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» 2015年08月15日 06時00分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(8月3日〜14日):好調のKDDI/回復のドコモ/再建のソフトバンク――3社の決算会見を振り返る (1/3)

ドコモ、KDDI、ソフトバンクグループの2015年度第1四半期の決算が発表された。KDDIは好調を維持しており、ドコモは久しぶりに増収増益に。ソフトバンクはSprint再建が焦点となっている。3社の実績と今後の取り組みを見ていく。

[石野純也,ITmedia]

 8月6日にソフトバンクグループが、7日にはKDDIが第1四半期の決算発表を行い、前週の7月29日に発表を行っていたNTTドコモと合わせて、携帯電話3社の業績が出そろった。好調を維持するKDDIに対し、ドコモの業績も回復傾向にある。一方で、ソフトバンクグループは米国のSprintが業績の足かせになっており、その再建策の説明にほとんどの時間を費やしている。業績自体は悪くないものの、利益の源泉となっている国内事業も、純増数などを見る限り、かつての勢いが失われつつあることが分かる。今回の連載では、この第1四半期の業績に焦点を当て、各社の実績と今後の取り組みを見ていきたい。

業績好調を維持するKDDI、懸念材料はMVNOや光コラボ

 安定して業績を上げているのが、KDDIだ。同社は2013年の中期目標として、3期連続の2ケタ成長を掲げているが、3期目の第1四半期目は順調な結果を残している。売上高は1兆466億円、営業利益は2310億円で、「クォーター(四半期)での営業利益は、過去最高」(代表取締役社長 田中孝司氏)となっている。

photo 第1位四半期の決算を発表した、KDDI 代表取締役社長 田中孝司氏
photo 前年同期比で、増収増益を記録した

 業績をけん引したのは、通信料と付加価値サービスの両方だ。1契約者あたりの利用料であるARPA(前期から、1回線あたりの収入を示すARPUではなく、1契約者あたりの収入を示すARPAを指標として公開している用いしている)は4654円。前年同期比で、4%の伸びを示している。ユーザー1人あたりの収入が増えていることに加え、契約者数も顕著に増加している。第1四半期の純増数は52万。MNPでの獲得数は「非開示」(田中氏)としながらも、「先月を入れると、46カ月間ナンバー1になっているのではないか」として、転入超過の状態が続いているようだ。

photo ARPAの伸びが業績をけん引していることが分かる
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photo ARPAに加え、純増数も比較的好調に推移している

 こうした業績の背景には、タブレットやWi-Fiルーターの2台持ちが狙いどおり増えていることがある。タブレットの累計契約者数は前年同期比で2.3倍となり、1人あたりのモバイルデバイス数も1.38台とゆるやかに増加傾向を示している。固定のモバイルのセット販売でも他社を先行しており、「auスマートバリュー」はモバイルで984万契約、固定で484万世帯を獲得。auスマートフォンの52%が、同サービスに加入している状態だ。

photo タブレットの販売が好調で、1ユーザーあたりの端末数も増えている
photo auスマートバリューはモバイルで1000万加入に近づきつつある

 今後の注力分野として挙げられていたのが、付加価値領域。1319万会員を突破したauスマートパスに加え、「オフライン基盤」としてのau WALLETも第1四半期で1290万件に達した。一方で、au WALLETはカード発行などの費用がかかることから、「まだ今期は赤字」(田中氏)の状態。この加入者をベースに、次のビジネスを立ち上げようとしているところだ。この夏からは、auショップで物販を促進する「au WALLET Market」を立ち上げ、付加価値領域での収益を高めていく方針。電力会社とも「具体的に何か決まっていることはない」としながらも、「エネルギービジネス部を立ち上げ、この分野における検討を進めている」(同)という。

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photo 付加価値領域と呼ぶ分野で、今後の成長を維持していく方針。「au WALLET Market」も間もなく開始予定だ

 一方で、田中氏によると、MVNO市場の拡大はやはりKDDIにとっての懸念材料だ。同社では子会社のKDDIバリューイネイブラーを設立し、UQ mobileを立ち上げ、ドコモ系MVNOに対抗しようとしているが「まだまだそんなに数が取れているわけではない。これからがんばっていかなければいけない」(同)という。純増数に占めるMVNOの割合も低く、「ほとんどがau自身の純増」(同)となる。KDDIが手をこまねいている間に、ドコモ系MVNOは数を大きく伸ばしており、UQ mobileも何らかの次の一手が必要になりそうだ。

 また、KDDIの特徴であった固定とモバイルのセット販売にも、ドコモやソフトバンクが追随している。ドコモとソフトバンクは、NTT東西の「光コラボレーションモデル」を活用し、それぞれ「ドコモ光」や「ソフトバンク光」を展開している。auスマートバリューへの影響は「現時点で、それほどあるとは見ていない」と言うものの、ドコモやソフトバンクのオペレーションが改善していけば打撃を受ける可能性もある。田中氏も「今後については、影響が出てくるかもしれないと、慎重に見ている」として、警戒心をのぞかせていた。

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