日本サムスンは10月24日、SATA 3.0対応の2.5インチSSD「Samsung SSD 840」ファミリー9製品を発売した。ラインアップはITプロフェッショナル/エンスージアスト向けの「Samsung SSD 840 PRO」とメインストリーム向けの「Samsung SSD 840」に分かれており、SSD 840 PROは128G/256G/512Gバイト、SSD 840は120G/250G/500Gバイトのモデルを用意する。
製品パッケージは、SSD本体にユーティリティソフトを付属した「ベーシックキット」と、PCとの接続に必要な部品類まで含めた「オールインワンキット」の2種類がある。オールインワンキットを販売するのはSSD 840のみで、デスクトップPC用ブラケットと固定用ネジ、ノートPC用スペーサー、SATAケーブル、データ移行用のSATA/USB 2.0変換ケーブルが付属する。
価格はオープン、実売価格は840 PROが1万2800円前後から、840が9800円前後からの見込みだ。日本ではITGマーケティングを通じて販売する。
Samsung SSD 840ファミリーの型番と価格 | ||||
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製品名 | 容量 | 型番 | 価格 | 予想実売価格(税込) |
SSD 840 PRO ベーシックキット | 128Gバイト | MZ-7PD128B/IT | オープン | 1万2800円前後 |
256Gバイト | MZ-7PD256B/IT | オープン | 2万2800円前後 | |
512Gバイト | MZ-7PD512B/IT | オープン | 4万9800円前後 | |
SSD 840 ベーシックキット | 120Gバイト | MZ-7TD120B/IT | オープン | 9800円前後 |
250Gバイト | MZ-7TD250B/IT | オープン | 1万6800円前後 | |
500Gバイト | MZ-7TD500B/IT | オープン | 3万7800円前後 | |
SSD 840 オールインワンキット | 120Gバイト | MZ-7TD120K/IT | オープン | 1万1300円前後 |
250Gバイト | MZ-7TD250K/IT | オープン | 1万8300円前後 | |
500Gバイト | MZ-7TD500K/IT | オープン | 3万9300円前後 | |
これらは2012年9月に韓国で発表されたSamsungの新世代SSD。Serial ATA 6Gbpsインタフェースを採用した7ミリ厚の2.5インチSSDだ。自社製のコントローラ、NANDフラッシュ、キャッシュDRAMをすべて刷新し、SSD 840 PROでは単体のSSDとして世界初となる10万IOPS(Input Output Per Second)のランダムアクセスを達成した(2012年9月24日現在、同社調べ)。
新世代のSamsung MDXコントローラは、内蔵プロセッサをARM 9(220MHz)からARM Cortex-R4(300MHz)へ強化。ランダムアクセス専用のコアを備えた3コア構成のコントローラだ。非圧縮データ転送方式を採用し、データを圧縮して転送するタイプの他社製コントローラに比べて、圧縮されたファイルや暗号化されたファイルでも安定して高速な転送速度が得られるとしている。
ページサイズをWindowsの読み書き単位である4Kバイトに合わせてガベージの発生を抑制する機能や、SSD内の全データをハードウェアで256ビットAESに暗号化する機能も持つ。コントローラがNANDフラッシュへのデータ格納状況を監視、コントロールすることで、長期運用における速度低下を抑制する設計も採用。PCのアイドル時に自動実行されるTRIM・ガベージコレクションが、データの断片を効率的に収集整理・再配置し、特別な操作を行うことなく速度を回復させる機能にも対応する。
NANDフラッシュはインタフェース速度を133Mbps(Toggle DDR)から400Mbps(Toggle DDR2.0)へ高速化した。NANDフラッシュのタイプは、SSD 840 PROがMLC(1つのセルに2ビットのデータを記録)、SSD 840はTLC(1つのセルに3ビットのデータを記録する)を採用する。
TLCはMLCに比べて集積度が高く、大容量化やコスト面では有利だが、書き換え可能回数や保存性では不利だ。そこで、SSD 840ではUSBメモリやカード向けのTLCより高性能なTLCのNANDを採用し、オーバープロビジョニング(主に性能低下防止に使われる予備領域)を取ることで、信頼性を高めた。そのため、SSD 840 PROに比べて記録容量が小さく、保証期間も3年と短くなっている(SSD 840 PROの保証期間は5年間)。
キャッシュメモリは省電力なLPDDR2 SDRAMを採用し、最大容量を512Mバイトと従来の2倍に増やしている。SSD 840PROの動作時電力は旧モデルとなるSSD 830の待機時電力を下回り、動作時で45%、待機時で30%もの消費電力低減を果たした。
ソフトウェアはパフォーマンスの測定や最適化など各種設定が行える「Magician Software Ver.3.2」、3ステップでデータ移行が行える「Samsung Data Migration」を用意する(後者はダウンロード提供)。
Samsung SSD 840ファミリーの主なスペック | ||||||
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シリーズ | SSD 840 PRO | SSD 840 | ||||
容量 | 512Gバイト | 256Gバイト | 128Gバイト | 500Gバイト | 250Gバイト | 120Gバイト |
NANDフラッシュ | Toggle DDR2.0(400Mbps) | |||||
コントローラ | Samsung MDX(300MHz) | |||||
キャッシュメモリ | 512Mバイト | 256Mバイト | 512Mバイト | 256Mバイト | ||
シーケンシャルリード | 540Mバイト/秒 | 530Mバイト/秒 | 540Mバイト/秒 | 530Mバイト/秒 | ||
シーケンシャルライト | 520Mバイト/秒 | 390Mバイト/秒 | 330Mバイト/秒 | 250Mバイト/秒 | 130Mバイト/秒 | |
4Kバイト(QD32)ランダムリード | 10万IOPS | 9万7000IOPS | 9万8000IOPS | 9万6000IOPS | 8万6000IOPS | |
4Kバイト(QD32)ランダムライト | 9万IOPS | 7万IOPS | 6万2000IOPS | 3万2000IOPS | ||
4Kバイト(QD1)ランダムリード | 9900IOPS | 9万8000IOPS | 7900IOPS | |||
4Kバイト(QD1)ランダムライト | 3万1000IOPS | 2万9000IOPS | ||||
TRIMサポート | ○ ※OSが対応している場合 | |||||
ガベージコレクション | ○ | |||||
S.M.A.R.T(自己診断機能) | ○ | |||||
暗号化 | AES 256ビット フルディスク暗号化(FDE) | |||||
WWN(World Wide Name) | ○ | |||||
LED Indicator対応 | ○ | |||||
インタフェース | SATA 3.0(6Gbps) | |||||
フォームファクタ | 7ミリ厚2.5インチHDD互換 | |||||
外形寸法 | 100×69.85×7ミリ | |||||
重量 | 62.5グラム | 61グラム | 62.5グラム | 61グラム | ||
耐衝撃性 | 1500G/0.5ms(ハーフサイズ) | |||||
耐振動性 | 動作時:ランダム2.17Grms(7〜800Hz)、非動作時:ランダム3.08Grms(7〜800Hz)、Sweptsine:20G peak @ 10〜2KHz | |||||
MTBF(平均故障間隔) | 150万時間 | |||||
消費電力 | 動作時:0.069ワット、待機時:0.054ワット(DIPMオン)/0.349ワット(DIPMオフ) | 動作時:0.071ワット、待機時:0.046ワット(DIPMオン)/0.279ワット(DIPMオフ) | ||||
保証期間 | 5年間 | 3年間 | ||||
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