ソフトバンクが、Y!mobileの2017年春商戦向けの新サービスやキャンペーン、新機種を発表した。
サービスはY!mobileの料金プランに「Yahoo!プレミアム」をコミコミにする施策、キャンペーンは学割の「ヤング割」と「Pocket WiFi学割」、新機種はAndroid Oneの新モデル2機種とHuaweiのモバイルWi-Fiルーター、タブレットという内容だ。
今回の発表にはどのような狙いがあるのか。ソフトバンク 執行役員 プロダクト&マーケティング統括 Y!mobile事業推進本部 本部長 寺尾洋幸氏が語った。
サービス面ではヤフーとの連携を強化。より便利なスマートフォン体験を提供するために、Y!mobileユーザーには「Yahoo!プレミアム」を、月額料金据え置きで提供する。ヤフーの川邊健太郎副社長によると、Yahoo!プレミアムで特に支持されているのが、買い物でのポイントが5倍になる特典だという。Y!mobileユーザーのキャンペーンやEnjoyパックの特典などを合わせると、最大で17倍もの還元率に上がる。
2016年第2四半期のYahoo!ショッピングにおける流通高は、前年同期比で約128%成長し、Y!mobileユーザーの同ショッピング利用額も増加している。Y!mobileユーザーの特典を手厚くすることで、Yahoo!ショッピングのさらなる利用促進を図っていく。
2016年のY!mobileは3月に「iPhone 5s」、7月にAndroid Oneスマホ「507SH」を投入し、同年4月〜12月のスマートフォン販売数は、前年同期比で約2.5倍に伸びたという。SIMフリースマホをはじめとする「格安スマホ」の市場で存在感を示し、大手3ブランド(ドコモ、au、ソフトバンク)を除くスマートフォンの販売台数は、Y!mobileが40%を占めるまでに至った。
大手3キャリアのAndroid端末でも、Y!mobileはシェアを伸ばしている。2016年4月〜12月のAndroidスマートフォンで、Y!mobileのシェアは前年同期比で約2倍に拡大。またソフトバンクの自社調査によると、507SHユーザーの約8割が高い満足度を示したという。
Android Oneには必要最低限のアプリをプリインストールし、発売から最低2年間のセキュリティアップデートと、18カ月間に最低1回のOSバージョンアップを保証する。Y!mobile向けAndroid Oneの初号機507SHはシャープ製だったが、今回はシャープ製の「S1」と京セラの「S2」という2機種をラインアップ。
S1は低消費電力に定評のある「IGZO」をフルHDディスプレイに搭載したこと、S2は耐衝撃性能や、フィーチャーフォンからスマホへデータを移行しやすい赤外線通信を搭載したことが特徴だ。
Android Oneを継続した理由の1つとして寺尾氏は「接客のしやすさ」を挙げる。携帯キャリアでは、スタッフや販売店にかかるコストが特に大きいが、Android Oneを採用すれば、UIやアプリはGoogle純正のものに統一されているため、説明しやすくなるという。今回2メーカーを採用したのは「裾野を広げるため」(同氏)。特にシャープと京セラはY!mobileでも人気が高く、“指名買い”のニーズに応えやすくなった。
さらにY!mobileショップでは、Googleの「Android Ambassador」プログラムを導入する。同プログラムは、AndroidやGoogleに精通する人材を育てることを目標としている。Y!mobile店頭でよりきめ細かな接客ができるようトレーニングを行う。まずは首都圏で導入して500人ほどのスタッフを育成し、順次全国でも展開していく予定。
GoogleのAndroid/Google Play 担当副社長 ジェイミー・ローゼンバーグ氏は「Android Ambassadorは、Androidの各種機能やGoogleのさまざまなサービスに精通しているエキスパート。Y!mobileショップにお越しのお客さまは、Ambassadorから1対1の手ほどきを受けられる。さまざまなタイプのAndroidユーザー、Googleサービスの利用者に対して、このようなプログラムを提供できるのは有益だと思う」と評価した。
今回の発表で特にインパクトが大きいと感じたのはYahoo!プレミアムの無料化だが、特典の1つであるYahoo!ショッピングとLOHACOでのポイント増額は、ソフトバンク向けにも2月1日から5月31日まで10倍がたまるキャンペーンを実施している(関連記事)。Y!mobileユーザーなら必ず5倍たまるなどの違いはあるが、ソフトバンクとY!mobileでどのようにすみ分けていくのだろうか。
寺尾氏は「インターネットの楽しさを広げていくことが、われわれの最大のミッションなので、Y!mobileでは新しいサービスやプロダクトの投入を進めている。ソフトバンクでは体験価値や、ショップでのサポートを充実させている」と話す。他のキャリアが行っていないチャレンジングなことはY!mobileが実験的に取り組み、より多くのユーザーに提供すべきと判断したら、ソフトバンクでも取り入れる……という考えのようだ。
「例えば(音声定額サービスの)『誰とでも定額』は、私どもが(ウィルコム時代に)発明したサービスだが、大手キャリアにも広まった。新しいサービスを先駆けて提案するのがY!mobile。それをもっと大きなマーケットに持っていくときに、ソフトバンクの力を借りる。すみ分けというよりは、常に先を行く、新しいことを考えていきたい」(寺尾氏)
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