Devil's Canyon割っちゃいました──激闘3.5時間!インテルオーバークロックイベントCOMPUTEX TAIPEI 2014(1/2 ページ)

» 2014年06月06日 10時02分 公開
[長浜和也,ITmedia]

2014年のインテルは、オーバークロック推し!

 インテルが“Devil's Canyon”こと「Core i7-4790K」と自作PC向けCPU販売開始20周年を記念した「Pentium Processor Anniversary Edition」を発表した6月3日の夜、アンロックなCPUの登場を記念するかのように、蒸し暑いTaipeiを一層蒸し暑くする「マザーボードベンダー対抗オーバークロック大会」を挙行した。

オーバークロックはただ冷やせばいいというものではない。その作業は推理と試行錯誤を繰り返す“緻密な発掘作業”と表現できるかもしれない。限られた時間で効率よく当たりを見つけるために、マザーボードには高い作業効率と使いやすい機能を求めることになる。このフィードバックが「使いやすいマザーボード」を生み出す要因となる

 大会に参加したベンダーは、ASUSTeK、ASRock、EVGA、GIGABYTE、MSIで、それぞれ、「空冷&水冷」部門と「液体窒素冷却」部門でベンチマークのスコアと動作クロックを競う。ベンチマークテストは「XTU」「CINEBENCH R15」「Wprime 1024M」「HWBOT Prime」で、空冷&水冷と液体窒素冷却部門それぞれで各ベンチマークテストのトップスコアと、CPU動作クロック(シングルコア動作とクアッドコア動作)、そして、メモリクロックの最高値を出したチームに賞金がでる。

 競技時間は3時間30分。「ぐあー、なげー!」と思うかもしれないが、その多くの時間は、クーラー機構の組み立てやシステムを結露から守る養生といった“工作”作業に費やされる。

 オーバークロックのチューニング作業でも、通常の作戦としては、短時間で終わるベンチマークテストで、複数使えるCPUやメモリ、GPUからクロックを上げやすい、または、速いクロックでも安定して動作する当たりの個体を見つける“試走”を繰り返すところから始まる。シングルコア部門のときはコアの1つ1つでこの作業を行うことになる。

 当たりの個体を見つけたあとには、その個体で最も早く、かつ、安定して動作する「温度」を見つけ出す作業が待っている。オーバークロックでは、ただ単に低い温度にすればいいわけではない。高速設定で安定して動作する「温度帯」があって、その温度帯を試行錯誤で見つけ出し、かつ、その温度を維持しなければらない。

 このような膨大な作業をこなさなければならないため、通常のオーバークロック大会でも、1つのベンチマークテスト部門で3時間程度の時間をかける。今回は複数のベンチマークテストを行うわけだから、オーバークロッカーにとっては3時間30分でも時間が足りない。

ユニークな戦法が続出の空冷&水冷部門

 そんな、主催するインテルとしてはお祭りモードだが、参戦するオーバークロッカーには意外と過酷な戦いが展開した。参戦チームはそれぞれが発表したばかりのIntel Z97 Expressチップセット搭載でオーバークロック重視マザーボードにCore i7-4790Kを搭載し、独自に(たぶんその場で)考案した冷却テクニックとシステムを駆使してスコアを重ねていった。

液体窒素部門は、煙突形状のクーラーユニットを用いて結露保護の養生をマザーボードに施すというオーソドックスな方法が主流だった。GIGABYTEは液体窒素冷却に特化した「GA-Z97-SOC Force LN2」を投入した

 冷却テクニックでユニークな手法が多く出たのが空冷&水冷部門だ。この部門は空冷ユニットと水冷ユニットのみを冷却するチップに組み込める(接触できる)ルールだが、それ以外の部分における冷却についてはルールで言及していない。

 各チームはその“ルールの穴”をついて、水冷ユニットのラジエータに液体窒素“蒸気”を送り込んで水冷ユニットの冷却効率を上げており、その蒸気を効率よくラジエータに送り込む方法を競っていた。中には、発泡スチロールの箱にシステムを丸ごと入れて、その中に液体窒素を注ぎ込むというチームも出現した。

GIGABYTEの空冷&水冷チームはシステムを丸ごと発泡スチロールに入れてしまい、その中に直接液体窒素を注いでいた

液体窒素の蒸気を水冷ユニットのラジエータに流して冷却効率を高める手法が多くのチームで行っていた。その方法にも各チームで異なっている

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