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» 2009年12月25日 19時30分 公開

プリンタ09-10年モデル徹底検証:最終回 プリンタ2009年末モデルはどれが“買い”なのか? (5/5)

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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キヤノン「PIXUS MP990」「PIXUS MP640」「PIXUS MP560」

PIXUS MP990

 MP990はグレーを含むインクセットが最大の特徴だ。今回はモノクロプリントを検証していないので大きな見せ場はなかったが、カラープリントでもグレーインク搭載機ならではの柔らかな階調を発揮してくれる。また、スキャンエンジンにCCDセンサーを用いているのも特徴だ。画質、速度、操作性、機能が高いレベルで整っており、予算さえ許せば、用途を問わずに推薦できるモデルといえる。

 MP640は2008年末モデルで二分化していたモデルを1つに統合することで、製品価値をぐっと高めた1台だ。2009年末はどのメーカーもラインアップの底上げを行ったため、特に目を引くようなスペックではなくなったが、2008年末のプリンタ特集でベストチョイスに選んだ「PIXUS MP630」を強化したモデルだけに、完成度は非常に高い。価格も含め、バランスのよさこそが重要になるボリュームゾーンの製品にはふさわしい1台だろう。

 MP560はMP640と並びボリュームゾーンに位置するミドルレンジモデルだ。プリントやスキャンのエンジン性能はMP640よりも落ちるが、低価格ながら自動両面印刷機能や無線LAN機能を標準で装備しているのはうれしい。操作パネルが小さく、操作性が犠牲になっていることから、リビングルームに置くよりはデスクサイドでの利用が向いているかもしれない。より価格を抑えたいならば、自動両面印刷機能と無線LAN機能を削った「PIXUS MP550」という選択肢もある。

PIXUS MP640
PIXUS MP560

エプソン「EP-902A」「EP-802A」「EP-702A」

EP-902A

 EP-902Aはほとんど2008年末モデルの「EP-901A」から変化していないが、エンジン性能、操作性、設置性、諸機能のいずれを取っても不満のない豪華な機体だっただけに不満はない。実際、大型タッチパネルの操作性、2段式カセットの利便性、ネットワークやADFなど、1年を経ても十分な訴求力を持つ。特に大型タッチパネルとADFはEP-902Aならではの特徴だ。EP-901Aのユーザーでなければ、乗り換えて後悔することはないだろう。

 EP-802Aはベースの基本スペックこそ2008年末モデルの「EP-801A」と変わらないが、ネットワーク機能を標準装備することで、格段に製品価値を高めている。これでEP-902Aとの差は、タッチパネルとADFの有無くらいになった。両機の価格差は数千円なので、予算があるユーザーは、選択に悩むところだろう。EP-801Aは薄型のスタイリッシュなデザインも受けていたが、当然EP-802Aもこれを受け継いでおり、実際店頭でも人気が非常に高い1台だ。

 EP-702Aはエンジン性能とともに価格を抑えたベーシックモデルだ。上位2モデルとデザインが似通っているので誤解しがちだが、給紙機構は2段式前面カセットではなく、後部トレイのみになっている。性能も機能も絞り込まれており、ネットワーク機能はオプション扱い、自動両面印刷機能は非サポートだ。ただし、使用するインクは同じもので、印刷画質は上位モデルに匹敵する。「EP型番のマルチフォトカラリオのデザインは気に入っているが、EP-802Aは予算オーバーで、機能はそれほど多くなくていい」といったユーザーにマッチするだろう。デスクサイドもしくはA3機ユーザーのためのセカンドプリンタとしてもアリだ。

EP-802A
EP-702A

日本HP「HP Photosmart Premium C309G」

HP Photosmart Premium C309G

 C309Gはプリント/スキャンエンジン性能に特筆すべきところはないが、付加価値という意味ではMP990やEP-902Aにも匹敵する。有線/無線LANの標準搭載、Snapfishとの連携機能、タッチパネルとタッチフレームによる高い操作性、2段式トレイや自動両面印刷機構の利便性など、その機能は枚挙に尽きない。アミューズメント系の付加機能こそ控えめだが、家庭用プリンタとしての実用的な機能はそろっている。

 日本HPの2009年末モデルでハイエンド機を務めるにふさわしい実力を持ちながら、実売価格は他社のミドルレンジモデルであるMP560やEP-702Aと同等か、それ以下なのだから驚かされる。非常にコストパフォーマンスに優れた製品だ。

個人向けインクジェット複合機2009年末モデルのおすすめは?

 2009年末の個人向けプリンタはエンジン性能の強化よりも、多機能化に向けられている。ことネットワーク機能は、もはや「あって当たり前」になったといってよい。上位モデルは以前から有線/無線LAN機能を装備していたが、今年はミドルレンジ以下でも無線LANのみに絞り込んで搭載してきた例も見られる。

 また、操作パネルの充実も目立つ。今回取り上げた7モデルは、上位クラスの製品でなくとも、かつてのように悲しいほどに小さな液晶モニタや分かりにくい操作ボタンのレイアウトを採用している製品はもはや存在しない。製品によって操作パネルの設計は大きく異なるが、いずれもかなり使いやすいユーザーインタフェースを用意している。

 このように、個人向けプリンタ市場は成熟期を迎えており、2009年末モデルではますますラインアップの起伏が小さくなった。価格帯の違いもあり、この中から幅広いユーザーにおすすめできる1台を選び出すのは、2008年末モデル以上に困難な状況といえる。

 だが、これを救ってくれたのが、2008年は少々おとなしかった日本HPが満を持して投入したC309Gだ。何しろ、他社のミドルレンジクラスの価格でありながら、ハイエンド並みに多彩な機能をそろえている。また、Snapfishという写真共有サービスとの連携という他機種にはない付加価値を持つことも大きな魅力だ。家庭に置くフォトプリンタにネットワーク機能を標準装備するならば、この発想はあってしかるべきだろう。今後はほかのサービスとの連携にも期待したい。

 なお、写真共有サイトに限らずとも、プリントに直結するコンテンツはネットに多数ある。実際に米HPが展開する「Photosmart Premium with TouchSmart Web」は、写真共有サービスだけではなく、グーグルマップやグーグルカレンダー、クーポンサイト、チケットサービスなどとの連携を行っている。ひとつ、日本HPにも頑張ってほしいところだ。

 以上、2009年らしい先進的なネットワーク連携機能をはじめ、ハイスペックでありながら、価格もお手ごろな新世代の家庭向けプリンタとして、本特集ではC309Gを最注目モデルに推したい。

C309Gは圧倒的なコストパフォーマンスとSnapfish連携機能が光る

 もっとも、これまでの記事で触れてきた通り、キヤノン機やエプソン機に比べて、C309Gは粗削りな部分も少なくない。トータルバランスのよさで選ぶならば、MP640やEP-802Aといった店頭での人気モデルがやはり浮上してくる。この2モデルに大きな差はなく、デザインや操作パネルの好み、自分にとって重要な機能がどちらに搭載されているかで、選べばいいだろう。強いて特徴を挙げれば、2つのブラックインクで写真にもテキストにも強いMP640、前面2段式カセット採用の薄型ボディでスマートに扱えるEP-802Aといったところだ。

 キヤノンとエプソンのハイエンドモデルについては、個性がはっきりしているぶん、選びやすい。モノクロ写真/テキスト印刷の画質、CCDスキャナによる恩恵を重視するならMP990、大型タッチパネルの操作性やADFを使ったスキャン/コピーの省力化を優先するならEP-902Aが候補になるだろう。


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