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» 2001年11月02日 12時00分 UPDATE

IT Business フロントライン (58):秋葉原、Win XP深夜販売の反応は? OEM版深夜発売イベントに1000人が参加

[三浦優子(コンピュータ・ニュース社),@IT]

 10月25日、午前零時、秋葉原のパーツショップの一部がWindows XPのOEM版発売カウントダウンというイベントを行った。

パッケージ版より早く手に入るOEM版

 OEM版は本来ハードウェアメーカーに出荷されるもので、製品PCにインストールされたり、マザーボードやHDDなどとセットで販売される商品だ。マイクロソフトにとっても「正規の製品だが、本来はハードウェアメーカー経由でエンドユーザーに提供されるので、サポートはハードウェアメーカーが窓口となる。そのため、マイクロソフトは直接的にはサポートを行わない」という、ちょっと特別な扱いの製品である。

 その代わりといってよいのか、価格はかなり安い。通常パッケージの推定小売価格がProfessional版で3万5800円なのに対し、OEM版は1万9000円前後(店頭表示価格。購入の場合は、さらにハードウェア分が加算される)。サポートなぞ一切必要ない、差額の分だけ新しいハードウェアが手に入ると考えるつわものには、魅力的な製品といえるのかもしれない。

 さらに魅力的なのは、OEM版は通常パッケージよりいち早く、搭載パソコン発売のタイミングで市場に出回ることだ。今回のWindows XPも日本語版パッケージは11月16日だが、OEM版はWindows XP搭載パソコン発売と同じ10月25日に発売となった。

 そのため、「マニアックでお祭り好き」ファンに支持されるパーツショップでは、これまでにもWindows Meのときなど、マニアユーザーを対象に小規模な発売カウントダウンイベントを行っていた例がある。だが、あくまでもマニアユーザー向けなので、取材するマスコミもインプレスの「AKIBA PC Hotline!」など、一部に限られていたのだが、今回はかなり多くのマスコミ関係者が秋葉原に訪れた。

先行指標としてのOEM版

 理由は明確である。果たしてWindows XPにどれくらいの爆発力があるのか、それを測る指針にしたかったのだ。

 パソコンが売れなければ、パソコンに関連するビジネスに従事している人の表情は暗い。業界内部の人々を読者にしている私の媒体などは、取材相手から「できるだけ暗いことは書くな! 勢いがあるときは、厳しいことを書かれても受け止める余裕があるけれど、ビジネスの状況が暗いところへ、追い打ちをかけるように書かれると気持ちがめいる。この時期は、ちょっとでも明るい材料を見つけて、そこを中心に書いてくれ」といわれることもある。

 エンドユーザー向けのパソコン雑誌などを出している編集部では、ここまで悲痛なことをいわれないだろうが、パソコンが売れないことで雑誌自体の売れ行き、広告出稿などさまざまな面で苦しい局面を迎えているのは間違いない。それゆえ、Windows XPがどれだけ、それを吹き飛ばしてくれるのか、期待したい気持ちが起こるのも無理はない。

秋葉原ならでは“濃い”祭り

 そんな期待を持った人々が注目する中、25日の午前零時、果たして予想以上のユーザーが集まった。おおよそ、1000人弱があちこちの店舗でOEM版のWindows XPを買い求めたのである。

 TSUKUMO eX.には発売前に約200人の行列ができて、当日夜だけで300本強を販売、12号店での販売を合わせれば500本の販売となる。T.ZONE.PC DIY SHOPは350本を販売したそうだ。

 しかも、ハードウェアとのセット販売が前提なので、一緒にハードウェアも売れていく。「23時ごろから店自体は開けていたので、Windows XPに関係のないちょこまかしたパーツも結構売れた。これまでのカウントダウンはあくまでもイベントで、収益は赤字だったけれど、今回に限っては採算が取れたと思うなあ」なんてお店もあって、久々にショップ側の表情も明るいものとなった。

 このほか当日は各パーツショップとも、工夫を凝らして商品を販売していた。最も多かったのが、安くなっているメモリとの抱き合わせ販売である。あるショップでは、「『今晩、メモリ買い戻しします』という看板を出したら、相当数集まると思うよ」なんてジョークも飛び出す始末である。

 さらに、怪しいうわさが飛び交い、「OEM版のプロダクトアクティベーションは、通常パッケージよりも緩いと聞いている」なんて声も飛び出した(客側にも、「それを目当てに買いにきた」という人もいたが、マイクロソフトに確認したところ、「そういうことはないはず」だそうだ)。さすが、秋葉原に通い慣れた人ばかりが集まった、「濃い夜」であった。

米不発も日本ではいける?

 同日米国でもWindows XPが発売になり、ニューヨークでイベントが開催され、ビル・ゲイツ会長とジュリアーニ・ニューヨーク市長との2ショットが披露されたものの、伝わってくるニュースは、「不発」という文字ばかり。それだけに、OEM版が順調な滑り出しを見せたことに、ちょっとした安心を覚える。

 もちろん、OEM版を買いにきたのは秋葉原マニアばかりで、1000人という数字が市場を大きく押し上げるほどの数でないのは確かだ。

 だが、ある店で、「日本では久々のお祭りだからね、お客さんは待っていてくれたんじゃないか」というコメントを聞いて、決して安心はできないけれど、Windows XPの前途にちょっとした明るさを感じたことは事実である。

Profile

三浦 優子(みうら ゆうこ)

株式会社コンピュータ・ニュース社

1965年、東京都下町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務するなど、まったくコンピュータとは縁のない生活を送っていたが、1990年週刊のコンピュータ業界向け新聞「BUSINESSコンピュータニュース」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。以来、10年以上、記者としてコンピュータ業界の取材活動を続けている。

メールアドレスはmiura@bcn.co.jp


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