「Xperia Z4」は、プロセッサにQualcommの「Snapdragon 810」(64ビット、2.0GHz+1.5GHzオクタコア)を採用しており、「Xperia Z3」の「Snapdragon 801」(32ビット、2.5GHzクアッドコア)からバージョンアップしている。ソニーモバイルはXperia Z4の製品サイトで「パワフルなCPUが快適な操作を実現」と性能の高さをアピールしているが、どれほど進化したのか。性能の指標となるベンチマークテストをXperia Z4とZ3で実施した。
テストに使ったのは、CPU、GPU、メモリ、I/O(データの読み書き)などを総合的に評価する「AnTuTu Benchmark(バージョン5.7.1)」と「Quadrant Professional Edition(バージョン2.1.1)」、グラフィック性能を評価する「3DMark(バージョン1.4.2925)」の最も高負荷なベンチマーク「IceStorm Unlimited」の3つ。それぞれ5回計測して平均値を出した。使用した端末はドコモの「Xperia Z4 SO-03G」と「Xperia Z3 SO-01G」。端末の状態はバッテリーテスト時と同じ。実施日は7月1日で、OSはXperia Z4がAndroid 5.0.2、Xperia Z3がAndroid 4.4.4だ。
まずはAnTuTu Benchmarkの結果から見ていこう。Xperia Z4が45000〜49000台で平均47431.6、Xperia Z3が42000〜43000台で平均43258.2だった。Xperia Z4が上回っていたのはRAM演算能力(Z4が2300〜2400台/Z3が1600〜1800台)とRAM速度(Z4が3500〜3900台/Z3が1900〜2000台)、GPUの3Dグラフィックス(Z4が17100〜17900台/Z3が13100〜13400台)で、CPUの4項目は意外にもほぼ互角だった。またUX(マルチタスク、Dalvik)のスコアはXperia Z3の方が上だった。
RAMの数値が上回ったのは64ビットCPUが効を奏したと予想される。GPUもSnapdragon 801の「Adreno330」からSnapdragon 810は「Adreno430」へ進化したことがスコアに結びついたといえる。CPUについては、今回のテストではXperia Z4は8コアをフルに使わなかった可能性が高い。
Xperia Z4 | Xperia Z3 | |
---|---|---|
1回目 | 45944 | 42862 |
2回目 | 47167 | 43130 |
3回目 | 49319 | 43848 |
4回目 | 48021 | 43191 |
5回目 | 46707 | 43260 |
平均 | 47431.6 | 43258.2 |
続いてQuadrant Professional Editionの結果。Xperia Z4が28000〜29000台で平均28952.6、Xperia Z3が19000〜21000台で平均20644.6で、AnTuTu BenchmarkよりもZ4とZ3の差が開いた。CPUはZ4が110000〜120000台/Z3が75000〜80000台、I/OはZ4が11000〜12500台/Z3が5800〜8000台で、Z4がZ3を大きく上回ったが、3DはZ4が2100〜2400台/Z3が2100〜2300台でほぼ互角、メモリはZ4が10500〜12500台/Z3が13600〜17500台でZ3が上回った。メモリの結果が2つのテストで逆になっているのが謎ではある。それでも総合得点はいずれもZ4が上回っており、最新モデルの意地を見せた格好だ。
Xperia Z4 | Xperia Z3 | |
---|---|---|
1回目 | 29470 | 20241 |
2回目 | 29083 | 20799 |
3回目 | 28177 | 20814 |
4回目 | 28208 | 19934 |
5回目 | 29825 | 21435 |
平均 | 28952.6 | 20644.6 |
最後に3DMark(IceStorm Unlimited)の結果を見ていこう。Xperia Z4が16000〜21000台で平均19172.6、Xperia Z3が17000〜18000台で平均17992。1回目と2回目はZ3が上回ったが、ほかはZ4の方が高く、平均値でもZ4がZ3を上回った。
項目別に見ると、グラフィックススコアはXperia Z4が23000〜32000台/Z3が19000台でZ4が高く、CPUの性能を見る物理演算スコア(Physics score)はZ4が7900〜9700台/Z3が13400〜14700台でZ3の方が高かった。グラフィックステスト1、2のフレームレート/秒はZ4が安定して100を超え、最高は150.3FPSだった。Z3はグラフィックステスト1は100台前半だったが、テスト2は70FPS前後だった。一方で物理演算テストのフレームレートはZ4が25〜31台/Z3が42〜46台で、Z3の方が高かった。
物理演算テストのスコアとフレームレートのみXperia Z3の方が高かったのは、CPUのクロック数自体はZ3の方が高いこと(Z4は2.0+1.5GHz、Z3は2.5GHz)が影響しているのかもしれない。つまり、Z4の8コアをすべて使っていないのでは、ということ。しかしグラフィックの描画性能はZ4の方が高いので、よほど高負荷を強いるものでなければ、動画やゲームをスムーズに楽しめるのはXperia Z4といえそうだ。
Xperia Z4 | Xperia Z3 | |
---|---|---|
1回目 | 18042 | 18113 |
2回目 | 16520 | 17851 |
3回目 | 21467 | 18177 |
4回目 | 19813 | 18018 |
5回目 | 20021 | 17801 |
平均 | 19172.6 | 17992 |
Z3より発熱しやすいXperia Z4は、長時間テストをするほど意図的にCPUの性能を落とすことが懸念されたが、5回計測した限り、回を重ねるほどスコアが下がる傾向はなく、むしろQuadrant Professional Editionは5回目が最高スコアだった。
テストによって各項目の結果にバラツキはあるものの、総合スコアの平均値は、3つのテストでいずれもXperia Z4が上回った。今回のテスト結果を見る限り、Xperia Z4の方が高いパフォーマンスを発揮すると言って差し支えないだろう。
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