どうなっちゃうんだ秋葉原巨大アダルト・ショップが登場した電気街IT Business フロントライン(45)

» 2001年07月27日 12時00分 公開
[三浦優子(コンピュータ・ニュース社),@IT]

 「ええええ?! ?! ?!」

 びっくりした。久々に、秋葉原に足を運んだら、駅前に「大人のおもちゃ」というでっかい看板を掲げた新しい店が建っている。

場所は駅前、あまりに堂々と

 土地勘のある人ならすぐ分かると思う(ローカルな話題で申し訳ない)が、秋葉原駅電気街口を降り立ち、カレー屋さんやハンバーガー屋さんが並んでいる大通りに面した角のビルが真っ黒く怪しげに塗られ、「大人のおもちゃ」というでかい看板を出し、リニューアルオープンしたようなのだ。道を挟んだ向かいにはソフマップの8号館、万世橋警察署という立地で、警察の前に大人のおもちゃというのがミスマッチでおかしくもある。

 もちろん、秋葉原の街にこのようなショップができたのは初めてではない。裏通りやビルの上の階にはこうした怪しげなショップが結構あるのは知っている。だが、駅の目の前(だって、降りるとまず目に入るんだから)という一等地に、どーんと目立つ看板ができると、「とうとう、秋葉原もここまできたか……」と妙な感慨を覚えてしまうのである。

燃える記者魂で直撃取材……

 さすがにインパクトがある店だけあって、写真週刊誌やら、テレビの深夜番組でも取り上げられていたそうである。そうした資料によれば、開店は5月の終わり、ビル全館がアダルトグッズのショップで、アダルトビデオやら、ランジェリーやら、SMグッズやら……そういうものが売られているらしい。

 秋葉原を歩き回り、取材する記者としては、「ショップに直撃し、設立の経緯など話を聞いてこなくてはいけない!」……が、できませんでした。1階のビデオを売っているところをのぞいて、中に男の人が入っているのを見たら……声もかけられないで、店の前をそそくさと立ち去ってしまった……。すみません、記者根性なくって(涙)。

 私でさえ、ちょっとひいたくらいだから、普通の女性、子供を連れた家族連れにとって、この店はどのように目に映るのだろうか?

増えるアダルト・ショップ

 ここ数年、秋葉原の街には同人誌ショップなどが急増している。平日の夕方など、家電製品を売っている店には人が入っていないときも、同人誌ショップ周辺には若い男性客が群がっているが、こうしたショップにとり収益を上げる商材として同人誌も含めたアダルト関連商材が欠かせないものだとは理解している。

 しかし、こうしたショップばかりが増えてくると、「秋葉原の街の今後はどうなってしまうんだろう?」と不安のようなものがわき上がってきてしまうのだ。

 メカ好き少年にとって、秋葉原は大人の入り口というのか、初めてハンダゴテを握り、自分で組み立てる機械(年代によって、それがラジオだったり、オーディオだったり、無線通信機だったり、マイコンだったり、パソコンだったりと変化するのだが)の部品を購入するために、初めて訪れる街である。

 いま、大人になっている人に、「そういう経験、あるでしょう?」と尋ねると、妙に気恥ずかしそうな顔をしながら、「ああ、来たね……うんうん、部品買いに……」と、幸せそうに遠くを見る目になるのが私は好きだ。秋葉原という街が多くの人を引き付けるのは、こういう思い出をはぐくんできた歴史があるからだと思えるから……。

電気街よ、どこへ行く

 それだけに、アダルト系商品を置く店ばかりが増えると、ちょっと違った意味で大人の入り口の街……になってしまいそうで、不安である。

 もちろん、秋葉原の面白さの中には、「怪しさ」も欠かせない要素のひとつ。「怪しいショップをすべて排除せよ」という風潮になってしまうと、それはそれで秋葉原の魅力が失われることにもつながる。だから難しい問題なのだけれども……。

 果たして、秋葉原はどうなってしまうのか。皆さんはどう思われますか?

Profile

三浦 優子(みうら ゆうこ)

コンピュータ・ニュース社

1965年、東京都町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務するなど、まったくコンピュータとは縁のない生活を送っていたが、1990年週刊のコンピュータ業界向け新聞「BUSINESSコンピュータニュース」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。以来、10年以上、記者としてコンピュータ業界の取材活動を続けている。

メールアドレスはmiura@bcn.co.jp


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