日本マイクロソフトは1月29日、同社の最新研究および開発動向を紹介するプレス向け説明会「2015 Technology Update」を開催した。
毎年1月に行われる恒例の説明会で、登壇するのは日本マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)とマイクロソフトディベロップメントの代表取締役社長を兼任する加治佐俊一氏。同氏は今年で設立40周年を迎えるMicrosoftの変遷を振り返るとともに、現在の開発モデルやその方向性、および最新の研究事例を紹介した。
加治佐氏は、米Microsoftの3代目CEOとして就任したナデラ氏のメッセージを引用して、IT業界が重視するのはこれまでの伝統ではなく、革新のみであるという点を改めて強調し、“Mobile-first”“Cloud-first”を掲げるナデラ新体制の下、トランスフォーメーションを推進してきたと説明。その顕著な例として、約3年のサイクルでリリースを行ってきた従来の開発モデルから、より小規模な機能を短期間でリリースしていくアジャイル開発にシフトした点を挙げた。
また、従来競合と位置づけられてきた企業ともパートナーシップを結び、クラウドビジネスを拡大していくほか、オープンソースとの連携やマルチプラットフォーム対応、膨大なデータを活用した機械学習の研究(20億枚の犬の写真を学習し、犬種判別を行う「Project Adam」など)、それらを支える“信頼できるクラウド”(Trustworthy Cloud)が今後の革新に必要な重要技術とした。
続いて加治佐氏は、同社の研究部門であるMicrosoft Researchの取り組みを紹介。Kinectを使ったNUI(ナチュラルユーザーインタフェース)の最新研究事例として、「Handpose」と「RoomAlive」の2つを取り上げ、Handposeではユーザーの細かい指の動きをリアルタイムで詳細に検知し、スムーズに追従する様子や、低照度下でも赤外線センサーによって手の動きを捉える様子を披露した。なお、こうした深度センサーを使った技術は、先日行われたWindows 10イベントで明かされたHMD「HoloLens」や、「Surface Hub」にも応用されているという。
さらにMicrosoft Researchの公野氏がコンピュータービジョン技術の例として「ViiBoard」を、Office開発統括部の鵜飼氏が“Mobile-first”“Cloud-first”時代のコンテンツ作成アプリの例として「Sway」をそれぞれ紹介。ViiBoardでは、Kinectを利用した位置検出とタッチ対応ディスプレイを組み合わせることで、遠く離れた場所のユーザー同士がガラス越しにコミュニケーションを取っているかのような様子を実際にデモしてみせた。なお、Swayのモバイルアプリは近日中に公開されるとのことだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.