情報をいさぎよく捨てるための3ステップ結果を出して定時に帰る時短仕事術

かつて、わたしの机はものすごく汚かったのですが、今ではスッキリして、仕事に集中できるようになりました。限られた収納スペースで増え続ける書類を整理するためには、「廃棄する」「人に渡す」「データとしてしまいこむ」の3ステップが効果的です。

» 2010年07月01日 10時23分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 わたしたちの周りには情報があふれています。テレビ、新聞、本、雑誌、Webサイト、ブログ、Twitter、移動中の交通広告や街のポスターやチラシ……。

 どんな情報でも知りたい、という貪欲さは悪いことではないのですが、限られた時間で自分の価値を高めたいという人にはおすすめできません。情報量には限界がないのですから、目的が明確でない状態で情報収集しようとすると、情報という名の洪水に溺れるだけです。ですから情報に触れる前に、必ず自分だけのキーワードを意識することが大事です。

 まわりから入ってくる情報を漠然と眺めるのではなく、キーワードを強く意識し、情報を能動的に収集するのです。キーワードを常日頃意識していると、街を歩いていても、書店に行っても、人と話していても、そのキーワードと関連する部分だけが、くっきり浮かび上がるものです。

 一昔前までは知識の量が重要でした。それは持ちえる情報の量が勝負の分かれ目だったからです。しかし、今は違います。誰でも容易に情報にアクセスできるようになったため、情報自体の価値は相対的に低下しているのです。では、代わりに何の価値が高まっているのでしょうか?

 それは「コンテクスト(文脈)を考える力」です。つまり、断片的な情報を集め、それらの関連性、何が根本的な原因なのか、その結果何が起こるのか、など背景や関連性を求める考え方です。これが、プライベートでもビジネスでもこれから重要になってくる思考スキルだと考えます。



書類の3ステップは、捨てる・渡す・しまいこむ

 かつて、わたしの机はものすごく汚かったのですが、今ではスッキリして、仕事に集中できるようになりました。さて、何をやったのか分かりますか? そう、書類を全部廃棄したのです。

 もらった書類はどんどん積みあがり、収拾がつかなくなります。限られた収納スペースで増え続ける書類を整理するためには、次の3つのステップが効果的です。それは、「廃棄する」「人に渡す」「データとしてしまいこむ」です。

ステップ1:廃棄する

 まず、書類をもらったら、次の質問を自分にしてみましょう。

  • もう、手に入れられないか?
  • 古くなっても役立つ情報か?
  • 1カ月以内に必要とする書類か?

 Yesであれば残し、Noであれば、いさぎよく廃棄します。

ステップ2:人に渡す

 残すことに決めた書類をほかの人に渡すことも考えます。本当に自分が所有すべきか、ほかにこの情報を共有すべき人はいないかをチェックし、該当する人がいれば、その書類を渡します。もし、後で必要になれば、渡した人に聞くこともできるでしょう。

ステップ3:データとしてしまいこむ

 手元に残す場合は、物理的な書類としてではなく、データとして残します。わたしは、オフィスではスキャナ機能のついた複合機で、自宅ではScanSnapなどのパーソナルスキャナでドキュメントを取り込みます。データとしてしまいこめば、物理的に散らかることもないので、スッキリします。

どの処理を行うとしても、最終的には物理的な書類は残さないので、机はスッキリ。必要な場合は、スキャンデータのアーカイブから該当ファイルを探しだし、改めて出力すればよいだけです。

ファイルはフォルダでなく、ラベリングで整理する

 日ごろPCで作業していると、ついつい「フォルダ」ごとに案件を管理したくなりますが、フォルダによる分類には致命的な欠陥があります。それは、複数のフォルダに関連するファイルはどのフォルダに入れるか、という問題です。

 例えば「人事」と「営業」という2つのフォルダがあり、「営業部員の補充採用」というファイルを整理するとします。あなたは、どちらのフォルダに入れますか? こうしたフォルダ分けはどんなに細かいルールを作ったとしても、複雑になるだけで、抜本的な問題解決にはなりません。

 一方、「ラベリング」は、整理するのではなく、ファイルごとに分類の参考になりそうな項目名を付加するという方法です。Webの世界でいえば「タグ」とも呼びます。フォルダの名前で整理するのではなく、ファイル自体につけたラベル名やタグで整理するのです。当然、複数のラベルをつけることができますから、ラベル名を検索するしくみさえあれば、同じフォルダに放り込んでおいても、後から素早く検索できるというわけです。

 実際に、ファイルにつけたラベル名で検索可能なしくみを作るためには、EvernoteやGmailのように標準でラベル機能を持つサービスを利用するか、さらに簡単なのは、ファイルの名前に一定ルールに従ったラベル(キーワード)を入れ込むことです。

 前述の営業部員の補充採用であれば「人事関連_営業部員の採用20100201.doc」というように「人事」「営業」「採用」「20100201(日付)」などの検索対象となるキーワードが入るようにすればOS標準の検索システムでも簡単に見つけられますし、Google Desktopのような高機能な検索システムであれば、さらに本文までスピーディに検索してくれます。

 フォルダ分類を厳密にするより、ファイル名のつけ方ルールをしっかり決めたほうが、ファイルアクセスは効率化します。ぜひ試してみてください。

集中連載「結果を出して定時に帰る時短仕事術」について

 本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。

 残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。

 ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。

 本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。

  • 1時間目:残された時間を価値あるものに
  • 2時間目:仕事も人生もうまくいく! 理想の時間割
  • 3時間目:最少の労力で最大の成果を上げる知的生産の方程式
  • 4時間目:必ず目標を実現する! スケジュール&タスク管理術
  • 5時間目:集中力が劇的にアップする!すきまアクションとじっくりアクション
  • 6時間目:時短の達人が教える! 生産性を高める小さな習慣
  • 7時間目:ITを味方につけなければ、生産性戦争に勝てない!
  • 8時間目:最短で問題解決するための時短思考のツール
  • 9時間目:チームの生産性が飛躍的に高まる! 時短会議のススメ
  • 資料編:時短の達人になるためのチェックリスト

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

photo

 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ