜間の作業などで有用だ(サイレントモードはタイマー設定も可能)。そのほかの機種は、特に高速なモードで動作音や振動が大きくなる傾向にある。MP990、MP640、MP560も高速モードではそれなりに騒音が発生するが、静かに作業したい場合にサイレントモードを使えるのは大きい。
本体サイズと重量 | |||
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製品名 | 未使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 重量 |
MP990 | 470×385×199ミリ | 470×655×320ミリ | 約10.7キロ |
MP640 | 450×368×176ミリ | 450×638×290ミリ | 約8.8キロ |
MP560 | 453×368×160ミリ | 453×638×290ミリ | 約8.1キロ |
EP-902A | 466×385×198ミリ | 466×585×198ミリ | 約10.5キロ |
EP-802A | 446×385×150ミリ | 466×585×150ミリ | 約9キロ |
EP-702A | 450×386×195ミリ | 450×606×275ミリ | 約8.4キロ |
C309G | 452×473×199ミリ | 452×577×199ミリ | 約7.5キロ |
7モデルが搭載するインタフェースを下表にまとめた。無線LANを標準搭載しないのはEP-702Aだけで、プリンタでも無線LANの採用が進んでいるのが分かる。有線LANを標準装備しないのは、MP560とEP-702Aだ。BluetoothはC309Gが唯一内蔵しているが、代わりにケータイからのワイヤレスプリントに有用な赤外線ポートは内蔵していない。
メモリカードスロットの構成はメーカーによって少し異なる。いずれもSDメモリーカード(SDHC対応)とメモリースティックPRO用のスロットは備えているが、MP990、MP640、MP560はxDピクチャーカードスロットがなく、C309Gはコンパクトフラッシュスロットがない点に注意したい。その代わり、MP990、MP640、MP560、C309Gはアダプタなしでメモリースティックデュオを装着可能だ。
別途アダプタを用意することで、小型メディアなどに対応できるケースも多いが、スロットが本体に最初から搭載されていたほうがスマートなのはいうまでもない。
インタフェース | |||||||
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製品名 | USB 2.0 | 有線LAN | 無線LAN | Bluetooth | PictBridge | 赤外線 | メモリカードリーダー |
MP990 | ○ | 100BASE-TX | IEEE802.11b/g | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、MS Duo |
MP640 | ○ | 100BASE-TX | IEEE802.11b/g | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、MS Duo |
MP560 | ○ | − | IEEE802.11b/g | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、MS Duo |
EP-902A | ○ | 100BASE-TX | IEEE802.11b/g | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、xD |
EP-802A | ○ | 100BASE-TX | IEEE802.11b/g | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、xD |
EP-702A | ○ | △(オプション) | △(オプション) | △(オプション) | ○ | ○ | CF、SD、MS、xD |
C309G | ○ | 100BASE-TX | IEEE802.11b/g/n | ○ | ○ | − | SD、MS、MS Duo、xD |
使い勝手に影響を与える給紙と排紙の機構もまとめた。EP-702A以外は2系統の給紙機構を備えており、MP990、MP640、MP560は後部トレイと前面カセットを組み合わせた給紙機構、EP-902AとEP-802Aは2段式前面カセット、C309Gは2段式前面トレイを採用する。2系統給紙に対応することで、A4普通紙と写真用紙などを同時にセットできるため、利便性は大きく向上するだろう。
EP-902Aだけが搭載するADFにも注目だ。動作音がかなり大きいのは惜しいが、複数枚の書類をまとめてコピーしたり、スキャンするのに重宝する。ADF自体が薄型に仕上がっており、事務機器のような武骨さがないのもうれしい。
自動両面機構については、MP990、MP640、MP560、C309Gが標準装備、EP-902AとEP-802Aがオプション扱い、EP-702Aは非対応だ。自動両面印刷をサポートすることで、いちいち用紙をひっくり返すことなく、用紙の節約になる両面印刷が手軽に行える。対応する年賀状ソフトを使えば、通信面とあて名面を一度に印刷できるのもポイントだ。
給排紙機構 | ||||
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製品名 | 給紙機構 | 排紙機構 | 給紙容量 | 自動両面印刷 |
MP990 | 後部トレイ、前面カセット | 前面トレイ | 前面カセット150枚、後部トレイ150枚(はがき40枚) | ○ |
MP640 | 後部トレイ、前面カセット | 前面トレイ | 前面カセット150枚、後部トレイ150枚(はがき40枚) | ○ |
MP560 | 後部トレイ、前面カセット | 前面トレイ | 前面カセット150枚、後部トレイ150枚(はがき40枚) | ○ |
EP-902A | 2段式前面カセット、ADF | 前面トレイ | 前面カセット下段120枚(はがき50枚)、上段20枚、ADF30枚 | △(オプション) |
EP-802A | 2段式前面カセット | 前面トレイ | 前面カセット下段120枚(はがき50枚)、上段20枚 | △(オプション) |
EP-702A | 後部トレイ | 前面トレイ | 120枚(はがき50枚) | − |
C309G | 2段式前面トレイ | 前面トレイ | 前面トレイ 下段125枚、上段20枚 | ○ |
次のページでは主な付加機能、付属ソフト、操作パネルの使い勝手を比較する。
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