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» 2009年12月25日 19時30分 公開

プリンタ09-10年モデル徹底検証:最終回 プリンタ2009年末モデルはどれが“買い”なのか? (3/5)

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

純正写真用紙プリントの画質

 ここからは画質を見ていこう。プリンタエンジンの仕様は下表の通りで、どれも独立式インクカートリッジを採用する。最小インク滴は1〜1.5ピコリットルと非常に微細で、写真用紙への高画質設定でカラー印刷した場合、インク滴の粒状感が気になるようなシーンはまずない。

 インクシステムについては、MP990、MP640、MP560、C309Gが、写真印刷用の染料ブラックと普通紙テキストへの印刷が映える顔料ブラックの2つのブラックインクを搭載。さらにMP990は写真印刷の階調を整え、モノクロ写真印刷でニュートラルなグレーが表現できる染料グレーインクを用いているのがポイントだ。

 一方、EP-902A、EP-802A、EP-702Aは顔料ブラックインクやグレーインクを装備しないが、淡い色のライトインクを2色(ライトシアン、ライトマゼンタ)備えることで、写真印刷の階調性や描写力を高めている。

プリンタ部の仕様
製品名 インク ノズル数 印刷最高解像度 最小インク滴
MP990 染料5色+顔料Bk(独立) C/M/Gy×各1536ノズル、Y/染料Bk/顔料Bk×各512ノズル 9600×2400dpi 1ピコリットル
MP640 染料4色+顔料Bk(独立) C/M×各1536ノズル、Y/染料Bk×各512ノズル、顔料Bk×320ノズル 9600×2400dpi 1ピコリットル
MP560 染料4色+顔料Bk(独立) C/M×各768ノズル、Y/染料Bk×各256ノズル、顔料Bk×320ノズル 9600×2400dpi 1ピコリットル
EP-902A 染料6色(独立) C/M/Y/Bk/LC/LM×各180ノズル 5760×1440dpi 1.5ピコリットル
EP-802A 染料6色(独立) C/M/Y/Bk/LC/LM×各180ノズル 5760×1440dpi 1.5ピコリットル
EP-702A 染料6色(独立) C/M/Y/Bk/LC/LM×各180ノズル 5760×1440dpi 1.5ピコリットル
C309G 染料4色+顔料Bk(独立) C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル 9600×2400dpi 1.3ピコリットル

 以下に、これまで掲載した印刷サンプルをまとめた。各モデルの画質設定やプリントメディアなどの情報は、本特集のバックナンバー(下記のリンク)を参照してほしい。

・純正写真用紙プリントの画質

 まずは、PCから最高画質設定でメーカー純正ハイグレード写真用紙L判に出力したサンプルを並べた。7モデルを見比べてみると、キヤノン機は高彩度ながら素材の持ち味を生かした描写、エプソン機は階調性を保ちつつもメリハリを多少付けた描写、HPのC309Gは明るくあっさりした描写となった。

 C309Gはほかの6モデルより画質で少々劣るが、こうして並べてじっくり見なければ、さほど気にならない。写真作品を作り込むような用途には向かないが、フォトフレームに入れてリビングルームに飾ったり、イベントの写真などを印刷して出席者に配布するような一般用途では十分使える。

 今回のサンプルでは、グレーインク搭載のMP990が最も静物の質感をよく再現できた。MP640とMP560も自然な描写で印象がいい。もっとも、彩度やシャープネスなどの画調の違いは好みもあるので、色がどっしりのって、エッジも立ったEP-902A、EP-802A、EP-702Aのほうが良好な出力結果と評価する人も多いだろう。より素材に忠実な印刷結果が得たければ、ドライバの色補正方法を「Adobe RGB」や「EPSON基準色」に変更するという手段もある。

 なお、印刷に使用したキヤノンの「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]」とエプソンの新型「写真用紙クリスピア<高光沢>」は登場したばかりで、ともに紙質が高く、プリンタ側の高い印刷性能と合わせて、プリントの仕上がりがよかった。

 日本HPは最上位写真用紙として「プレミアムプラスフォト用紙」を用意しているが、プリントエンジンは以下のサンプルで使用した「アドバンスフォト用紙」に最適化されている。プレミアムプラスフォト用紙の紙質は他社の最上位写真用紙ほどではないため、そろそろリニューアルしていいころではないだろうか。

MP990:色鮮やかでメリハリが効いているにもかかわらず、不自然な感じがしない。グレーインクが奏効しているためだろう。金属の硬さや光沢、果物のみずみずしさも美しく再現できた
MP640:全体的に色がやや重たいものの、金属やビンの階調はうまく再現できた。メリハリが強めなので、キウイフルーツの断面やナイフ、フォークのエッジに若干の違和感が出た
MP560:MP640とよく似た傾向になったが、こちらは少しトーンがあっさりと出た。際立った色彩のインパクトはないが、オブジェクトのエッジに違和感は少なく、印象はよい

EP-902A:トーンカーブをややきつく調整した印象だ。色彩もかなり強いが、クリスピアの紙白や光沢感でフォローされており、印象はまずまず。静物のエッジも許容できる程度に収まった
EP-802A:シャドーがやや重たく、色彩も強いので全体にベッタリとした絵だ。こちらはトーンカーブがEP-902Aより強く出た。オブジェクト、特にグラスや金属類のエッジが立ちすぎている
EP-702A:ハイライト、シャドーを切り詰めたような印象。グラスやビンなどの淡い階調が消失し、全体に平坦な絵になった。エッジが立ち過ぎており、皿も金属のような質感になった

C309G:粒状感はなく、一見問題ないが、よく見るとシャドー域がつぶれがち、ハイライト域は飛びがちだ。全体に明度が高いこともあって、いまひとつ締りがない。背景の微妙なグラデーションは判別しにくい

・普通紙カラーコピー(標準モード)の画質

 次にA4普通紙カラーコピーの画質をチェックする。標準モードでの画質はどれも不満がない仕上がりだ。写真用紙への印刷ではやや苦戦したC309Gだが、普通紙への印刷はコントラスト感が高くて見栄えがする。顔料ブラックインクを搭載したMP990、MP640、MP560、C309Gは普通紙印刷の耐水性が高く、にじみの少ないシャープな黒が得られるのも見逃せない。

 染料6色インクのEP-902A、EP-802A、EP-702Aは写真用紙への印刷が得意だが、普通紙へのカラーコピーや文書印刷では黒の締まりが少々控えめだ。ただし、EP-902AとEP-802Aはコピー原稿内の情報をイメージ部分とテキスト部分に分類し、それぞれ最適な自動処理を行う「領域判定コピー」技術により、コピー品質を高めている。

MP990:十分な品質で、普通紙ながら細部の描写もしっかりと行えた。写真のカラーコピーは標準以上の設定がいい
MP640:色彩がやや沈んでいるが、描写は細部までできている。グレーインクがないため、黒の主張が強い
MP560:MP640よりも少し高彩度に出力された。普通紙ながらメリハリが効いており、一見した印象はよい

EP-902A:色の欠落や階調消失が少なく、普通紙カラーコピーとしては高品位で出力できた
EP-802A:かなり濃厚な色使いだが、普通紙コピーならば、メリハリがちょうどよく感じる。かなり細部まで描写できた
EP-702A:シャドー、ハイライトを切り詰めて中間調を濃厚にしているが、普通紙なので見栄えがよい

C309G:元データより彩度が高めに出たが、普通紙ながら全体にシャープに描けており、見栄えがする

・普通紙カラーコピー(高速モード)の画質

 高速モードでのA4普通紙カラーコピーは、機種ごとに差が開いた。EP-902A、EP-802A、EP-702Aのエコノミーモードは色が少しのっているだけなので、印刷範囲の確認用くらいにしか使えないだろう。これら3モデルは標準モードを常用すべきだ。

 MP990、MP640、MP560、C309Gは高速モードでも内容を十分判別できる。配布用に使ったり、写真が多い原稿をコピーするのには向かないが、画質を求めない原稿のコピーであれば、普段から実用できるレベルにある。

MP990:階調の飛びやつぶれが目立つので写真には向かないが、イラストやチャートならば実用に耐えるだろう
MP640:粒状こそ目立つが、色彩の傾向は標準モードと似ている。黒はつぶれるものの、バランスはいい
MP560:ほかの2機種と同様に、粒状が見られ、黒つぶれやにじみが生じたが、内容は細部まで判別できる

EP-902A:ハードライトを当てたように色が薄くなり、階調は派手に飛んでしまった
EP-802A:EP-902Aと同様に色や階調が欠落し、かなり内容が分かりにくいサンプルになってしまった
EP-702A:EP-902AやEP-802Aよりもさらに色が薄くなっており、常用するには厳しい

C309G:黒の濃度が十分にあり、細かな模様も認識が可能。高速モードとしては良好な結果だ

反射原稿スキャンの画質

 スキャナ部の主な仕様も下にまとめた。各モデルの画質設定などの情報は、本特集のバックナンバー(下記のリンク)を参照してほしい。

 スキャナに最も力を入れているMP990は、被写界深度の深いCCDセンサーを採用しており、多少の立体物や製本された書物の閉じ部なども美しくスキャンできるうえ、35ミリフィルムのスキャンも可能だ。ほかの6モデルはCISセンサーを使ったもので、反射原稿のスキャンのみに対応する。光学解像度はEP-702Aが1200dpiと低めだが、反射原稿のスキャン用としては必要十分だ。

 下に並べたのは、基本的にデフォルトのままでスキャンした画像だが、忠実な色で取り込むのが難しいサンプルを使ったこともあり、高い再現性が得られたのはEP-902AとEP-802Aくらいだった。キヤノン機とエプソン機はTWAINドライバの調整機能が充実しているため、スキャンする原稿に応じて設定をカスタマイズしやすい。C309Gのスキャン機能は、そこまで充実していない。

スキャナ部の仕様
製品名 センサー 光学解像度 フィルムスキャン
MP990 CCD 4800×9600dpi 35ミリスリーブ×6、マウント×4
MP640 CIS 4800×9600dpi(CIS)
MP560 CIS 2400×4800dpi(CIS)
EP-902A CIS 4800×4800dpi
EP-802A CIS 2400×4800dpi
EP-702A CIS 1200×2400dpi
C309G CIS 4800×4800dpi

MP990:全体的に明度が高く、色彩も強いため、見栄えはするが、色によっては蛍光色のようになった。黒も少し浮いている。解像感に不満はなく、ワインのラベルやトランプの模様も再現できた
MP640:シャドーに力がなく、全体に平坦な描写になった。ワインのラベルなどは上下の模様が消えかかっている。データでは残っているので、暗点の指定や事後のレベル補正で見栄えは整えられる
MP560:黒に締りがない割に濃淡のバランスが取れており、比較的良好な印象を受ける。ただし、それだけに事後の補正はしにくいので、事前に暗点と明点を指定する必要があるだろう

EP-902A:シャドー域で色がつぶれがちになっているものの、全体の色調は悪くない。背景や金属の微妙なトーンをしっかりと再現できている。解像感もよく、トランプやワインボトルの文字もある程度まで判読が可能だ
EP-802A:色味の傾向はEP-902Aに似ているが、トーンが落ち着いているため、非常に印象がよい。ボトルやグラスの階調などの淡い階調も見事に再現できている。解像感も申し分ない
EP-702A:全体にほんの気持ちほど色がのっているため、色が浅く、くすんだような印象を受ける。カラーバランスはしっかりとしているので明点、暗点を指定すれば、解消するだろう

C309G:全体の明度が非常に高く、ハイライト域は飛び、シャドー域は浮いている。また、階調の端々でトーンジャンプも見られた。不自然に際立った輪郭も気になる

 次のページでは、プリントとコピーの速度にフォーカスする。

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