スマホ1台で仕事が完結――HPが「Elite x3」で目指す世界2つのContinuumを体験

» 2016年07月01日 16時37分 公開
[田中聡ITmedia]

 日本HPが7月1日、Windows 10 Mobile搭載スマートフォン「HP Elite x3」の体験会を都内で開催した。

 日本では数多くのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンが販売されているが、Elite x3ではその中でも最上位のスペックを持つモデル。約5.96型のWQHD(1440×2560ピクセル)ディスプレイ(有機EL)、Qualcommの最上位プロセッサ「Snapdragon 820」、4GBメモリを搭載するほか、IPX7の防水とIP6Xの防塵(じん)性能、MIL規格準拠の耐衝撃性も確保している。セキュリティ機能として、虹彩認証と指紋認証をサポートしている。

HP Elite x3HP Elite x3 現行でのWindows 10 Mobile搭載スマホでは最高クラスのスペックを誇る「HP Elite x3」
HP Elite x3HP Elite x3 防水性能にも対応しており、USB(Type-C)端子はキャップレスだ

 Elite x3と外部ディスプレイを接続してElite x3をデスクトップPCのように操作できる「Continuum for Phone」に対応するのはもちろん、オプション品として「HP デスクドック」「HP ノートドック」を用意する。

 デスクドックはオフィスや自宅での利用を想定したもの。PCと接続したデスクドックのUSB(Type-C)コネクターにElite x3を接続するとContinuumの利用が可能になる。実際にデスクドックを使ってContinuumを試してみたところ、カーソル移動や文字入力などの操作がタイムラグなくスムーズに行えた。

HP Elite x3HP Elite x3
HP Elite x3 Elite x3をドックに挿すだけでContinuumを利用可能にする「HP デスクドック」

 外出先でContinuumを利用可能にするのがノートドックだ。12.5型ディスプレイとキーボード、タッチパッドを備えており見た目はノートPCだが、CPUやストレージは内蔵しておらず、単体では動作しない。Elite x3と接続することでノートPCのように利用でき、Elite x3のディスプレイをタッチパッドとして使える。Elite x3とはMiracast(Wi-Fi Direct)かUSBで接続でき、USB接続の方が操作時のタイムラグは少ないとのこと。

HP Elite x3 Elite x3と接続してノートPCのように利用できる「HP ノートドック」
HP Elite x3 USBポートを3つ搭載している。うち1つはノートドックの充電用に使う

 ノートドックの重さは約1kgで、手にすると「意外と重い」と感じる。担当者によると、大容量(48wH)のバッテリーを積んでいることが大きな要因だという。USBで接続した場合、ノートドックは約20時間連続稼働し、Miracastだとバッテリー消費が増すため稼働時間はもう少し短くなる。USBで接続するとElite x3に給電することも可能で、Elite x3用の充電器としても活躍する。ユニークな製品だが気になるのが重さ。「もう少し軽くしてほしい」という声は多く届いているようで、バッテリー容量と重量のバランスを取るのに苦心した様子がうかがえた。

 Elite x3はKDDIを通して法人向けにも販売される。こうした企業での利用を想定し、仮想環境から業務用アプリにアクセスできる「HP Workspace」を提供する。HP Workspaceではクラウド環境に業務アプリをアップロードして利用する。複数のウィンドウを立ち上げたり、DropboxやGoogle Driveなどのクラウドストレージと連携したりもできる。サーバのリソースを使うため、高いパフォーマンスを実現するという。

どこにいても“Elite x3で仕事が完結する”世界を目指す

HP Elite x3 日本HPの村上信武氏

 スマートフォンが高性能化を果たしてスペックはPCに近づきつつあるとはいえ、資料の作成や業務用アプリの利用など、全ての作業をスマートフォンで行うのは難しい。だが、Elite x3はスマホとPCの壁を打ち破り、スマホ1台で業務を完結させることを目指したデバイスだ。日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長の村上信武氏は、日本で80%の企業がテレワーク(在宅勤務)を採用している事例を紹介し、働く場所が自由になりつつあることを強調する。

HP Elite x3

 そんな中で必要とされるデバイスのトレンドとして、「モバイル端末がPC並みのパワーを持つこと」「スマホが主役であること」「PCとモバイルが同じOSであること」「クラウドとモバイルの連携が主流であること」などを村上氏は挙げる。Elite x3が高いスペックを持つのも、PCとして使うことを真剣に考えた結果だといえる。

HP Elite x3

 これらの要素を満たす「次世代のモバイルコンピューティング」の1つのカタチが、Elite x3だという。「今までは環境によってデバイスを選んでいたが、これからは、デバイスが人に近づいていく。(発表会のスライドもElite x3で操作していることから)スマートフォンでプレゼンをすることも難しくない」と村上氏は話す。

HP Elite x3

 ビジネスマンが1日の仕事でElite x3を活用するデモンストレーションも紹介。電車での移動中に虹彩認証でロックを解除して資料を編集する、外出先ではカフェでノートドックを利用しながら電話に出る、オフィスではデスクドックとHP Workspaceを活用して業務アプリを利用する、といったもの。Elite x3とノートドック+デスクドックで全ての業務が完結する様子が示された。

 Elite x3の発売日は、当初の発表通り「2016年夏以降」から変更はなく、決定次第、あらためて案内するとのこと。価格についても未定だが「iPhoneよりは安くしたい」(村上氏)とのことで、6〜7万円程度が予想される。ノートドックの発売はElite x3よりも後で、2016年末になる見込み。

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