カメラモード時に画面右下のスイッチを動画側にスライドさせると動画モードになる。
静止画を撮影するのと同様に、ピントを合わせて録画開始。録画中のフォーカスは固定だ。動画フォーマットは、VGAサイズで30フレーム/秒のQuickTimeムービーファイル(MOV)。圧縮形式はH.264となっている。
この動画機能でユニークなのは、縦位置動画も撮れること。
静止画も動画も同じような操作感を実現しているのがiPhoneらしい。
動画はデジカメと同じく静止画と同じフォルダに保存される。iPhoneをPCにつなぐとPTPプロトコルのデジカメとして認識されるので、適当なデジカメ用ソフトで静止画も動画もまとめて転送し、QuickTime Player(あるいはMOVファイルに対応したソフトウェア)で見ることができる。
とはいえ、3GS上でも動画の活用は可能だ。
3GSが素晴らしいのは、撮った後だ。まず、保存が超高速で撮ったらすぐ次の撮影が可能になる。この速さは素晴らしい。つい何枚も撮っちゃう。
撮った写真は「カメラロール」から見ることができる。動画も同じである。
カメラロールを開くと撮影した写真がサムネイル表示されるので、あとはiPhoneの作法に従ってスクロールしたりタップしたり2本指で拡大縮小したりと、自由に扱えばOK。
新しくなったのは、複数写真選択機能。サムネイルの状態で左下のボタンをタップすると、「共有」「コピー」「削除」の3つの項目が現われ(従来は「共有」だけだった)、ここで複数の項目をタップで選択して同時に送ったりコピーしたり削除したりできる。これはいい。
ちなみにこれはiPhone OS 3.0の機能なので、3Gの人も恩恵を受けられます。
3GSならではの新機能は、やはり動画系。カメラロールでは、動画ファイルのサムネイルにアイコン(と動画の長さ)が付くのですぐ分かる。
動画を選ぶと、上にフィルムロールが表示される。
このフィルムロールの両端をドラッグするだけで、前後をカットしたトリミングが可能だ。これはいい。
編集が終わったら、共有ボタンをタップ。するとこうなる。
注目は「YouTubeに送信」機能。動画を撮ってその場でYouTubeにアップできる。YouTubeのアカウントさえ持っていれば、素早く簡単にアップが可能だ。
公開が完了した動画はiPhoneのYouTubeプレーヤーのほか、もちろんPCからも見られる。
今回試しに公開した動画はhttp://www.youtube.com/user/ogikubokeiで見られるので、興味のある方はぜひ。
撮ったその場でYouTube……動画の最もシンプルでリアルタイムな公開方法だ。これは面白い。
つまるところ、iPhoneのカメラ機能は多機能ではないが、その分、誰でも感覚的に使えるよう工夫されている高機能カメラなのだ。シーンモードも露出補正もないが、それはフルオートでモードレスが目標だから。おかげで誰でも迷うことなくすぐ使える。
もっと機能が欲しいと思ったら、それはアプリの仕事。基本機能は極力シンプルに、それ以外はアプリで、だ。
トイカメラ風の写真を撮るアプリや撮った写真をレタッチするアプリもあるし、写真をFlickrやTwitter、SNSに公開するアプリもたくさんある。2009年6月末時点ではiPhone OS 3.0未対応のカメラアプリも多いが、それは時間が解決する問題なので気にしないこと。
マクロ撮影が可能になったことで、QRコード認識アプリも実用的になるだろうし、動画系のユニークなアプリもどんどん現れるだろう。今からどんな面白いアプリが登場するのか楽しみである。
そんなわけで、iPhone 3GSのカメラ機能は素晴らしい。
画素数なんて3Mあればまったく困らない。それより、「携帯端末ならではのカメラ機能はどうあるべきか」が重要だ。撮りたいときに複雑な操作なしですぐに撮れ、AFも意識せずにスムーズに行われ、撮ったものを見せたい人に自由に見せられる、画素数や画質より、本当はそちらが重要だということを、iPhone 3GSは見せてくれるのである。
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