フリーアドレス制オフィスでiPhoneが活躍、業務のスピードアップも――NJCネット

» 2011年05月23日 17時05分 公開
[日高彰,ITmedia]
Photo NJCネットコミュニケーションズ サービス企画部の田中満春氏

 NJCネットコミュニケーションズ(以下、NJCネット)は、企業のネットワーク構築やスマートフォンの導入サポートを手がけるシステムインテグレーター。ネットワークとアプリケーション、PCやモバイル端末などの情報機器、そして拠点間やインターネットへのアクセスのため通信回線をトータルで提供できることを強みとしている。

 同社は2010年7月から、企業のiPhone導入と運用を支援する「スマートフォンコンシェルジュ」を開始。自社の活用事例をショーケースとしながら、スマートフォンのビジネス活用を提案している。

 法人市場で注目が高まっているiPhoneは、企業の課題を解決するデバイスとしてどのように役立つのか――。NJCネットコミュニケーションズ サービス企画部の田中満春氏に聞いた。

フリーアドレスのオフィスでiPhoneを“普段使いの電話機”に

 これまでNJCネットでは、会議資料の表示やプレゼンテーションに使えるタブレットPC、IP内線電話として利用できるWi-Fi対応携帯電話などのモバイル機器を試験的に導入してきたという。前者はペーパーレス化やビジネス効率・生産性の向上、後者は通信コストの削減やプレゼンス機能の活用によるコミュニケーションの円滑化を狙ったものだ。しかし、使い勝手の面で満足できる製品は少なく、「社内の一部で利用するのにとどまっていた」と田中氏は振り返る。

 こうしたビジネスニーズに応えられるモバイルデバイスを探していたところ、2008年7月にiPhoneが登場。豊富なアプリを使いやすいインタフェースで利用でき、通話は「ホワイトプラン」「おとくライン」といったソフトバンクの定額通話サービスを利用できるとあって、発売後すぐに評価を開始。同年秋には早くも全社導入に踏み切った。

 NJCネットの約50人の社員には、営業、技術、運用、企画などの職種を問わずiPhoneが支給され、以来、社員は社内外を問わず、常にiPhoneを携帯するようになった。私的な利用についても、セキュリティポリシーに反しない限り制限せず、音楽や写真などの個人的なデータを入れている社員も少なくないという。

 iPhoneの業務利用というと、ビジネス向けアプリやクラウド連携といった話になりがちだが、ネットワークサービスを本業とする同社では、“普段使いの電話機”として積極的に活用しているのが特徴だ。

 NJCネットのオフィスは、各社員が決まった席を持たないフリーアドレス制を導入している。導入に伴って固定電話を廃し、PC上のソフトウェアによるIP電話(ソフトフォン)で内線を構築した。外線の固定電話回線にはソフトバンクテレコムの「おとくライン」を利用しており、内線のIP網とおとくラインはデータセンター内のメディアゲートウェイ(電話交換網とIP網の接続装置)を介して接続されている。

 社員が社内のデスクで仕事をしているときには、ソフトフォンが起動している状態になるので、これをプレゼンス情報の確認に利用できる。在席/離席の状態はiPhoneのWebブラウザからいつでも確認でき、画面上で社員名をタッチすると、iPhoneからその社員が今、座っている席のソフトフォンを呼び出せる。ソフトフォンからiPhoneへの転送設定をしておけば、席を離れているときにはiPhoneに電話がかかるので、相手が社内外のどちらにいてもすぐに連絡をとれるというわけだ。

 加えて音声通話は、ビジネスタイムにソフトバンクモバイルの携帯電話とおとくライン間の通話を定額で利用できる(21時〜1時のみ定額の対象外)「ホワイトライン24」を採用し、コスト削減につなげているという。

 NJCネットは、かなり大がかりな仕組みでiPhoneと内線の連携を図っているが、段階的な切り替えも可能だという。「例えば、おとくライン+ホワイトライン24の導入だけなら、社内のシステムに手を加える必要はないので、ここだけ先に対応する手もある。内線との連携は、PBXのリース契約の更改時などに導入すればいい」(田中氏)

Photo NJCネットの導入事例。iPhoneを社員のプレゼンスが分かる内線電話として使えるようにした

 導入効果は料金面のメリットもさることながら、固定電話からiPhoneに切り替えたことによる、業務効率の向上が大きかったと田中氏。導入を検討する企業も、部署から個人への電話の取り次ぎが不要になる点や、離席時に後でかけ直すといった時間と手間を軽減できる点、オフィスのレイアウトを変更をしても内線の再設定が不要な点などに魅力を感じることが多いそうだ。

 また、iPhone導入後の変化として挙げるのが「社用の携帯電話を会社に置きっぱなしにしなくなった」(田中氏)ことだ。これまでは、緊急の連絡で電話をかけると、相手の携帯が会社の机の中で鳴っていることも多かったが、iPhoneに変えてからは、ほぼ全員がiPhoneを常時携帯するようになったという。

iPhoneで業務システムの「携帯版画面」が不要に

 iPhoneの導入がもたらすメリットはほかにもある。その1つが、社内システムにアクセスしやすい点だ。

 スケジュール管理や決済のワークフロー、勤怠申請などはイントラネット上のグループウェアを利用する企業も多く、外出先から携帯(フィーチャーフォン)で社内システムにアクセスする場合は、携帯用のアクセス画面を用意する必要がある。しかし、携帯版では利用できる機能が限られていたり、場合によっては新規開発が必要になったりと、機能面とコスト面のメリットを両立させるのが難しかった。

 iPhoneはフルブラウザのSafariを搭載しているため、社外でも社内でPCからアクセスするのと同じようにグループウェアにアクセスでき、フィーチャーフォンほどモバイル対応のための手間やコストがかからない。既存のシステムをそのまま使えるのは、大きなメリットといえるだろう。

 NJCネットではiPhoneの導入と並行して、Google Appsのメール機能を使い始めた。社内でメールサーバーを運用していると、社員1人あたりのメールボックスの容量を制限することになるが、Google Appsなら事実上無制限といえる25Gバイトの容量を利用できる。また、過去のメールを検索ですぐに探し出せるなど、Gmailの強力な機能も活用できる。さらに、Google Appsにはリモートワイプなどの端末管理機能が盛り込まれているため、特別な管理ソリューションを導入しなくても、端末紛失時に遠隔で端末内のデータを消去できる。

Photo Google Appsを導入して管理の手間を軽減。外出先からの情報確認もしやすくなった

 NJCネットは自社のASP商品としてグループウェア「recipe.office」(リサイプオフィス)を提供しているが、「グループウェアとGoogle Appsは意外なほどうまくすみ分けできている」(田中氏)という。同社ではメール、スケジュール、リモートワイプにはGoogle Appsを利用し、他の機能は継続してrecipe.officeを使用している。Google Appsをグループウェアとして捉えると、カスタマイズ性には限界があり、ページごとのアクセス権限管理などユーザーのニーズに十分応えられないことも多い。iPhoneからはGoogle Appsのメールやカレンダーはアプリで利用し、グループウェアの機能はブラウザ経由でアクセスしているため、ユーザーにも混乱はないようだ。

 外回りの社員は、従来からノートPCとデータ通信カードを持ち歩いていたので、出先からの社内データへのアクセス自体は可能だったそうだ。しかし実際には、電車の待ち時間にメールチェックのためだけにPCを開くことはないし、突然急ぎの決済要求が入っても、すぐにPCを開ける環境にいることのほうが少ない。田中氏も「iPhone導入の最大の変化は業務のスピードアップ」だと話す。

Photo NJCネットが提供するグループウェア「recipe.office」
Photo iPhoneの導入効果。時間や場所を選ばず、社内情報にアクセスできるようになったことが、業務のスピードアップにつながった

用途をイメージできない企業の支援を

Photo

 NJCネットではほかにも、iPhone対応のEラーニングシステムを利用して、社内やグループ内の営業担当者、販売パートナーとの間で新商品の情報を共有するといったことにも取り組んでいる。最近ではiPadを導入し、客先で見せるプレゼンテーション資料や製品パンフレットなどでの活用も始めているという。

 iPadについては、店舗に設置する情報端末としての利用や、訪問先でのカタログやマニュアルのビューワーとしての活用など、iPhoneに比べるとある程度用途が見えている企業からの問い合わせが多いという。そのため、導入支援サービスでは「これだけのPDFや動画をすぐ見られるよう、あらかじめ入れておいてほしい」といった具体的な要求が寄せられることもあるようだ。

 一方のiPhoneは、商品としての魅力は広く認知されているものの、それが会社に入ってきたときに「何ができるのか」「何が変わるのか」といったところを、具体的にイメージできない企業がまだ多いという。

 NJCネットでは、単にiPhone/iPadと関連ソリューションを販売するだけでなく、“業務において、どんな活用が考えられるか”を検討するコンサルティングから、ユーザー企業用にカスタマイズした専用マニュアルの作成、操作指導やヘルプデスク対応までをワンストップで提供している。「そろそろスマートフォンを導入したいと思いつつ、自社でどう活用できるのか、どこから手を付けていいのかが分からない」というニーズに応えていきたいとしている。

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