CCCモバイル、新会社「ふるさとスマホ」を設立 「TONE」と「Tポイント」で地方創生促進「かたいインフラ」から「やわらかいインフラ」へ(1/2 ページ)

» 2015年07月29日 14時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は7月28日、CCCモバイルの完全子会社として「ふるさとスマホ株式会社」(以下、ふるすま)を設立したことを発表した。ふるすまは、CCCグループが保有するスマートフォンサービス「TONE」や共通ポイントサービス「Tポイント」などを活用して地域課題の解決をはかり、地域の活性化や地方創生につなげる事業に取り組む。代表取締役社長には、前佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏が就任した。

 ふるすまは事業化にあたり、富山県南砺市、奈良県奈良市、大阪府東大阪市と福岡県鞍手町の3市1町の市町長が呼びかけ人となり同日に発足した「自治体スマホ連絡協議会」と連携する。自治体ごとの課題を共有し、それを踏まえた実証試験を企画し実施することで、“現実”に即した事業化に向けた知見を蓄積していく。本格的な事業化は、2016〜2017年度をめどに行う予定。

photo ふるさとスマホ(ふるすま)の代表取締役社長に就任した樋渡啓祐氏

ふるすまは「やわらかいインフラ」への転換の第一歩

 都内で開催された記者会見で、樋渡社長は、自らの武雄市長在任中に、スマホで安否確認サービス、防災情報配信サービス、健康ポイントサービスを提供しようとしたものの、機能面と通信料金面で「いち自治体が(サービス提供に踏み切るには)あまりにもハードルが高い」ため、断念したことを明らかにした。

 しかし、昨今はMVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する「格安SIM」によって通信費を抑えられるようになり、価格が低廉でも、そこそこの機能(性能)を備える「格安スマホ」も登場して環境が変わりつつある。それを受けて、CCCグループが持つTONEを活用し、Tポイントと連携した「今までなかった、地方創生につながるスマホ事業」(樋渡社長)に取り組むことにしたのだという。

 CCCグループと組む理由は、「CCCは(全国にTSUTAYAを展開していることもあり)地方のことを最も知り、地方のことを企画する(上では)日本一の会社」であると樋渡社長が考えているからである。樋渡社長が市長在任中に取り組んだ武雄市図書館のリニューアル時からのつながりも無関係ではないだろう。

 樋渡社長は、ふるすまの事業を「道路などの『かたいインフラ』から、『やわらかいインフラ』」への転換であるとし、それは地方の人たちも同じ思いであるはずだとする。そこで、具体的な事業化にあたり、「自治体スマホ連絡協議会」と連携する。協議会では、8月半ばから参加自治体を募集する予定だ。樋渡社長は個人的見解と前置いた上で、「全国で70自治体が集まると良いな、と思っている」とした。さらに、スケジュールについて「(参加自治体が集まったら)2015年内に(1回目の)協議会を開催して頂けるとありがたい」と、協議会の呼びかけ人である市町長たちに注文する場面もあった。

なぜ自治体首長はスマホに注目したのか?

 記者会見には樋渡社長のほか、自治体スマホ連絡協議会の呼びかけ人の3市1町の市町長も登壇した。

南砺市:田中幹夫市長

 2004年に4町4村が合併し発足した富山県南砺市の田中幹夫市長は、人口の減少傾向と高齢化率の高さ(約34%)を踏まえて、「人口が減っていく中で、福祉サービスをどうするべきか、地域コミュニティを守るべきか、いろいろ考えてきた」という。

 それを踏まえて、Androidタブレット端末を使ったテレビ電話サービス「ふれiTV(ふれあいティービー)」のを4年前に開始し、現在はスペックアップした「ふれiTV II」がサービス中だ。ふれiTVに取り組む中で、GPS機能や歩数計機能もあるスマホの可能性も見いだしていた田中市長は2〜3年前から大手キャリアに相談を持ちかけていたが、なかなか良い返事がもらえなかったそうだ。

 そのような状況で、ふるすまの提案を聞いた田中市長は、「積極的に関わったほうが、素晴らしいサービスになる」という理由で呼びかけ人として参加することにしたという。離れたところに暮らしている親と子、孫とつながるためのツール、外に出るための健康ツールとしての活用はもちろん、母子手帳の電子化なども構想しており、「子どもからお年寄りまで、いろいろな年代をつないでいくツール」として活用することを目指していきたいとしている。

photo 南砺市の田中幹夫市長

奈良市:仲川元庸(仲川げん)市長

 古代に日本の都として栄えた奈良市。同市の仲川元庸(仲川げん)市長は、今回の呼びかけ人自治体の中では唯一県庁所在都市である。奈良市の高齢化率は、全国平均より少し高い程度ではあるものの、今後の高齢化の進行によって将来的には、財政不足だけでなく、高齢者の介護に携わる人材面の不足が課題になると指摘する。「これら(財政不足と人材不足)に対して、今のタイミングで(何らかの)行動を起こさなければ、近い将来に破綻をきたすのは自明である」と危機感をあらわにした。

 そこで、仲川市長が注目したものがスマホだ。スマホであれば、今まで配っていた歩数計や緊急通報端末などを「オールインワンでまとめることができ、生活支援の『ポータル』になる」と考えたのだ。また、子どもや孫はもちろん、いろいろな人とコミュニケーションを取ってより充実して生活できるようにする手段としてのスマホにも仲川市長は期待している。さらに、高齢化対策や健康寿命を伸ばすための新技術開発において「企業と行政が組むことによるシナジー効果は非常に大きい」とも指摘し、スマホを通した生活支援に積極的に取り組む姿勢を示した。

photo 奈良市の仲川市長

※初出時に、香川県宇多津町が自治体スマホ連絡協議会に参加している旨を記載していましたが、誤りでした。ここにおわびして訂正いたします。(8/18 15:40)

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