ソニーモバイル黒住氏が語る――「Xperia Z2」「Xperia Z2 Tablet」の強みと狙いMobile World Congress 2014(2/2 ページ)

» 2014年02月27日 16時49分 公開
[房野麻子,ITmedia]
前のページへ 1|2       

VAIO事業売却の影響はあるのか――黒住氏の一問一答

 以下では、記者たちから挙がった質問に対する黒住氏のコメントを紹介する。

―― デザインがXperia Z1とほぼ同じなのは、Z1が完成されたものだったからなのか。

黒住氏 Z1のときもデザインが同じだといわれた。Xperia Z、Xperia Z1、Xperia Z2の3世代は、フレームがあって、それを両面で挟むという同じデザインの考え方で進めてきた。その形だけで美しいデザインになっていて、我々は原型デザインという言い方をしている。デザインの原型や形は同じだが、Z2は少しだけ変わっている。例えば、Z1はメタルにこだわりすぎて重いとか、印象が硬いといった反省があり、その部分は改善された。また、サイドのシルバーのラインによって薄さが際立っている。

―― ハイレゾに対応しながら発表で紹介されなかったのはなぜか。

黒住氏 ハイレゾについては段階を追ってやっていく。Z2はハイレゾオーディオに対応はしているが、対応の仕方が複雑。ユーザーとして、オーディオジャックに挿したらすぐに楽しめるというのがあるべき姿。(Micro USB経由でアンプに接続する必要があるので)一手間やらなくてはいけないところがあって、強くは推さなかった。今後の課題の1つ。

―― Xperia Z2 Tabletは薄く軽いが額縁が太い。狭額縁にしなかった理由は。

黒住氏 どこにフォーカスを当てるかという問題がある。厚さなのか、フットプリント(占有領域)なのか、どこかにフォーカスしないと中途半端な商品になってしまう。10.1インチのXperia Z2 Tabletは、狭額縁にするとかなり大きくなってしまうので、そこよりは薄さを追求した。ただ、これで満足しているわけではなく、狭額縁も積極的に攻めていく。

―― VAIO事業の売却が影響した部分はあるか。キーボードが2種類あるが、今後、PCの使い方をカバーすることはあるのか。

黒住氏 VAIO事業売却が、ソニーモバイルのXperia Z2 Tabletの商品作りに影響したところはない。公式に、よりスマホやタブレットに集中すると言っているので、今後、徐々に見えてくるかもしれない。キーボードの件は、VAIOよりも、どうやったら家をタブレットを使って再定義できるか、というところから来ている部分が強い。

―― Xperia M2はミッドレンジでプレミアムということだが、価格とスペックとのせめぎ合いはどうか。

黒住氏 価格とスペックは本当に難しい部分。適度な価格感でプレミアムな商品を作るべくフォーカスしているのは、「ディスプレイを大きくきれいにすること」と「カメラをきれいで楽しいものにすること」の2点。機能的にはその2点だが、最終的にXperiaの強みは「きれいなデザイン」。「強いデザイン」は実現されているので、兄弟感のあるデザインにしようという考え。LTEを広げるにあたって、いろんな施策があると思うが、その場合にXperia M2のような商品は戦略的に大事な位置付けとなる。

 しかし、選択肢が多すぎても逆に問題。オペレータの負担になり、ユーザーにとっては、ソニーはどの商品を売りたいのか、という迷いになる。我々としては、プレミアムフラッグシップのXperia Z1の流れからのXperia Z2、ミドルセグメントのXperia M2、先日発表したエントリーの「Xperia E1」。この3つが中心にあり、魅力的なタブレットなどがある、というポートフォリオ。

 新興国において、すでにほかのメーカーさんのポジションがある。裸で攻めても勝てない。ソニーの強みを生かして、ソニーのベストなデザインでプレミアムな商品を投入していきたい。新興国市場でビジネスはしたいが、ちゃんとソニーの強みを生かした形でやりたい。

―― Xperiaには過去にWindows Mobile端末もあった。Android1本でソニーの世界を表現できると考えているのか。

黒住氏 正直、XperiaはOSやプラットフォームにこだわりたくないが、ビジネスの点で、やり方や順序がある。Androidは一番やりたいことができるプラットフォームだと思っていて、現時点ではそれ以外でやることは考えていない。我々はまだキャッチアップフェーズで、いろいろやり過ぎるとブレが生じる。

 一方で、公式にFirefoxとのコラボレーションを発表させていただいている。HTML5やWebOSはAndroidとの親和性もあるので、技術的な検討として意味がある。時期は言えればいが、正式に製品化を検討して進めている。

―― タブレットの完成度が各社とも上がり、「より薄く、より薄く」だけでは差別化として足りないのでは。端末以外ではどうするか。

黒住氏 ソニーグループとして、タブレットビジネスを進めることで2つのポイントにフォーカスしている。1つがスマートウェアが代表するアクセサリー群で、面白い進化が生み出せる可能性がある。2つ目は、音楽や映像、ゲームなどのクラウドサービス。それらのサービスを、いかにうまく端末と合わせて提供できるか。サービスやコンテンツを持っているので、ビジネスとしての大きな差別化ポイントになっている。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年