データ増量やiPhone効果で好調の「IIJmio」、純増数は2Qの倍以上に――IIJ決算会見

» 2015年02月11日 10時08分 公開
[田中聡,ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が2月10日、2014年度第3四半期の連結業績説明会を開催した。

 2014年度第1〜第3四半期の売上は878億5000万円で前年同期比6.2%増、営業利益は37億9000万円で前年同期比10.1%増となり、第3四半期で前期比営業増益を計画通り達成できたとした。2014年度通期では、売上は1220億円、営業利益は65億円を見込んでいる。

photophoto 第3四半期の業績とサマリー

 この好調な業績を支えている事業の1つがMVNOだ。ドコモのネットワークを利用した通信サービス「IIJmio 高速モバイル/Dサービス(以下、IIJmio)」の契約数が急激に伸びており、2014年12月末時点で、IIJmioは個人向けが33万9000回線、法人向けが10万1000回線を獲得している。個人向けIIJmioの契約純増数は、14年度第2四半期が4万だったのに対し、第3四半期が9万4000で、倍以上の増加を見せている。

photo MVNOサービスの進ちょく

 常務取締役 CFOの渡井昭久氏は、第3四半期に契約数がさらに伸びた要因について、「10月に(各プランの)データ容量を増加したこと、(14年3月から提供している)音声通話サービス(みおふぉん)が徐々に浸透していったこと、そうした中で、SIMロックフリーのiPhone 6やZenFone 5が発売されて、個人の皆さんの利用が徐々に普及していった」ことを挙げる。

 第3四半期の純増回線数のうち、約5割が音声対応SIMであり、音声サービスの好調ぶりもうかがえる。また、純増回線数の8割超が代理店で契約したもの。代理店のうち「約8割が(BIC SIMとして展開している)ビックカメラ」(渡井氏)とのことで、ビックカメラの全国10店舗まで増えた、MNPの即日対応カウンターも純増に寄与しているといえる。

 IIJは、MVNEとしてパナソニック、キヤノンマーケティングジャパン、DMM.comなどに通信設備を提供しており、MVNE事業の累積売上は14年度第1〜第3四半期で約3億円を記録している。CATV事業者とも数十社規模で商談を進めており、順次サービスインされる予定。こうしたMVNEとしての回線数と、個人・法人向けIIJmioの回線数を含めた総回線数は、2014年12月時点で55万2000。つまりIIJmio分を引いた11万2000が、MVNEとして運用している回線数となる。代表取締役社長の勝栄二郎氏は、MVNO+MVNEの総契約数について「2015年の12月末までに100万回線を目指す」と目標を語った。

 14年度第1〜第3四半期におけるMVNO事業の総売上は52億8000万円で、前年同期比で54.8%増と好調だ。「MVNEの案件も非常に増えている。当面、モバイルの売上は非常に強いものが期待できると想定している」と渡井氏は話す。

photophoto 代表取締役社長 勝栄二郎氏(写真=左)。常務取締役 CFO 渡井昭久氏(写真=右)

 3月2日から提供する、NTT東西の光コラボレーションモデルを利用した光回線サービス「IIJmioひかり」について、渡井氏は「格安SIMと合わせて、新しいビジネスチャンスになって大きくなるのでは。いろいろな需要に応えられるようになるのではないかと思っている」とコメント。一方、代表取締役会長 鈴木幸一氏は「遅れに遅れたサービスで、やっと出した、分からないというのが実態。私どもとしては『売ります』という形だけど、実際どれくらい出るのかは、正直なところ未知数だと考えている。安いことは安いが、あえて(IIJmioひかりに)変えて、一気に行くかは見通せない。私どもとしては、そういったユーザーさんの変化に対して、サービスをいつでも提供するという方針には変わりない」と話し、手探りの状態であることもうかがえる。

 IIJmioひかりとIIJmioをまとめて契約すると、固定1回線につき、IIJmioの月額料金から600円を割り引く。この施策については「いろいろなやり方があると思う。(完全な)答になっていないと思うが、(現状では)それがベストで安いプランになっているのではと思う」(勝氏)とした。

 2015年5月を予定しているSIMロック解除の義務化は「追い風になると思っている」(渡井氏)。MVNOが乱立している状況については、「(MVNOは)いろいろな会社の参入が相次いでおり、競争が厳しくなると思っているが、基本的には好ましいことだと思う」とする一方で、IIJとしては「価格はもちろん、品質で勝負したい」と渡井氏は続ける。MVNOのシェアは通信サービス全体で5%ほどだが、これを伸ばしていく中でIIJのシェアも伸ばし、「全体としての事業成績の向上に結び付けたい」(渡井氏)とした。

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