インタビュー
» 2013年08月22日 12時45分 公開

IGZO液晶+第4世代Coreの“日本製”Ultrabookはこうして生まれた「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(前編)(4/4 ページ)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]
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UH75/Hからデザインを大きく変更した理由とは?

―― 刀がコンセプトということで、落ち着いた「スパークリングブラック」のカラーも印象的ですが、もう1つのカラーである「サテンレッド」は色鮮やかな赤がとても目立ちます。

太田氏 UH75/Hの「サテンレッド」はレッドとブラックのツートーンでしたが、UH90/Lはパームレスト面もレッドにしました。全体を赤くするのは、かなり勇気がいることだったのですが、アルミニウムの素材感を生かしつつ、富士通のコーポレートカラーである赤を一番きれいに見せるための配色を考えた結果です。異なる素材を統一感のある赤にまとめて、1つの塊感が出せるよう配色しています。

岡本氏 サテンレッドは一見すると真っ赤ですが、実際は塗装の赤だったり、金属の赤だったり、ちょっとした違いの中に深みを出そうと、かなり手の込んだ仕上がりになっています。

立神氏 通常はアルマイト処理をした後、ダイヤモンドカット加工をすると、その部分はアルミの素地のシルバーが出てしまいますが、UH90/Lのサテンレッドモデルではダイヤモンドカット加工をした後、もう一度アルマイト処理をして、艶があるのに赤いというデザインを実現しています。キーボード周囲の梨地加工も含め、「本当にここまで必要なのか?」と、何度も検討をしながら、最終的によい仕上がりになったと思います。

ボディカラーは、鮮やかな赤が目を引くサテンレッド(左)、黒を基調としたスパークリングブラック(右)の2色展開だ

―― UH75/Hも細部までこだわったデザインでしたが、そこから大きく変更したのはなぜでしょうか?

岡本氏 初代のUH75/Hは、富士通のUltrabook第1弾ということで、市場にセンセーショナルに登場することを目指し、一目でFMVと分かるような造形言語を盛り込みました。そこで「折り紙」をデザインのキーワードに掲げ、薄い紙を折り曲げて硬い構造物を作るというイメージが、外観から分かるように作り上げました。

 今回のUH90/Lは2代目ということで、初代からブラッシュアップしたい、達成できなかったところを積み上げていきたい、という思いがあり、単純にUH75/Hの造形言語を踏襲することはやめました。ただ、同じUltrabookとして薄くなければいけない、という大きな名目があるので、とらえ方を変えています。

 具体的にUH75/Hのデザインで最もフォローが必要と感じたのは、外装ケースの構成の仕方です。ボディを薄く見せるための造形言語として、2枚の板がきれいに重なるサイドビューを重視したデザインでしたが、視覚的な効果が高い半面、積層しているぶん、ねじれの動きに対して隙間が出やすい構造でした。UHシリーズの開発を進めるほど、薄型化や軽量化の要求が厳しくなっていくため、その中で剛性感や堅牢性も出したい場合、このサイドビューから脱却しなければなりません。

 そこで、UH90/Lでは単に薄いだけではなく、薄さの中に塊感、密度を持たせようと考えました。具体的には、パーツのかみ合わせ部分を側面に出すのをやめ、液晶ディスプレイ側と本体側がそれぞれ1枚の板に見えるよう、パーツの切り替え部が上下にしか出ないスタイリングにしています。つまり、今回はより余計な線を外観から消すことに注力しました。

太田氏 刀のような鋭さと強さを併せ持つため、ボディのクリアランス(隙間)をできるだけ小さくしたり、エッジ感を出しつつ、ゆがまないように強度を確保するデザインには苦労しました。

左がUH90/L、右がUH75/Hの側面。UH90/Lは、液晶ディスプレイと本体がそれぞれ1枚の板に見え、薄さと頑丈さを意識したデザインになっている(写真=左)。UH75/Hは、液晶ディスプレイと本体の中央にパーツ割りのラインがあり、薄さを強調したデザインだった(写真=右)

―― 天面の端を斜めにカットしたデザインには、どのような意味があるのでしょうか?

岡本氏 富士通では、一昨年からブランドアイデンティティを強化する動きがあり、PCからサーバ、スーパーコンピュータまで一目見て、富士通製品だと分かるようなアイコンやタグを付けていく、というデザインガイドラインを設けています。天面の端に設けたデザインのアクセントはこれの一環で、デザインチームでは「ウェッジシェイプ」と呼んでいます。

 ウェッジシェイプは、目に止まってほしい、理解されたい、という側面を持っているのですが、ちょっとでも間違えるとデザインのアクになってしまうので、形状や質感、色はデリケートに調整しています。ブランドの認知拡大はいっときのトレンドで終わらせてしまうと意味がないので、今後も特定のモデルにはこのシェイプを入れていく予定です。

サテンレッド(写真=左)も、スパークリングブラック(写真=右)も、天面の端を斜めにカットしたようなデザインの「ウェッジシェイプ」が施されている

―― デザインを突き詰めると、製造コストに跳ね返ってきますが、そこはどう対応しましたか?

岡本氏 今回は限られたコストをどこにかけるべきかと精査したうえで、パームレストに注力し、その製造工程を増やしています。すべて手間をかけた加工にすると、コストが大きく膨れあがりますが、優先順位を決めて、ここは足して、ここは引く、といったデザインとコストのコントロールは注意深くしています。

 そこで、全体的にはUH75/Hよりシンプルで普遍的な外観にしました。個性をやや抑えたデザインになりましたが、細部までこだわって作り込んでいる点は変わりません。写真では伝わらない部分も多いので、是非店頭で見て触れていただきたいです。


 後編につづく。

・→「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(後編):“画素密度No.1”の国産Ultrabookを徹底分解して秘密に迫る

富士通 FMV LIFEBOOK UH
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