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» 2010年08月20日 11時48分 UPDATE

“ソーシャルマガジン”アプリ「Flipboard」でiPadの神髄を垣間見る (1/2)

リアルタイムで最新情報が更新されていく、iPad向けの“ソーシャルマガジン”アプリ「Flipboard」。ソーシャルメディアがもたらす新しい雑誌のあり方を体験できるだけでなく、ネットユーザーが編集者の役割すら担える、iPadのキラーアプリにもなり得るFlipboardの使い方と具体的な活用法を検証してみよう。

[小林仁,ITmedia]

ネットの海からリアルタイムに組み上げられる雑誌が登場

Photo Flipboard

 リアルタイムに日々更新される莫大なネット上の情報から、どのように自分に必要なものだけをキャッチすればいいのか。これまでは検索エンジンやポータルサイト、ブログ、RSSリーダーなどを利用する方法しかなかったが、近い将来、ソーシャルネット上で情報収集力や発信力のある「人」を追いかけていく時代になるのかもしれない。そうした未来を感じさせてくれるのが、iPad専用アプリとして登場した「Flipboard」である。アプリはAppStoreから無料で入手できる。

 Flipboardを一言でいうと、TwitterやFacebookなどのSNSにポストされたリンクやツイート、写真を自動的に抽出し、それらの情報を雑誌風に見せるコンテンツアグリゲーター型の“ソーシャルマガジン”アプリである。本アプリの凄いところは、iPadの画面を紙媒体のインタフェースに仕上げただけでなく「Twitterをリンクメディアにすることで新聞や雑誌とは違う“第三の媒体”に変えてしまう」点だ。雑誌のページを“ななめ読み”するような感覚で情報に触れられるので、今までネット利用を苦手としてきた層にも手軽にソーシャルストリームの醍醐味が味えるインタフェースとなっている。

 配信直後はアクセスが集中し、TwitterやFacebookの登録が完全招待制となっていた「Flipboard」だが、現在はその状況も緩和され、SNSを利用しているユーザーであればすぐに登録できるようになっている。iPadやTwitterを利用していない人もいると思うので、今回は本アプリがどのようなものか、基本的な使い方から解説していこう。なお本アプリは常時ネット接続が前提のため、オフライン環境では使えない点に注意してほしい。

PhotoPhoto 米Flipboardは、音声入力検索サービス事業Tellme Netoworks(後にMicrosoftに買収)創業者であり、元Netscape幹部のマイク・マクキュー(Mike McCue)氏、iPhoneシニアエンジニアとして活躍したエバン・ドール(Evan Doll)氏というIT界の大物が立ち上げたベンチャー企業。Web情報の検索分析技術を持つEllerdaleを買収するなど、その動向は大きな注目を集めている

見た目は電子書籍雑誌そのまま 読書スタイルは自由

 最初にFlipboardを立ち上げると表示される“表紙”は、あらかじめ用意されたセクションにアップロードされた画像からチョイスされたものだ。一定時間を経過するごとに動的に画面データが切り替わり、その見た目も洋書っぽくスタイリッシュな雰囲気。画面をめくる(Flipする)と、目次画面となる「CONTENTS」ページに計9マスのセクションが現れる。最初に登録されているのは「Inside Flipboard」(開発チームからのメッセージ)、「FlipTech」(テクノロジー系サイト)「FlipStyle」(ファッション系サイト)、「FlipPhotos」(写真)の4つで、各セクションから海外のニュースサイトやメディアのリンクを雑誌の1ページのように読むことができる。

 目次画面で空白マスとなっている「+Add a Section」をタップすると、Flipboardが用意したニュースやレビュー、さらにオススメの人、グループ、トピック等が次々と表示される。このリストから興味のあるものを登録するだけで、選んだテーマに応じた記事が読めるようになるわけだ。仕組みとしてはTwitterで投稿されたリンク先のテキストや写真を適宜画面上にレイアウトしているだけなのだが、見出しと本文、写真が美しく再配置されるので、雑誌のような見栄えとなる。iPadアプリの「WIRE」と同様に、iPadを傾けても縦横のレイアウトがリアルタイムに組み替わるのは電子書籍らしい演出。書籍ののど(本を見開いた時に中央部分にできる余白)の部分がないので画面の情報量は横縦ほぼ同じだが、個人的には写真を若干大きく見せられ、「本らしさ」を残す縦画面のほうが好みではある。

 画面を左右どちらかにスライドさせるとページが切り替わるインタフェースは、本のページをめくる感覚に近い。1ページ目は最新の更新情報(おおよそ1時間以内〜)が記事として表示され、ページをめくるごとに時間をさかのぼっていく仕組みだ。このあたりは雑誌というよりも、ニュースサイトや新聞のような性格に近い。ただ、初期状態ではすべて英語の記事なので、早速ここから日本語の記事が読めるように設定していこう。

PhotoPhotoPhoto 初期設定で用意されているセクションはすべて海外モノ。Flipboard社が編纂する各ジャンル記事を集めたセクションのほか、ニューヨークタイムス、エコノミスト、WIREDなど主要ポータルから、アルファブロガーなどをコンテンツに追加することができる

Twitter文化の“140文字の壁”を越えて一変する読書体験

 日本語の記事を読むには、まずユーザー自身のTwitterアカウントが必要になる(厳密に言うとアカウントがなくても後述する方法で読めるのだが、まずは作ってみるのが手っ取り早い)。アカウントを用意したら目次画面上から「Twitter」セクションをタップし、アカウントとパスワードを入力する。サインインに成功すると、即その場でFlipboard上に自分だけのTwitterセクションが表示されるようになる。現在はTwitter以外にFacebookが登録可能だが、後者はニュースフィードが雑誌風にレイアウトされるだけで見た目の面白みはあまり感じない。Flickrなど他のSNSとの連動も予定されているので、このあたりは今後に期待したいところだ。

 Twitterセクションでは、自分のアカウントがフォローしているユーザーのツイート、リンク先、写真が雑誌のようにレイアウトされ、あたかも“雑誌の1ページ”としてタイムラインを読むことができる。どのツイートが選ばれるのかはランダムではなく、リンク先を優先しながら、リプライ数などから影響力が高い情報を解析しているようで、ページレイアウトもそれっぽく見せてくれる。

 Flipboardのコンセプトが素晴らしいのは、情報を供給したツイートの壁を飛び越え、「その先にあるリッチなコンテンツを直接届ける」やり方でTwitter自体を新しいリンクメディアとして機能させていることだ。Twitterは140文字以内という文字数の制限、未読が増えがちなタイムラインという構造があるため、情報を効果的に引き出すには「行間を読む」ようなノウハウが必要な面もある。ところがFlipboardというフィルタを通せば、元の情報(サイトや写真、動画等)を直接見通せるため、今までTwitterを苦手していた人でもウェブ上を流れる情報が把握できる。今までもこうしたアグリゲーター型のアプリは存在していたが、雑誌風のユーザーインタフェースを実現したことで、ソーシャルメディアのハードルの高さをアッサリと下げることに成功しているわけだ。

PhotoPhotoPhoto ページ内の囲みをタップすれば詳細ページに移行する。リンク先のウェブサイトへ飛んだり、そのツイートに対するコメントを追加することもできるほか、Twitterならではの各種発言(リプライ、リツイート)、お気に入りへの登録もシームレスに利用することができる
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