消費電力は、A8-3850と同様に低くない。システム全体としてグラフィックスコアの分もあるのだから、という考えもあるが、省電力というプレミアモデルのCore i3-2100Tに対しては、アイドル時で15ワット、CPUピーク時で59ワット、3Dピーク時で47ワットと、それぞれ大きな差となっている。A6-3650の統合グラフィックスコア使用時とCore i3-2100TにRadeon HD 6670を組み合わせた構成の消費電力がほぼ同じだ。
なお、A8-3850と比較してみると、アイドル時で若干上回っているがこれは測定誤差程度の違いで、3Dピーク時、CPUピーク時ともに10〜20ワットほどA6-3650が低い。とはいえ、パフォーマンス差はそれ以上にある。Llanoを選ぶユーザーは低価格システムであってもグラフィックス性能を必要としているだろうし、CPUも高クロックモデルにしておきたい。店頭売価で2000円ほどの差があるが、この程度の差を許容できる予算があるならA8-3850を選んでおきたいというユーザーも少なくないのではないだろうか。
Aシリーズの評価では、統合グラフィックスコアの優れた性能がまず挙げられる。一方、A6-3650の“CPU”性能は、ほぼ同じクロックでHyperThread Technology対応のデュアルコアCore iシリーズに相当する。“Sandy Bridge”世代のCore iシリーズと比べて低いIPCと省電力性能は“Llano”世代のAシリーズ共通の課題だ。メインストリーム向けのAPUとして高い評価を得るには、GPUコンピューティング対応のアプリケーションを充実させ、インテルのQuick Sync Videoに相当するトランスコード性能やエンターテインメント系の機能を充実させる必要がある。
GPU性能に関しては、新しいドライバを適用してDual Graphicsの効率が向上した一方で、ゲームタイトルごとに異なる最適化の対応など、Dual Graphicsはまだまだ安定した力を発揮できる状況にはない。ユーザーとしては、自分の利用するアプリケーションで確実に効果が出ると分かるまでは待つべきだろう。
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