2005年、携帯電話市場のキーワードは「融合」〜野村総研(1/2 ページ)

» 2005年01月13日 14時33分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 定額制の開始(2003年10月の記事参照)や新規事業者の参入表明(2004年12月の記事参照)、ナンバーポータビリティ導入の決定(2004年3月の記事参照)──。2004年は、既存のビジネスモデルを脅かす転機と迷走の年だった。

 2005年、携帯電話市場はどう動くのか。野村総合研究所 上級コンサルタントの北俊一氏は「融合」が鍵になるという見方を示した。

2つの隕石が携帯市場を変える

 2006年、携帯市場に大きな変化をもたらすトピックが2つある。1つは新規事業者の参入、もう1つはナンバーポータビリティの導入だ。

 これまでキャリアとメーカー、販売代理店は、インセンティブモデル(2003年2月の記事参照)に依存した持ちつ持たれつ状態から抜け出すことができなかった。「このままではみんな死んでしまう(市場がシュリンクしてしまう)」という三すくみ状態を変えるのが「2つの隕石(新規事業者の参入とナンバーポータビリティ)」(北氏)。“2006年問題”ともいわれる2つの大きな動きが、まったく変わりようがなかったカルテル状態を変えると話す。

 電話番号という囲い込みの要素が消滅すれば、キャリアのサービスや端末の質がこれまで以上にシビアに問われることになる。2006年問題に向けて、各キャリアとも囲い込み施策を強化(2004年12月の記事参照)。ドコモは収益が悪化することも覚悟で、囲い込み策の1つとしてファミリー割引を強化したほどだ(2004年10月の記事参照)

 携帯電話市場への新規参入組は、キャリアの収益を脅かしかねない。「ARPUが月に1000円減ると1兆円の減収」といわれるのが今の携帯市場。ドコモがテレビ電話に注力する理由も、データARPUがパケット定額で頭打ちになる中、音声ARPUを上げて収益向上につなげたいという背景があるからだ。いずれの新規参入組も、具体的なサービスについては言及していないが、「携帯電話は半額にできる」とうたうソフトバンクの参入が、携帯市場に与える影響は計り知れない。

 こうした状況の中で芽吹き始めたのが、既存モデルにこだわらない「融合」の流れ(12月29日の記事参照)。おサイフ携帯やFM携帯など、キャリアがパートナーとの協業によって展開するサービスが登場し始めた。

キャリアだけでは成り立たないサービスが主流に

 コンバージェンスは、携帯市場を産業としての広がりが期待できるものに変えると北氏は見ている。

 融合の分かりやすい例が「おサイフケータイ」(特集参照)。これまでネット上のモバイルコマースだったものが、非接触を搭載した携帯の登場で、リアルコマースとの融合を果たした。「Suicaが乗る予定もあり(2004年4月の記事参照)、今年はドコモだけでなく全社対応するので、リアルコマースとの融合が加速する」。モバイルプラットフォーム決済市場のポテンシャルについて野村総研は、2009年には2500億円規模になると予測している(1月12日の記事参照)

 「『着うたフル』は音楽との融合を加速させ、iPodなどの音楽プレイヤーとの新たな競争が始まる(2004年10月の記事参照)。FM事業者との間でWin-Winモデルを初めて作ったFM携帯は(2003年12月の記事参照)、今年始まる1セグ放送に結びつく放送との融合(2004年10月の記事参照)。無線LAN機能とのデュアル端末『N900iL』は(2004年7月の記事参照)、企業内ネットワークとの本格的な融合を促進させる」(北氏)

 ほかにも固定ブロードバンドとの融合による「超流通」(2004年12月の記事参照)、端末のフルブラウザ化が巻き起こすインターネットとの融合などが例として挙げられる(2004年10月の記事参照)

 北氏は、こうした協業が市場を産業に成長させることができれば、現在10兆円といわれる携帯市場が2010年には20兆円市場になる可能性もあるという見方を示した。

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