現在購入可能なLTE対応のSIMロックフリースマートフォンをスペック別に比較してきた3回目。SIMカードのサイズ、ストレージ、処理能力に直結するメインメモリ、外部メモリ、そしてLTEの下り最大通信速度や対応バンドを調べた。第2回掲載後にHuaweiの「honor6 Plus」が発売されたので、これを加えた20機種をまとめた。
第1回、2回と同じく価格帯別にスマホを並べ表にまとめている。本体の価格(一括時)は税込で、小数点以下は切り捨て。購入する場所によって価格が異なるので注意してほしい。
価格帯 | メーカー・提供元 | 機種名 | 本体価格一括 | SIMサイズ | ストレージ | メモリ | 外部メモリ最大容量 | 下り最大通信速度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1万円台 | freetel | priori2 LTE | 1万9224円 | micro×2 | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps |
2万円台 | ZTE | g02 | 2万1600円 | nano | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps |
Huawei | Ascend G620S | 2万3540円 | micro | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
LGエレクトロニクス | G2 mini | 2万7500円 | micro | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
京セラ | TORQUE SKT-01 | 2万7830円 | micro | 8Gバイト | 1.5Gバイト | 32Gバイト | 100Mbps | |
ASUS | ZenFone 5 | 2万8944円〜 | micro | 16、32Gバイト | 2Gバイト | 64Gバイト | 150Mbps | |
3万円台 | freetel | freetel XM | 3万218円 | micro | 16Gバイト | 1Gバイト | - | 150Mbps |
ZTE | Blade Vec 4G | 3万2184円 | micro | 16Gバイト | 1Gバイト | - | 150Mbps | |
京セラ | S301 | 3万2184円 | nano | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
ZTE | g03 | 3万2400円 | nano | 16Gバイト | 2Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
ASUS | ZenFone 2 | 3万8664円〜 | micro×2 | 32、64Gバイト | 2、4Gバイト | 64Gバイト | 150Mbps | |
富士通 | ARROWS M01 | 3万9660円 | micro | 8Gバイト | 1Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
4万円台 | Huawei | honor6 Plus | 4万9464円 | micro×2 | 32Gバイト | 3Gバイト | 128Gバイト | 150Mbps |
5万円台 | VAIO | VAIO Phone | 5万1840円 | micro | 16Gバイト | 2Gバイト | 64Gバイト | 150Mbps |
Huawei | Ascend Mate7 | 5万2799円 | micro | 16Gバイト | 2Gバイト | 32Gバイト | 300Mbps | |
シャープ | AQUOS SH-M01 | 5万7024円 | micro | 16Gバイト | 2Gバイト | 32Gバイト | 150Mbps | |
ソニーモバイル | Xperia J1 Compact | 5万9184円 | micro | 16Gバイト | 2Gバイト | 128Gバイト | 150Mbps | |
8万円台 | Nexus 6 | 8万1183円 | nano | 32、64Gバイト | 3Gバイト | - | 150Mbps | |
9万円台 | Apple | iPhone 6 | 9万3744円〜 | nano | 16、64、128Gバイト | 1Gバイト | - | 150Mbps |
10万円台 | Apple | iPhone 6 Plus | 10万6704円〜 | nano | 16、64、128Gバイト | 1Gバイト | - | 150Mbps |
SIMの形状はmicroSIMが主流だが、ZTEの「g02」と「g03」、そして「Nexus 6」iPhone 6/6 PlusはnanoSIMを採用している。今回取り上げた機種の中で標準SIM採用機はない。大手キャリアのスマートフォンではnanoSIM採用機もだいぶ増えてきたが、SIMロックフリー端末ではまだ少なめだ。SIMスロットを2つ持つ端末もあるが、一方のスロットはGSM専用(海外の2G用)なので、日本では使用できない。
本体のストレージは8〜16Gバイトが主流だ。これも大手キャリアのスマートフォンでは8Gバイトの端末自体ほとんど見られなくなっており、SIMロックフリー端末の劣る点といえる。
そんな中、最大32Gバイト版の「ZenFone 5」、最大64Gバイト版の「ZenFone 2」「Nexus 6」、そして最大128Gバイト版を用意するiPhone 6/6 Plusは貴重だ。
そんな本体のストレージを補うのが外部メモリだが、SIMロックフリー端末ではmicroSDHCの32Gバイトまで対応という機種が多く、外部メモリに非対応の端末すらある。
大手キャリアの端末なら本体のストレージが大きいため外部メモリは非対応でも問題なさそうだが、SIMロックフリーのスマホで画像、動画といったファイルを大量に保存する人は、アプリを大量にインストールする人は注意したい。
本体のストレージと外部メモリの面で安心できるのはZenFoneの2機種、VAIO Phone、Xperia J1 Compactあたりだろうか。
サクサクとした操作に重要なのが第2回で紹介したプロセッサとメインメモリ(RAM)だろう。低価格帯は1Gバイトが多く、5万円以上になるとほぼ2Gバイト以上だ。
だが2万円台では唯一となる、ZenFone 5の2Gバイトが目を引く。3万円台のZTE g03も2Gバイトだ。さらにZenFone 2は4Gバイトモデルがあるほか、GoogleのNexus 6が3Gバイトとなっている。
最後にLTEの下り最大通信速度を見ると、ほぼ150Mbpsとなっている。その中でLTEのCategory6に対応しているHuaweiの「Ascend Mate 7」が下り最大300Mbpsとなっており、NTTドコモのLTE-Advancedを活用した「PREMIUM 4G」エリア内であれば、理論上は下り最大225Mbpsの通信が可能だ。また、TORQUEは下り最大100Mbpsにとどまっている。
LTEについては対応バンド(周波数帯)によって、通信速度、つながるエリアに違いがある。以前はLTEのエリアが狭いだけでなく、SIMロックフリー端末の日本国内の対応バンド数の少ない機種もあったが、現在ではSIMロックフリー端末でもドコモの「クアッドバンドLTE」と呼ばれる4バンドに対応した機種が増えてきた。
今回取り上げている20機種が対応しているドコモのLTE対応バンドを、以下にまとめた。
価格帯 | メーカー・提供元 | 機種名 | 本体価格一括 | ドコモ2GHz(バンド1) | ドコモ1.7GHz(バンド3) | ドコモ1.5GHz(バンド21) | ドコモ800MHz(バンド19) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1万円台 | freetel | priori2 LTE | 1万9224円 | ○ | ○ | − | ○ |
2万円台 | ZTE | g02 | 2万1600円 | ○ | ○ | − | ○ |
Huawei | Ascend G620S | 2万3540円 | ○ | ○ | − | ○ | |
LGエレクトロニクス | G2 mini | 2万7500円 | ○ | ○ | − | ○ | |
京セラ | TORQUE SKT-01 | 2万7830円 | ○ | − | − | ○ | |
ASUS | ZenFone 5 | 2万8944円〜 | ○ | ○ | − | ○ | |
3万円台 | freetel | freetel XM | 3万218円 | ○ | ○ | − | ○ |
ZTE | Blade Vec 4G | 3万2184円 | ○ | ○ | − | ○ | |
京セラ | S301 | 3万2184円 | ○ | ○ | − | ○ | |
ZTE | g03 | 3万2400円 | ○ | ○ | − | ○ | |
ASUS | ZenFone 2 | 3万8664円〜 | ○ | ○ | − | ○ | |
富士通 | ARROWS M01 | 3万9660円 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
4万円台 | Huawei | honor6 Plus | 4万9464円 | ○ | ○ | − | − |
5万円台 | VAIO | VAIO Phone | 5万1840円 | ○ | ○ | − | ○ |
Huawei | Ascend Mate7 | 5万2799円 | ○ | ○ | − | ○ | |
シャープ | AQUOS SH-M01 | 5万7024円 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ソニーモバイル | Xperia J1 Compact | 5万9184円 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
8万円台 | Nexus 6 | 8万1183円 | ○ | ○ | − | ○ | |
9万円台 | Apple | iPhone 6 | 9万3744円〜 | ○ | ○ | − | ○ |
10万円台 | Apple | iPhone 6 Plus | 10万6704円〜 | ○ | ○ | − | ○ |
多くの機種はLTEの3バンドに対応しており、日本固有と言われているバンド21(1.5GHz帯)には対応していない。多くのSIMロックフリー端末がグローバルモデルをベースにしているからだろう。京セラのTORQUEとHuaweiの「honor6 Plus」は、2バンドの対応にとどまっている。
その中で4バンドに対応したのが、富士通の「ARROWS M01」、シャープの「AQUOS SH-M01」、ソニーモバイルの「Xperia J1 Compact」だ。いずれも日本メーカーであり、ドコモでもおなじみのブランドだ。
NexusやiPhoneは世界各国のLTEバンドに広く対応しているが、やはりバンド21には非対応。LTEのエリアが日本全国に広がりつつある現在、4バンド対応の機種と3バンド対応の機種でつながりやすさ、通信速度にどれだけ差があるのかは見えにくいが、少しでもつながりやすさにこだわるのなら、4バンド対応の3機種を選択肢に入れてみるといいだろう。
では最後にどの端末がどんな人に向いているのか、オススメのスマホを挙げてみよう。
1万円台のfreetelの「priori2 LTE」一択となる。しかしもう少しスペックが高いモデルが欲しいとなれば、2万円台の中から選ぶことになる。その2万円台で最安かつ唯一Android 5.0を採用したg02が、かなりお得といえる
とにかくスペックの高いモデルを望むなら、大画面のZenFone 2、Ascend Mate 7、honor6 Plus、Nexus 6あたりがオススメ。3万円台から購入できる。サイズを抑えつつハイスペックを求めるなら、5型のg03も良いだろう。
「片手操作がしやすい」「サクサク使える」という視点だとどうか。コンパクトな端末の中でプロセッサやメモリをチェックすると、AQUOS SH-M01、Xperia J1 Compact、iPhone 6が狙い目。ただし高価なので、安価な端末も、というなら4.7型の「LG G2 mini」を選択肢に入れてみてはどうだろう。
防水、おサイフケータイ、ワンセグはSIMロックフリーでは対応機種が少ない。防水とワンセグの両方に対応しているのはAQUOS SH-M01。
おサイフケータイへの対応ならXperia J1 Compact一択だが、楽天Edyが使えるものの、モバイルSuicaやnanacoなど未対応のサービスもあり、中途半端な状況だ。
防水防塵なら京セラのTORQUE、S301、富士通のARROWS M01。TORQUEは第1回でも触れたがMIL規格準拠で、S301は耐衝撃性能も有している。
主流の5型スマホのなかで、価格、性能、操作性のバランスを考えた、誰もがある程度満足できそうな端末と考えると、2万円台で2Gバイトのメモリを搭載したZenFone 5、3万円台で8コアのプロセッサを使えるg03がオススメだ。
第2回でも触れたがAQUOS SH-M01が筆頭。Xperia J1 Compact、TORQUE、S301、ARROWS M01といった日本メーカーが中心。また不具合が起きにくい端末は信頼できる、という考え方に立てば、すでに実績のあるグローバル端末を選ぶのも良さそうだ。
SIMロックフリー端末はこの1年ほどで販路を広げ、ラインアップも増えてきた。特定のMVNOのサービスとセットでしか購入できない機種もあるが、そのMVNOのサービスも進化し、より安く、高速通信が大容量に使えるようになりつつある。次のスマホを考えるときは大手キャリアだけでなく、MVNO&SIMロックフリー端末も候補に入れてほしい。
ちなみに今回は発売前なので取り上げていないが、日本では約4年ぶりの発売、そしてSIMロックフリー端末の中で唯一の「Windows Phone」となる、マウスコンピューターの「MADOSMA」(6月18日発売で3万円前後)も、新たな選択肢になるだろう。
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