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» 2016年06月29日 06時00分 UPDATE

SIM通:キャリアアグリゲーションって何? SIMフリースマホで使える?

「キャリアアグリゲーションでスピードアップ」とよく聞きますが、それってどういう意味でしょう? 今回は、LTEの基礎からキャリアアグリゲーションの仕組みとメリットを解説します。

[SIM通]
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 キャリアアグリゲーションでスピードアップってよく聞くけど、それってどういう意味? 仕組みとメリットを解説します。

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 キャリアアグリゲーション、例えばドコモではプレミアム4Gとしてサービスしていますが、これはいったい何でしょうか?キャリアアグリゲーションを簡単に言うと、キャリア(搬送波)をアグリゲート(結合)する技術です。

 と言ってもにわかには分からないかもしれませんね。まずは、LTEの基礎から。

 LTEは電波を使ったサービスです。この電波の使い方には、電波の高低(周波数)と電波の太さ(帯域幅)という2種類があります。周波数は、ほかの通信と混信してしまわないために分けるときに使います。一方、帯域幅は、電波にデータを乗せるときに使います。電波に何らかの形でデータを乗せると、帯域幅を消費する(勝手に帯域幅が太くなる)のです。

 LTEではこのデータの乗せ方の効率がいいので、最大20MHz(メガヘルツ、帯域幅の単位)の帯域幅で150Mbpsの通信が可能になっています。しかし、高速通信の需要はさらに高まっているため、LTEは進化の方向として、この20MHzの電波=搬送波(キャリア)を複数束ねる(アグリゲーション)ことでさらに高速化することを選びました。これが、キャリアアグリゲーションです。

 例えば、ドコモでは、850MHzの周波数で15MHzの帯域幅の電波と、2100MHzの周波数で15MHzの帯域幅の電波をLTE用に使えます(今後増減する可能性はあります)。それぞれ、112.5Mbpsの通信ができますが、キャリアアグリゲーションを使ってこの二つを束ねることで、225Mbpsの通信が可能になります。

 ドコモはほかに1500MHzや1700MHzにもLTE用のキャリアを持っているので、うまく組み合わせればさらに多くの電波を束ねて通信速度をアップすることができます。また、キャリアアグリゲーションの仕組みはほとんど電波の使い方だけの問題なので、ネットワークの作りにあまり依存しません。つまり、ドコモのLTEを使うMVNOでも、キャリアアグリゲーションが裏で起動していて、利用者は全く気にする必要がありません。

 キャリアアグリゲーションのメリットは、通信速度向上だけではありません。例えば先ほどの例で言うと、850MHzという低い周波数と2100MHzという高い周波数を組み合わせます。低い周波数は「安定して隅々まで届く」という特徴があり、850MHzを使ったほうが広いエリアで安定して使えます。しかし、誰もが850MHzばかりを使うようになると、電波が混雑してしまいます。

 そんな時、キャリアアグリゲーションを使っていると、2100MHzの電波が届いている人には、なるべく2100MHz側を使ってあげる、ということができるようになります。結果、850MHzの混雑は大幅に緩和されるため(なぜならほとんどの場所で2100MHzも届いていることが多いからです)、誰もが安定して高速通信を使えるようになるのです。

 これによりドコモにもメリットがあります。従来は混雑緩和のためには新しい基地局を何千万もかけて建設しなければならなかったのが、この技術のスイッチを入れるだけでほとんどコストをかけずに混雑を解消できるのです。

キャリアアグリゲーションのイメージ

 キャリアアグリゲーション最大の問題は、「端末」です。一部では、ドコモはMVNO端末にキャリアアグリゲーションを使わせないように制限しているという説も出ていますが、上でも述べたとおり、混雑を緩和するために大いに役立つキャリアアグリゲーションを使わせない動機はありません。できれば積極的に使って欲しいはずです。

 それでも、MVNOではキャリアアグリゲーションが動いていないのではないか、という説が出てくるその理由は、「端末」であることが多いようです。

 例えば、ドコモ製端末をロック解除して使う分には、ドコモのMVNOではキャリアアグリゲーションは動作するはずですが、それ以外のSIMフリー端末では、海外向けのスペック表で「キャリアアグリゲーション対応」と書いてあっても動作しないことが多いようです。

 実はキャリアアグリゲーションは、その周波数の組み合わせが標準規格で厳しく規定されていて、一定の規格を満たさないと、たとえ単体では対応している周波数同士でも束ねることはできません。また、日本の電波法は世界でも一番厳しいため、海外向けでは対応しているはずの周波数の組み合わせ(よくあるのはバンド1=2100MHzとバンド3=1700MHz)でも日本では動かない(動かせない)ことがあります。

 これも標準規格で定められた動作で、ドコモは「ここは日本だよ」という信号を常に出していて、それを受け取った端末が日本の厳しい規制に対応した動作に変更する(変更できなければ「自分はその組み合わせには対応してないよ」と通知する)ような仕組みになっています(実際の動作はもっと複雑です)。

 知られているところでは、日本のキャリア向けにも同じ端末を提供している、iPhoneやXperiaが、どうやらSIMフリー版でもドコモMVNO等でキャリアアグリゲーションが動作するようですが、このあたりの詳細スペックが公開されていることは少なく、使う前に動作するかどうか知るのは結構難しいと言えるでしょう。

 逆に、モバイルルータだと、「ドコモMVNOでキャリアアグリゲーション動作」を売りにしている製品もあるようなので、チェックしてみてはいかがでしょう。

(文:記者M)

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