PWAそのものは単なるWebアプリなので、実行環境さえあればWebブラウザの他、Windows 10、macOS、あるいはAndroidやiOSでも問題なく動作する。そのため、フロントエンドの環境は問わないと考えていいだろう。
例えば、Twitterは2017年初頭に「Twitter Lite」というサービスを発表したが、これはいわゆるPWAだ。AndroidデバイスのChromeでモバイルサイトにアクセスすると、Twitter Liteが起動して「ホーム画面」に登録できる。
これは単なるブックマークではなく、Twitter Liteという別のアプリとして扱われ、本来であればモバイルアプリからでないと呼び出せない通知サービスまで利用できる。
非常にシンプルではあるが、Windows 10では1つ問題がある。それは「Windows 10 S」のようにMicrosoftストア経由でないとアプリが導入できない仕組みの場合だ。
単純にWebアプリとしてサイトにアクセスする場合には問題ないが、単体のデスクトップアプリとして扱おうとすると諸処の問題が発生する。そこでPWAをUWPアプリとしてパッケージングし、Microsoftストアに登録することで、導入が可能になる他、検索性も向上することになる。
Microsoftストアから見えるPWAは他のUWPアプリと外見上の差異はないものの、その実は汎用(はんよう)的なWebアプリなので、デバイスやプラットフォームを問わず動作が可能だ。プラットフォーム個々にアプリ開発を行う必要がない点で開発者にメリットがあり、アプリ配信という側面からはコンバーターを使うことでストアアプリとしても登録が可能なため、一手間掛けるだけで広域展開が容易だといえる。
Windows Insider Program経由でRS4相当の最新ビルドを導入しているユーザー、またはRS4の正式配信後にアップデートを行ったユーザーは、Microsoftストアにアクセスすることで、同ストアに登録されたPWAアプリを利用できる。
例えば前項のTwitterなどはその典型例で、通常のUWPアプリのようにも思えるが、実際に実行してみるとWeb版(タブレットUI)に準拠したものであることが分かる。MicrosoftストアのTwitterアプリのページでは「Build 17120」以上が要求されており、実行にあたってはRS4の該当ビルド以上のものが必要となる。
またPWAということもあり、アプリをインストールした後はEdgeから「共有アイコン」を使ってツイートが可能など、単純にWeb経由でアクセスするよりはWindows 10本来の機能を利用できる点で優れている。
これは一例だが、既に多くのアプリがPWAとして配信されているようだ。米Windows Centralによれば、現時点でSkyscannerなどが確認されており、恐らくRS4の配信以降はさらに増えると予想される。
また公式からの配信ではないものの、PWAが登録されているものもある。YouTubeやUberアプリなどがそれで、名目上はWindows 10 Mobileをターゲットとしたアプリとして登録されている。
もっとも、これは単にWebページをPWAとして登録しただけなので、本来モバイルアプリのように動作するPWA特有の機能は一切利用できない。またアプリ自体にも問題があるようで、登録後すぐに削除されて現在はページそのものが参照できなくなっている。
もともとの狙いは「公式アプリが減り続けるWindows 10 MobileにPWA経由でストアアプリを提供する」ことにあるようだが(「Windows Revival Project」などと表現されている)、そもそもWindows 10 MobileのEdgeはPWAにネイティブアプリのような機能を提供するService Workerが存在しないため、アプリ自体はほぼ意味のないものだといえる(Edge経由でアクセスするのと変わらないため)。
とはいえ、Windows 10のアプリストアでは久々の注目トピックであり、今後の動向が気になるところだ。
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