このフライングトースタースクリーンセーバーには、全世代のトースターを含む29種類のキャラクターがランダムに登場するので、しばらく見ていても飽きず、トースターの違いを思わず目で追ってしまう。表示されるキャラクターの数(1〜20)、一部キャラクターの表示/非表示や速度、BGM(ボーカル入りもあり)は選択可能だ。
できれば、全キャラクターのより細かい制御や、一度に表示できる数の増加、キャラクターのサイズ変更といった設定があればよかったが、ランダム表示なのでレアキャラを探す面白さがあると、好意的に解釈したい。
なお、このスクリーンセーバーはRetinaディスプレイに最適化されているわけではなく、超高精細なトースターや3D CGで描かれた最新鋭のトースターが現われるわけでもない。動きもどこかキレがなく、もっさりしている(液晶ディスプレイの応答速度の問題もあるが)。ドット絵で描かれた昔ながらの2Dキャラクターが移動するだけの単純なものだ。
しかし、変に今風にアレンジして昔からのユーザーの反感を買うよりは、この仕様で正解だろう。新しくはないが、安心感がある。ソフトウェアにだって、あえて進化せず、変わらないほうがいい場合だってあるのだ。
ご存じの通り、ディスプレイの主流がCRTから液晶に移行するとともに、ディスプレイ保護機能としてのスクリーンセーバーは衰退していった。それでもメッセージボードやデスクトップアクセサリのような感覚で一部のユーザーには愛用されてきたが、今やスクリーンセーバーの利用者は少数派だろう。
実際、液晶ディスプレイのバックライトを常時点灯させるスクリーンセーバーを利用するより、スリープに移行して表示をオフにするほうが消費電力もバックライトの経年劣化も抑えられるため、Macの使い方としては合理的だ。昨今は省電力志向が全国的に高まっており、非使用時にディスプレイの電源を切ることがルールになっている職場も少なくない。
時代とともに、コンピュータの性能や機能、姿形は予想以上のスピードで進化し、我々の利用の仕方も、ライフスタイルさえも変えていく。ITが生活をより豊かにすると信じるならば、その進化を常に追い続けることは重要だ。
ただ、たまにはこうして立ち止まって、最新のマシンに懐かしいスクリーンセーバーを映し出し、あの頃を思い出してみるのも悪くない。慌ただしい日常とは無関係に、どこまでもお気楽に飛んでいくトースターの群れを見ると、なぜだかホッとした気分にさせられる。
こうして筆者にとってのスクリーンセーバーは2012年12月、ちょっとした癒し空間の発生装置として復活を果たしたのだった。
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