UQコミュニケーションズは6月7日、2009年に開始したモバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」の開始1周年記念記者発表会を開催。モバイルWiMAX対応無線LANルータの新製品やキャンペーンとともに、田中孝司現社長と野坂章雄次期社長が2010年度の事業計画と今後の成長戦略を語った。
「つながれば快適。だが……」──。下り最大40Mbps/上り最大10Mbps、3Gデータ通信端末より高速な通信速度を特徴とするモバイルWiMAXサービスだが、開始当初は基地局の設置が思うように進まず、サービスエリアが不十分と評価されたこともあった。
ただ、2009年10月以降に大きく改善させた屋外基地局設置スキームにおいて、2009年度末までに7013局(47都道府県/447市区町村)に到達。2010年度はさらに8000局を追加した計1万5000局(570市区町村/首都圏の通勤道路のエリア化も推進)と、当初の計画をかなり前倒しする計画で基地局を増やしていく考えだ。「2010年現在、“首都圏においてはエリアは十分になってきた。どちらかというと屋内対策などをもっと進めてほしい”という声もいただくようになった。当初より、実速度や通信レイテンシが少ないこと、対応機器数、契約方法、価格など……3Gデータ通信他社と比べるとエリアだけが弱点だったが、この弱点もなくなりつつある」(UQコミュニケーションズ 代表取締役の田中孝司現社長)。
「私もそろそろ疲れてきたので(笑)」と笑いを誘う田中現社長に続き、2010年6月に就任予定の野坂章雄新社長が2010年度と今後の事業戦略を述べた。「2010年度の契約数目標は80万。2010年5月年時点で20万弱(19万2600)の契約数を約4倍に伸ばす。同時に、サービスエリアもプラス8000局の基地局増設とともに、首都圏通勤道路のエリア化整備や屋内施設の増強にも努める」(野坂新社長)。
“1度使うとよさが分かる。手放せなくなる”ことを示すため、ユーザーが“触れる機会”をより増やす目的で「WiMAX内蔵PC」や「WiMAX Speed Wi-Fi」といったエンドユーザー向け機器の訴求や利用シーンの提案をインテルとマイクロソフト、さらに機器製造メーカーや販売店なども含めて共同でアピールしていく。「モバイルPCにおいては、もはや“標準搭載”の勢いで搭載PCが増えている。これらにはインテルさんの優れた無線LAN+モバイルWiMAXコンボモジュールや省電力のCPU、マイクロソフトさんのWindows 7+Office 2010といった必須のソフトウェアが搭載されている」(野坂新社長)。
“WiMAX Speed Wi-Fi”は、各メーカーが投入するモバイルWiMAX搭載無線LANルータ機器全般を指す呼称だ。NECアクセステクニカ「AtermWM3300R」、シンセイコーポレーション「URoad-5000」といった既存製品のほか、新たにNECアクセステクニカ「AtermWM3400RN」やシンセイ「URroad-7000」、ソフトアンドハード「Egg(iWWR-1000J)」、アイ・オー・データ機器「WMX-GW02-BK」といった各社の新製品により、ラインアップがかなり拡充される。
“WiMAX Speed Wi-Fi”においては、据え置き型の機器が拡充するものポイントの1つと思われる。速度や料金、期間縛りや解約のペナルティなしといったならではの特徴に加え、サービスエリアが広がっていること、(WiMAX内蔵PCやWiMAX機器があれば)即開通すること、(無線接続のため)配線が不要であるメリットにより「ADSLや光ファイバーなどの、固定ブロードバンド回線代わり」の家庭内メイン回線としての導入を訴求する。つまり、モバイルPC用とする高リテラシー層以外となる一般層(例えば、新生活の若年層、引っ越し時など)の契約も大いに見込むことが伺える。
「ポケット〜とか、ポータブル〜などがすでにあるが、モバイルWiMAXは“より高速”。そのため“Speed”を含めた名称にした」ようで、共通の呼び方を使用することにより、これら機器群の普及推進とともに、ターゲット層をより拡大させたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.