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» 2013年09月18日 10時01分 UPDATE

それは調和による進化――iOS7の魅力を引き出す“2つのiPhone” (1/3)

2013年はiOSとiPhoneのどちらもより洗練され、大きく進化した年だ。新しいiOSと新しいiPhoneから、どのような未来が見えてくるのか。「iPhone 5s」と「iPhone 5c」の発売に先立ち、じっくりと試す機会を得たので、両機種の魅力をリポートしたい。

[神尾寿,ITmedia]
photo 「iPhone 5s」(左)と「iPhone 5c」(右)

 Appleにとって、OSとハードウェアは「天使の両翼」のようなものだ。ふたつの翼が調和しながら羽ばたくことで、他にはない最良にして最高のユーザー体験を作り出す。

 iOSとiPhone。

 2013年は、このどちらもより洗練され、大きく進化したという点で記念碑的な年になる。6月のWWDCリポートで紹介したとおり、iPhone/iPad向けの「iOS」は、登場以来初の大規模刷新を行い、「iOS7」として新たな一歩を踏み出す。そして既報のとおり、iPhoneは登場から6年目にして1世代1モデル体制をやめて、「iPhone 5s」と「iPhone 5c」という2モデル体制に移行した。

 新しいiOSと新しいiPhoneから、どのような未来が見えるのか。

 筆者は今回、iPhone 5sとiPhone 5cの日本発売に先立ち、じっくりと利用し、試す機会を得た。新しいiPhoneはどれほど魅力的になったのか。それを見ていきたい。

photophoto iPhone 5sとiPhone 5cでは、パッケージデザインが変わった。iPhone 5sは高級感のある従来通りの化粧箱。iPhone 5cはiPod touchのケースに似たパッケージになっている

触り心地のいいiPhone 5cに、高級感のあるiPhone 5s

 iPhone 5sにするか、それともiPhone 5cにするか。今回のiPhone選びは難しい。

 性能面や機能面で見れば、むろん“より進化したiPhone”となるiPhone 5sが圧倒的だが、iPhoneの価値がスペック表の数字だけで語れないのは衆目の一致するところだ。むしろデザイン面で見れば、新たなコンセプトをまとうiPhone 5cにも惹きつけられる。

photophoto アルミニウムを採用したiPhone 5s(写真=左)、ポリカーボネートを採用したiPhone 5c(写真=右)

 iPhone 5cは外装にポリカーボネートを採用。素材そのもののカラーで5色を表現した上で、継ぎ目のないつるりとしたボディに念入りなコーティングを施すことによって質感を高めている。このデザインは見た目がカジュアルかつポップで楽しいだけでなく、触り心地がすこぶるよい。なめらかな陶器のような感触があるのだ。iPhone 5cに関しては一部で「廉価版」と評されることもあったが、実際に触れてみれば、それがまったくの的外れであることが分かるだろう。iPhone 5やiPhone 5sが持つ金属とは異なるベクトルの美しさと上質さがあるのだ。またポリカーボネート素材の内側には金属フレームがレーザー溶接されているため、かなりの剛性感がある。それが樹脂素材ながら“陶器のような感触”となることに一役買っている。

photo ホームボタン部分は、iPhone 5よりも高級感がある。
photophoto iPhone 5cはカジュアルなデザインだが、質感はとても高い。特に背面のポリカーボネート部分はコーティングによって、つるりとした上質な仕上げになっている

 iPhone 5cは男性の筆者が手にしても持ちやすいと感じたが、手の小さい女性との相性は抜群だ。今回は女子高生に撮影協力してもらったが、女の子のほっそりした手にデザインがなじむ感じは、iPhone 5cならではと言えるだろう。

photophoto iPhone 5cのラウンドフォルムはとても持ちやすい。特に女の子の手にはなじみやすいデザインだ

 そして、iPhone 5cはiOS7のデザインとよくマッチしている。iOS 6以前よりもシンプルなデザインとなったiOS 7は、iPhone 5cのデザインと調和が取られている。カラーバリエーションにあわせてiOS 7の背景色が変えられていることもあり、色の違いでまったく印象が変わる。iOS 7の世界観と、iPhone 5cはよく合っているのだ。

 他方で、iPhone 5のデザインを踏襲したiPhone 5sは、高精度で精緻な造形が織りなす高級感が魅力だ。先代同様、金属部分には酸化皮膜処理を施したアルミニウム6000が採用されており、金属面が合わさる部分は丁寧に磨き上げられて面取りがされている。マイク/スピーカー部分やイヤフォンジャック部分、側面のボタン類の金属加工精度が高いのも変わらずで、単なるスマートフォンの域を超えて、工芸品のような美しさ・高級感を醸し出している。

photophoto いずれも左がiPhone 5s、右がiPhone 5。指紋センサーやフォトライト以外は同じデザインを採用している
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photophoto いずれも上がiPhone 5s、下がiPhone 5。キー、スピーカー、イヤフォンジャック、Lightningコネクターの位置は2機種とも同じだ
photo iPhone 5sの外観上の特徴になる指紋認証センサー内蔵の「Touch ID」ホームボタン

 iPhone 5とiPhone 5sを見分ける数少ない点が、指紋認証センサー「Touch ID」が組み込まれたホームボタンだろう。ここには指を感知するステンレススチール製のリングが設けられ、ボタン表面はサファイアクリスタルになった。これにより全体的な印象がよりシャープになった。

 一方、iOS7とあわせたときのデザインだが、iPhone 5cとは打って変わって、iPhone 5sでは上質かつ洗練された表情になる。それだけiOS7のデザインが優れていることでもあるのだが、iPhone 5cとiPhone 5sでは、きちんと個性が表れているのだ。このふたつは“タイプの違う魅力的な女の子”のようなもので、どちらのデザインがよいかは選ぶ人の好みによるだろう。ただひとつ言えるのは、実機を触り、質感やiOS7のデザインとのマッチングを見ながら、どちらが好きかを判断すべきだということだ。

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