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» 2012年07月17日 00時45分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:子どものスマホ利用でネットは変わるのか(1)

デジタルアーツが、10〜18歳の子どものケータイ・スマホ利用の実態調査を行い、その結果を公表した。子どもたちの約3割がすでにスマホを使っており、またどんなアプリを使って何をしているかも分かった。

[小寺信良,ITmedia]

 7月12日、フィルタリング提供事業社の国内最大手デジタルアーツが、「未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査」を公開した。デジタルアーツではこれまでも多くの調査資料を公開しており、この連載でも参考資料として有り難く利用させていただいているわけだが、今回はこの調査発表のプレスイベントに登壇することになった。

 クロストークで20分ほどお話しさせていただいたが、筆者の話を記事にしてくれるところもあんまりないので、自分で記事にするわけである。公開された資料は、デジタルアーツのプレスリリースからダウンロードできるので、これを横で開きながら読んでいただければと思う。

 前回前々回のコラムで、子どものスマートホン移行の状況をまとめてみたわけだが、10〜18歳までの子どもと保護者のヒアリング調査でも、急速に乗り換えが始まっている様子が分かる。2ページのデータ、親で36.1%、子ども30.6%がスマホを所持というのは、筆者の感覚的な数字と合う。大人全体ということではもう少し普及率は高いだろうが、10〜18歳の子どもの保護者ということではおそらく年齢層は35〜50歳ぐらいなので、こんなもんだろう。

photo スマートフォンの使用有無と今後の使用意向

 ただこの層も、わざわざ選んでフィーチャーフォンにしているというよりも、単に機種変のタイミングが来ていないだけだろう。すでに新モデルの大半がスマートフォンである現状を見れば、この夏を契機に急速に入れ替えが進むと見ている。もちろん、子どももキッズケータイ以外の選択肢では、スマートフォンしか事実上の選択肢がないという事には変わりない。

子どもはスマホで何をしているか

 3ページ目の資料では、使用アプリの利用率を調査している。子どもの利用に注目すれば、ゲームが多いのはまあ納得だが、YouTubeの利用もゲーム並みに多い。これは、多くのスマートフォンには専用アプリがプリインストールされており、もはやYouTubeを見ることの良し悪しを語る時代は終わって、単なるメディアチャンネルに過ぎないということが分かる。

photo スマートフォンでの使用アプリ

 そういう意味では、YouTubeでどのようなコンテンツを見ているのか、またそのコンテンツに到達したルートとはどういうものか、ソーシャルメディアの普及との関連も含め、今後はそういう調査もあっていい。

 続いて注目は、LINEの普及の高さである。子どもたちの間では、これだけ社会現象化したTwitterよりも利用率が高い。LINEのそもそもは、Skypeなどのようないわゆるメッセージサービスだが、無料通話できることが注目された。

 アプリをインストールするだけで、LINEをインストールしている他の友だちがすぐに見つかる。仕掛けは、電話帳データをサーバに上げてマッチングさせているからである。

 提供会社のNHN Japanでは、「(ユーザーから)許諾を取ったのちにアップしている」とするが、子どもたちにはそれがセキュリティ的にどのような意味を持つのか、きちんとリスクまで含めて伝わっているのかという点には、疑問が残る。

 それでもLINEは日本で開発しているため、日本の事情に合わせようと努力している点で、評価できる。同様のアプリでは許諾なしに、あるいは意味の分からぬ許諾をさせて電話帳データを吸い上げているものもある。

 また、新しいなにか変なものが流行始めたと警戒する向きもあるが、これはコミュニケーション論を伝える良いチャンスだ。お母さんは機械のことは分からないからと、ネットやスマホの問題はお父さんに丸投げする傾向もある。

 だがここでポイントとなっているのは、キカイはキカイでも“人に会う”ほうの機会なので、この点ではお父さんよりもお母さんのほうが適任である。だっておそらく世の中の半分ぐらいのお父さんは、嫁と子があるというだけで基本キモヲタみたいなもんなのだから、コミュニケーション論を期待する方が無理だ。若いころ、嫁さんに死ぬ気で声をかけて今があるだけである。

 適材適所、男親女親が役割を分担し合って子どものネットリテラシー教育を進めていくというのが、もっともバランスが取れている家庭のあり方なのである。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia +Dモバイルでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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