前編に続き、Windows 7環境で21.5型/27型iMacの性能テストを実施していく。iMacに付属するBoot Camp(Version 3.1 Build 2508)を用いて、64ビット版のWindows 7 Ultimateをインストールし、定番ベンチマークテストのPCMark05、PCMarkVantage、3DMark06、3DMark Vantageを実行した。また、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、FINAL FANTASY XIV Official Benchmark、THE LAST REMNANT、Street Fighter IV Benchmarkといったゲームベンチも試している。後からGPUを変更できない液晶一体型PCだけに、この辺りの性能を気にしている人もいるだろう。「iMacにWindowsを入れてゲームもやりたい」と考えている人は参考にしてほしい。
なお、21.5型iMacはWindows 7のインストール中に(ATIドライバがないため)画面がブラックアウトするという問題があるので、あらかじめドライバを入れたUSBメモリを用意した(ちょうど2009年10月発表の27インチiMacと同じ現象なので、同環境でWindowsを入れる人は2度手間を避けるためにサポートページを参照のこと)。
さて、まずはCPU-Zの画面を見つつ、新型iMacのスペックをおさらいしていこう。iMacのCPUには、モバイル向けのArrandale(開発コード)ではなく、デスクトップ向けのClarkdale/Lynnfield(開発コード)が採用されている。後者は前者に比べてTDPが倍近く上昇する半面、CPUクロックが高く、3次キャッシュ容量も多いため、性能面では有利だ。アップルはiMacの特徴として「美しい液晶」「高いパフォーマンス」「ユーザーインタフェース」の3つを挙げているが、事実、国内PCメーカーが投入した2010年夏モデルを見渡すと、その多くはモバイル向けCPUを採用しており、同社が性能面での優位性を強調するのもうなずける(ちなみに、NECの「VALUESTAR W」もデスクトップ向けCPUを採用している)。
CPU-Zの画面を見ると、今回評価した最廉価の21.5型iMac(MC508J/A)は、デュアルコアCPUであるCore i3-540(3.06GHz)とIntel P55 Expressチップセットを組み合わせた構成、27型iMac(MC511J/A)はクアッドコアのCore i5-760(2.8GHz)とIntel P55 Expressという構成になっている。Core i3-540はHyper Threading技術によって論理4コアで動作するが、Turbo Boostには対応していない。一方、Core i5-760はHyper Threadingをサポートしていないため、最大スレッド数もコアと同じ4だが、Turbo Boost時はコアの動作状況に応じて最大3.33GHzまでクロックが上昇する。
iMacの新旧CPU比較 | ||||
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型番 | MB950J/A(旧型) | MB953J/A(旧型) | MC508J/A(新型) | MC511J/A(新型) |
CPU | 3.06GHz Core 2 Duo | Core i5-750(2.66GHz) | Core i3-540(3.06GHz) | Core i5-760(2.8GHz) |
また、両モデルとも搭載するチップセットとの組み合わせではCPU統合グラフィックス(Intel HD Graphics)を利用できないので、外部GPUを装備している。最下位モデルはATI Radeon HD 4670(256MB GDDR3)、最上位モデルはATI Radeon HD 5750(1Gバイト GDDR3)を搭載しており、特に旧モデルで統合グラフィックス(GeForce 9400M)を採用していた最下位モデルは性能向上が期待できる。
今回評価した新旧iMacのGPU比較 | ||||
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型番 | MB950J/A(旧型) | MB953J/A(旧型) | MC508J/A(新型) | MC511J/A(新型) |
グラフィックス | GeForce 9400M | ATI Radeon HD 4850(512MB GDDR3) | ATI Radeon HD 4670(256MB GDDR3) | ATI Radeon HD 5750(1Gバイト GDDR3) |
それではベンチマークの結果を見ていこう。PCMark05の結果は最上位モデルでGraphicsのスコアが逆転してしまっているものの、それ以外は新型の「MC511J/A」が各スコアを上回った。また、最下位モデルの新旧比較では、その差がより広がっているのが分かる。3DMark06は順当な結果で、やはり最下位モデルでのグラフィックス性能の向上が目を引く。NVDIAの統合グラフィックスであるGeForce 9400Mでは望めなかった3Dゲームも、軽めのタイトルであればそこそこ対応できそうだ。
とはいえ、PCMark Vantageと3DMark Vantageの結果を見ると、最上位モデルと最下位モデルの比較では、特にグラフィックス性能で大きな開きがある。特に3DMarkVantage(Perfomance)では、総合スコアが「MC508J/A」の3300に対して「MC511J/A」の8244とほぼ2.5倍、GPUのスコアで2726対7296と約2.7倍の差だ。21.5型と27型のどちらを選ぶかは、ボディサイズによる設置場所の制約や、2560×1440ドットの広大なデスクトップ領域を求めるかどうかが判断材料のポイントになると思われるが、あらかじめBoot Camp環境でゲームをするという目的があるのなら、最上位モデルを選択したほうがいい。
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