現5GHz帯 | 周波数帯域 | チャネル数 | 屋外利用 |
---|---|---|---|
W52 | 5.15G〜5.25GHz | 4 | × |
W53 | 5.25G〜5.35GHz | 4 | × |
W56 | 5.47G〜5.725GHz | 11 | ○ |
では今回のテーマである「5GHz帯」はどうだろう。
5GHz帯の無線LANで利用する周波数は2.4GHz帯ほど広く開放されておらず、2.4GHz帯と比べるとほかの機器との電波干渉を受けにくい。当初、日本での5GHz帯IEEE802.11aは国際標準から少し外れた周波数帯を用い、屋内でのみしか使用できない制限があったが、2005年5月の電波法改正で国際標準の周波数が利用可能となり、さらに追加の割り当ても行われた。
2011年8月現在、5GHz帯無線LANは屋内利用専用の8チャネル、屋外でも利用可能な11チャネルの計19チャネルを使用できる。さらに5GHz帯は各チャネルの間隔が20MHzと2.4GHz帯より広めにとられているため、隣り合うチャネルを使っても重ならない。
また、40MHz幅を使うIEEE802.11nの倍速モードでも、重なるのは隣りのチャネルだけとなる。干渉しないよう工夫すれば最大9チャネルを同時に利用できる。このように、ユーザーや干渉の要因が比較的少なく、かつ空いているチャネルを効果的に活用できることから、5GHz帯は「IEEE802.11nの高速無線通信を存分に利用したい」ユーザーに向くベターな選択となるわけだ。
簡単にまとめると、対応機器が多く比較的電波が遠くまで届くが、ほかの機器の電波に影響され通信速度が落ちる可能性が高くなるのが2.4GHz帯。対して電波干渉の要因が少なく、高速な通信を安定して行えるのが5GHz帯ということになる。
もちろん2.4GHz帯でも困らない人は困らない。PCや携帯ゲーム機では、電波干渉で一時的に通信速度が低下したとしてもそれに気がつかないことすら多いとは思う。それは、データ送受信は断続的であるシーンがほとんどで、PCにおいては動画のストリーミング再生なども先読み処理を行うのが一般的だからだ。
ところがAV機器でも利用するとなると、少し事情が異なる。最新の家庭用テレビやBlu-rayレコーダーは、家庭内LANを通じて別の部屋のテレビでも録画した番組を再生できるネットワーク配信機能を備えるモデルが増え、ひかりTVやアクトビラなどIPベースで配信する番組サービスもある。こちらは断続的ではなく、常に一定以上の通信速度で安定して通信し続ける性能が求められる。
家庭用AV機器用としても、安定して通信し続けられる性能を持つ無線LAN──それが5GHz帯だ。「5GHz帯」と「2.4GHz帯」、それぞれを利用シーンに応じて使い分ける。これが2011年現在の無線LANをよりおいしく活用するためのポイントといえる。
次回は、AV機器へ導入するにはどんな手段があるか、そして5GHz/2.4GHz帯両対応の無線LANルータ・アクセスポイントの最新モデルで、実際の通信速度がどう変化するか比較検証する予定だ。
(次回に続く)
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