OS込みで10万円。「あと5年は戦える」マシンを組みたいんだがショップのダメ出し!(1/2 ページ)

» 2010年02月05日 12時00分 公開
[古田雄介,ITmedia]

「いい感じの構成だけど、詰めが甘いね」

心を鬼にして遠慮ゼロの態度で挑む、ツートップ秋葉原本店の樋熊氏

 アキバ電気街には日本有数のPCパーツと日本有数の知識と経験を持った店員さんがひしめいている。黙々と必要なモノだけ買いそろえて街をあとにするのもいいが、せっかくだから、店員さんにいろいろ質問して、その高度な自作スキルをおすそ分けしてもらったほうがお得だ。ちょっとした知識と経験があれば自作PCは誰でも作れるが、かなりの知識と経験があれば“よりよいマシン”が組めるはず。

 そこでスタートしたのがこの企画。用途別のテーマに沿って作成したマシン構成表をPCパーツショップに持ち込み、アキバのベテラン店員さんに厳しくチェックしてもらおう。

 第一弾のテーマは「OS込みで10万円。5年使えるマシンを組みたい」だ。3Dゲームや動画編集用途までは望まないが、メインマシンとして、オフィスソフトの編集やマルチメディア鑑賞が十分快適にこなせるパフォーマンスがあり、故障などのトラブルが起きにくい安定したマシンを作りたい。あらかじめインテル系とAMD系の構成表を作り、突撃したのはツートップ秋葉原本店。ディスプレイからレアパーツまでバランスよくそろえている同店で、総合的なアドバイスをたっぷりいただこうと思う。

 筆者が用意したインテル系の構成表は以下のとおり。価格は2010年1月末時点の「ツートップ Internet Shop」を参考にした。なお、現在の価格は変動している可能性がある。

OS込みで10万円のインテル系PC
パーツ 製品名 価格
CPU インテル「Core i5 750」 1万9480円
マザーボード ギガバイト「GA-P55A-UD3R」 1万9979円
メモリ マスタードシード「UMAX Cetus DCDDR3-4GB-1333」 1万969円
HDD シーゲート「Barracuda 7200.12 ST31000528AS」 8069円
光学ドライブ バッファロー「DVSM-24AS/V」 2979円
グラフィックスカード Sapphire「HD5670 512M GDDR5 PCI-E HDMI/DVI-I/DP」 1万1980円
PCケース サイズ「SCY-T33-BK」 4170円
電源 Abee「ZUMAX 700W 限定モデル ZU-700W-KA」 8979円
OS マイクロソフト「Windows 7 Home Premium 64bit DSP版」+USB2.0増設(外部4ポート/PCI)セット 1万2970円
合計金額 9万9575円

 最近の価格なら、コストパフォーマンスの高いパーツを選べば、合計8万円程度でそこそこ高性能なマシンが組める。10万円なら、約2万円の贅沢ができるわけだ。そこで、CPUのグレードを最大限まで上げてクアッドコアの「Core i5-750」をチョイス。また、P55マザーも価格重視ではなく、USB 3.0とSATA 3.0に対応した「GA-P55A-UD3R」を選び、数年後には普及しているであろう高速インタフェースに備えた。

 電源ユニットも少し豪勢に、将来の拡張も想定して定格700ワットの「ZUMAX 700W」にしている。そのほかは比較的オーソドックスな構成だ。DDR3-1333の2Gバイトメモリ2枚とRADEON HD 5670カードをそろえ、値ごろな1TバイトHDDとDVDスーパーマルチドライブを選択した。PCケースは最安クラスのミドルタワータイプで、OSはDSP版のWindows 7 Home Premium 64ビットだ。ふ、完璧。

 このスペックをツートップ秋葉原本店に持ち込んだ。同店スタッフの樋熊氏に主旨を説明すると、構成表をしばらく凝視してから「全体的にはコンセプトどおりの構成といえますね。CPUも性能と価格のバランスがとれていますし、メモリもヒートスプレッダ付きで安くていい感じです。……普通にこのままでもよいと思いますが、厳しくいえばちょっと詰めが甘い部分もある。例えば、数年後の環境を考えると、マザーとHDD、PCケースに変更の余地があるし、安定性の観点からグラフィックスカードの選択も重要になってくるでしょう」と分析してくれた。それでは、個別に変更点を説明してもらおう。

「1枚プラッタの500GバイトHDDが長寿」――マザーとHDD、GPUを代えた理由

マザーボードはASUSTeK「P7P55D-E」に変更。1月末の同店価格は1万7480円だ

 マザーボードは、GA-P55A-UD3Rよりも価格が2000円近く安くなっているASUSTeKの「P7P55D-E」に変更された。こちらもUSB 3.0とSATA 3.0に対応したモデルだ。「ギガバイトと同じく信頼性が高いうえ、サポートが充実しているのでASUSTeK製品は人気がありますね。また、フロントパネルケーブルの端子をひとまとめにできるアダプタを付属しているので組み込みやすいのもポイント。GA-P55A-UD3Rも優秀ですが、価格差からP7P55D-Eを選びました」と話す。

 ただし、予算があと5000円あれば、1つグレードが高い「P7P55D-E EVO」を推したかったともコメント。こちらの価格は2万3460円だ。「通常はUSB 3.0とSATA 3.0が同じ帯域を共有するので、同時に使うとそれぞれ本来のスピードが発揮できなくなるんですよ。P7P55D-E EVOは専用のブリッジチップを搭載することで、同時に使っても各500Mバイト/秒のフル性能が使えます。将来、SATA 3.0の内蔵HDDとUSB 3.0接続の外付けHDDが主流になったときでも、両方フルスピードで使えるのは大きいですね。5年後も古さを感じさせないマシンになるでしょう」。

HDDは「Barracuda 7200.12 ST3500418AS」2台構成に

 HDDは「Barracuda 7200.12 ST31000528AS」と同シリーズの500Gバイトモデル「ST3500418AS」2台に変更。1台の価格は4650円なので、合計9300円となる。「1Tバイトのままでもいいんですが、システムが壊れるリスクを考えると、大切な自分のデータを保存するドライブと、書き込み頻度の高くて故障する危険が高まるシステム用は分けたほうがいいです」とのこと。

 また、容量単価が安い1Tバイトより、多少割高となる500GバイトHDDを選ぶ明確なメリットもある。「最近の500GバイトHDDは1枚プラッタで構成されていることが多く、熱を持ちにくいメリットもあります。HDDの故障は、熱がこもって円盤を回している軸がゆがむことが原因になる場合が多いんですよ。1枚プラッタなら、ヘッドの稼働部が少なくなるので、そういうリスクが避けやすくなるんです。最近は各社が回転数を抑えたエコモデルを出していて結構人気がありますが、それも発熱が抑えられるというメリットによるところが大きいと思われます」。

グラフィックスカードは「EN9600GT/DI/512MD3」をプッシュされた

 グラフィックスカードは、RADEON HD 5670カードから、ASUSTeKのGeForce 9600GTカード「EN9600GT/DI/512MD3」にチェンジ。価格は8970円だ。大型のオリジナルクーラーを備えたPCI Express x16カードで、補助電源を必要としないのが特徴だ。「やりこまないにしても、将来たまにPCゲームをプレイするなら、ドライバが安定しているほうがよいと考えました。もちろんRADEON HD 5670でもいいんですが、やはりドライバの安定度でいえば過去のゲームの実績からいっても、まだGeForceに分がありますからね。また、GeForce 9600GTはかなり安くなっていて潤沢でもあるので、RADEON HD 5000ファミリーが注目されている今、逆に買い時かなと思います」。

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